連載 『会計士・税理士・簿記検定 財務会計のセンスが身につくプチドリル』(第36回)ー 金融商品会計⑮-⑳の復習


長島 正浩(茨城キリスト教大学教授)

Q15(空欄補充)
( ① )とは,先物取引,先渡取引,( ② ),スワップ取引及びこれらに類似する取引である。
( ① )により生じる正味の債権及び債務は,( ③ )をもって貸借対照表価額とし,評価差額は,原則として,( ④ )として処理する。


① デリバティブ取引
② オプション取引
③ 時価
④ 当期の損益

*金融商品会計基準4項,25項
『「デリバティブ35歳限界説」を打ち破れ!』

Q16(空欄補充)
ヘッジ取引とは,ヘッジ対象の資産又は負債に係る( ① )を相殺するか,ヘッジ対象の資産又は負債に係る( ② )を固定してその変動を( ③ )ことにより,ヘッジ対象である資産又は負債の価格変動,金利変動及び為替変動といった( ① )等による( ④ ) の可能性を減殺することを目的として,( ⑤ )をヘッジ手段として用いる取引をいう。

A
① 相場変動
② キャッシュ・フロー
③    回避する
④    損失
⑤    デリバティブ取引
👉相場変動等による損失の可能性を回避しようとする対象項目をヘッジ対象といい,その目的のために利用されるデリバティブなどをヘッジ手段という。

*金融商品会計基準(注11)
『ヘッジ取引とは馬主が他人の馬に賭けるようなものである』

Q17 ヘッジ取引のうち一定の要件を充たす場合に適用される会計処理を説明しなさい。


当該会計処理をヘッジ会計といい,ヘッジ会計とは,ヘッジ取引のうち一定の要件を充たすものについて,ヘッジ対象に係る損益とヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し,ヘッジの効果を会計に反映させるための特殊な会計処理をいう。

*金融商品会計基準29項
『大きな利益を得る機会を諦めて大きな損失を回避する』

Q18 デリバティブ取引により生じる正味の債権債務はなぜ時価評価するのか?


デリバティブ取引は,取引により生じる正味の債権又は債務の時価の変動により保有者が利益を得又は損失を被るものであり,投資者及び企業双方にとって意義を有する価値は当該正味の債権又は債務の時価に求められると考えられるから。

*金融商品会計基準88項
『投資のポジションは時価で見るべき!』

Q19 デリバティブ取引の時価の変動はどのように処理するのか?


デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務の時価の変動は,企業にとって財務活動の成果であると考えられるから,当期の損益として処理する。

*金融商品会計基準88項
『デリバティブの時価変動も企業にとって財務活動の成果である』

Q20 ヘッジ会計の2つの方法とは?

A
(1)繰延ヘッジ会計とは,時価評価されているヘッジ手段に係る損益又は評価差額を,ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで純資産の部において繰り延べる方法である。
(2)時価ヘッジ会計とは,ヘッジ対象である資産又は負債に係る相場変動等を損益に反映させることにより,その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識する方法である。

*桜井23版,108頁
『原則は繰延ヘッジ会計で時価ヘッジ会計も認められる』(金融商品会計基準32項)

◎復習しましょう!
1.CF計算書
2.一株当たり当期純利益
3₋1.金融商品会計①
3₋2.金融商品会計②

〈執筆者紹介〉
長島 正浩
(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師,会計事務所(監査法人),証券会社勤務を経て,専門学校,短大,大学,大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後,松本大学松商短期大学部准教授を経て,現在に至る。この間35年以上にわたり,簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

*本連載は,『会計人コース』2020年1月号付録『まいにち1問ポケット財表理論』に加筆修正したものです。


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