【税理士試験　財務諸表論】合格発表をうけて：令和５年度試験で合格するために今からすべきこと

【編集部より】
さる11月30日に令和４年度（第72回）税理士試験結果が公表されました。
財務諸表論は、受験者数10,118人、合格者数1,502人、合格率は14.8％（昨年は23.9％）と、昨年から大きく合格率が下がりました。
来年度の試験にチャレンジするにあたり、今からどのように取り組むと良いか、加茂川悠介先生に当面の勉強のヒントを伺いました。

加茂川悠介（税理士・TAC講師）

第72回（令和４年度）の合格率をみて

皆さん、お疲れさまでした。８月に本試験が終わったとはいえ、「合格しているかな」「解答を書き間違えたりしていないかな」など、どこか落ち着かない日々を過ごされてきたのではないでしょうか。
本年度の合格率が14.8％ということで、前年度より10％近く下がっていますから、厳しい戦いだったのではないかと思います。
見事、合格されていた方、本当におめでとうございます！！　満を持して、次の科目に挑戦してもらいたいと思います。
残念な結果だった方、悔やんでばかりもいられません。すでに「令和５年度本試験に向けて」一生懸命勉強されている方がたくさんいます。

令和５年度本試験に向けて

残念な結果だった方にとって、「また同じことを繰り返しやらなければならない」と思い、気分が乗らず、再スタートが遅れてしまう場合があります。その気持ちはよくわかりますが、これは一番危険です。

あえて厳しい言い方をすれば、再スタートが遅れれば遅れるほど、「合格から遠のいてしまう」と考えてください。
例えば、私が講師を務めるTACでは、はじめて財務諸表論を学習する方に向けて、５月からもしくは８月から講義がスタートしています。
私もこれらのクラスを担当していますが、皆さんとても熱心に取り組んでおられます。

確かに皆さんは本試験受験経験者で、本試験に向けて相当な努力をされたと思います。ですから、「初学者よりは実力がありますよ」という気持ちもわからないではありません。

ですが、私に限って言えば、初めて学習されている受講生の方々にいつも、「本試験の合格発表を受けて、年末年始から受験経験者が勉強を開始します。皆さんにとっての最大のライバルは彼らです。今のうちにたっぷりと実力を蓄えておきましょう！！」と、アドバイスしています。

まさに「ウサギとカメ」ではありませんが、最初は皆さんの方が圧倒的に実力をお持ちだろうと思います。しかし、油断していると、いつの間にやら一生懸命追いかけてくるカメに追い抜かされるかもしれません。

本試験直前に、専門学校等で行われる全国規模のテスト等を受けてからそのことに気付いたとしても、もう間に合わないかもしれません。「それぐらい初学者の方も気合いを入れて勉強されていますよ」と言いたいのです。

何から始めるのか？

苦しいかもしれませんが、もうこんな気持ちを二度と味わうことのないように「今日から勉強を開始する」ことは理解していただけたかと思います。

では、「何から始めるのか」ですが、私がおすすめしているのは、お持ちの「個別問題集（計算）」を一通り解いてもらいたいと思います。
これは少し遠ざかっていた財務諸表論を思い出すためにも有効ですし、再スタートを切るための助走としても効果的だと思います。

あくまでも再スタートの「準備」という位置づけですので、極端に難しい問題を解く必要はありません。むしろ、基本的な問題をしっかりと解いていただき、間違えた個所があれば必ず、お持ちのテキスト等で確認をしていただきたいと思います。

「ただただ解答を見て終わり」とするのではなく、「テキストのここに書いてあるのに何で間違えたのかな」、「今度、この問題が出てきたら正答できるだろうか」と自己分析をしましょう。
時間がかかる作業ですが、これが合格へと繋がるだろうと思います。

これらの確認作業が終われば、専門学校等に通われる方はそのカリキュラムに従って、独学で勉強される方はお持ちのテキストや問題集を使って、それぞれさらなる理解を深めていきましょう。

来年こそは合格しましょう！！

【執筆者紹介】
加茂川　悠介（かもがわ・ゆうすけ）
税理士、CFP®。中央大学法学部、早稲田大学大学院法学研究科修了後、大手専門学校で教鞭をとる。その後、立命館大学大学院法学研究科で税法を学び、会計事務所勤務を経て、財務捜査官採用試験に合格。宮城県警退職後、資格の学校TAC税理士講座で講義を行う。現在、TACほか芦屋大学や近畿大学等でも講義を行い、日々、わかりやすい講義に向けて自己研鑽している。

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