ZENTA
【編集部より】
来年の税理士試験に向けた新年度が始まりました。といっても、8月に受験した科目の結果がわかるまでは、なかなかエンジンがかからない…。そんな人も多いハズ。
そこで、働きながら税法科目に一発合格したZENTAさんに、この時期の過ごし方についてご執筆いただきました。前回(マインド編)に続き、今回は、「実践編」として、試験日までの時期別スケジュールをチェックしましょう!
税法一発合格者は1年間をどう過ごしていたのか?
私は令和3年度税理士試験の法人税法に合格し、官報合格となりました。
実務で法人税法にはよく触れていたので、多少のアドバンテージはあったとは思いますが、法人税法を初学で一発合格できたことは、かなり自信になりました。
参考までに、私が法人税法の試験を受けるまでの1年間、どう動いたかを以下に示します。
8月下旬:令和2年度受験科目(消費税法)の自己採点を実施
令和2年度税理士試験で受験した消費税法を自己採点しました。
その結果はボーダー近辺、感触としては五分五分といったところでした。
次の科目は、必修科目の法人税法か所得税法を残すのみだったので、実務でよく使う「法人税法」を選択しました。
自己採点を受け、年内は消費税法の勉強を続けることも考えましたが、合否がわからない科目を4ヵ月も勉強し続けるモチベーションが保てそうにありませんでした。
また、もし不合格でも、年明けからの再スタートで間に合うと思ったことと、法人税の基礎だけでも触れておけば、いずれ本格的に手をつけるときに楽だろうと思ったことから、法人税法に進むことにしました。
ちなみに消費税法が不合格だった場合は、法人税法の学習をストップし、消費税法一本に切り替えるつもりでした。
その上で、1日のうち勉強に充てられる時間を再確認しました。
スキマ時間などを活用すると、1日2時間は確保できそうだったので、最低でも毎日2時間勉強すると決めます。勉強時間はスマホのアプリでしっかり記録していました。
9月~12月(基礎期)
- 理論と計算の学習割合 3:7
- 理論:Sランク、Aランクの最重要論点をとりあえず暗記する(約20~30題)。
- 計算:講義が終わったらすぐ演習。分からなければすぐ答えを見る。体が覚えるまで何回も解く。
1月~4月(応用期)
- 理論と計算の学習割合 5:5
- 理論:Bランク、Cランクの論点を暗記し(約40~50題)、インプットが一通り完了。暗記に使っていた時間を、アウトプットの練習に充てる。
- 計算:基礎期の復習を怠らないようにしつつ、応用論点にも手を出し始める。
5月~6月(直前期)
- 理論と計算の学習割合 7:3
- 理論:暗記はいわゆる「回す」フェーズに突入。並行して、アウトプットの練習を重点的に行う。
- 計算:応用論点を重点的に解く。
7月~試験日(超直前期)
- 理論と計算の学習割合 7:3
- 理論:5月~6月と同じ。
- 計算:難しい応用論点には手を出さず、基礎論点を重点的に復習する。
前回のマインド編では、今の時期(9月~12月)に、私が理論と計算を学習する上で特に意識していたことをお伝えしました。ぜひ合わせて参考にしてください。
現在地を見失わないように
この時期、受験生の皆様にお伝えしたいのは、「現在地を見失わないように学習を進めてほしい」ということです。
税理士試験の税法科目は、理論も計算もボリュームが多く難しいので、暗記や計算演習に傾倒しすぎると、それ自体が目的になってしまいがちです。
皆さんは、この苦行とも言える暗記や演習を何百時間も、何のためにやっていますか?
「来年の税理士試験で合格答案を書くため」ですよね。
この問いに即答できなかった方は、既に現在地を見失ってしまっているかもしれません。
今気づけた方はラッキー。まだ間に合います。
そんなこと言われなくても分かっているよ、という方は、最短ルートを走っています。
ぜひそのまま突き進んでください。
いま自分は、何のためにこの勉強をしているのか。
それを常に意識するだけで、学習効率は大きく変わってきます。
今こそ肝心な時期です。与えられた時間はみな平等で、有限。
1分1秒を悔いのないように過ごしてくださいね!
<執筆者紹介>
ZENTA
税理士・大手税理士法人勤務。
税理士試験簿記論(2011年)、財務諸表論(2013年)に合格後は、海外赴任などで試験から遠ざかっていたが、2019年1月に勉強を再開。その後、国税徴収法(2019年)、消費税法(2020年)、法人税法(2021年)の税法科目に一発合格。2022年税理士登録。
官報合格後、地方税理士法人から都内の大手税理士法人へ転職し、現在に至る。
米国税理士(EA)試験の勉強中。
・Twitter(@ZENTA01089218)
・合格体験記(会計人コースWeb掲載)