祝☆重版出来『フリーター、税理士になる!』 【著者インタビュー】合格のためには、自分で自分の環境をつくる! 


税理士試験の合格発表日が近づいてきました。考えないようにしていても、どうしても頭をよぎってしまい、勉強に集中できないこともあるかもしれません。

いま税理士として活躍する先輩は、合格発表までの時間、どんなことを考えていたのでしょうか。

そこで、今回は『フリーター、税理士になる!』の著者である入江 日和先生(税理士)にお話を伺いました。合格発表を前に、受験環境について考えるヒントが見つかるはずです。

受験生時代を振り返って

――あと数日で税理士試験の合格発表です。振り返ってみてどんな日々でしたか。

入江先生 合格発表までってとても気が重いんですよね。私もすごく悩んで、「落ちていたらどうしよう」とか、「自分って本当にダメだな…」とか、毎日考えてしまっていました。

でも、悩んでも結果は変わらないから、もっとポジティブに捉えていたらよかったと、今なら思えます。官報待ちのときであれば、いっそのこと思い切って遊んでいたらよかったな、と。いっぱい遊んだから、切り替えて頑張ろうと思えたはずなので。

もちろん、次の科目が決まっているときは、ちゃんと勉強したほうがいいですよ。年内が勝負なので、そんなことを言っていられません!

――税理士試験を振り返ってみて、受験勉強はどうでしたか。

入江先生 こう言うと怒られるかもしれませんが、税理士試験は楽しかったです。

税理士の仕事には、「合格」がないんですよね。たまに税務調査が来て、「是認」ということはありますけど、基本的には普段は何も起こりません。

仕事としては何も起こらないのが一番なのですが、税理士試験には「合格」という目に見える形のものがあるから、わかりやすいですよね。今思えば、そのぶん、税理士試験は楽しかったなと思います。

私の場合、税理士試験の5年間があったおかげで、何をするにしても、ある程度のレベルに達するまでが早くなりました。

つまり、どんなことをやっても、「これくらいの時間をかければ、これくらいのレベルまでできるんだろうな」という予測ができるようになったんです。

何かを成し遂げるときの「最善ルート」というのは人によって違いますが、受験勉強のおかげで、「自分の中での最善ルート」というものを見つけることができたと感じています。

受験勉強と「働き方」のバランス

――合格発表のタイミングで就活などもあり、働き方について考える受験生も多いですね。

入江先生 事務所は実際に入ってみないとわからないですから一概には言えませんが、どんな事務所に入っても、「自分で環境を作っていくこと」ができると思います。

もしかしたら、今の事務所で働き続けることを迷っている人もいるかもしれませんね。

「2~3年、頑張って働いているけど自分の希望が少しも通らない」という状況なのであれば、辞めるという選択肢があっても私はいいのではないかと思います。

けれども、2~3年は、周りの人たちとの関係を積み重ねて自分の信頼をつかみとる、というくらいの気概も必要なのかもしれません。

受験生であれば、勉強時間を確保することも重要なことです。

極端ですが、「お給料が下がってもいいので、定時で確実にあがっていいですか」と提示してみるのも考え方の1つです。受験生の目標は、まずは早く合格することなので。

自分の希望が実現不可能だと思いこまず、優先順位を決めて、きちんと周りに言葉にして伝えて相談してみれば、周りは意外と受け入れて動いてくれることもあるはずです。

周りの人たちときちんと誠実に話をしていけば、きっと自分でそういうベストな環境を作っていけるのではないでしょうか。

――職場の雰囲気にもよると思いますが、「言いづらい環境」にいる人もいらっしゃいますよね。

入江先生 そうですね。職場との出会いは、運だったりもするので、その気持ちも本当によくわかります。

ただ、私個人の経験だけで言えば、2~3年いる事務所であれば、比較的そういう話もしやすくなってくるのではないかなと思います。

入ったばかりの事務所だと、周りに「この子は大丈夫だ」と思ってもらえるまで、やはり年月がかかるので、たしかに難しい面もありますよね。

その間は自分で頑張ってやりくりして勉強を続けることになりますが、2~3年いれば仕事も前向きに取り組めるようになり、周りもそういう声に耳を傾けてくれるようになると思いますよ。

時代の流れとしても、働き方について前向きに検討する事務所も増えています。業界的にも人材難なので、「安い単価でも入力だけでもしてくれる人がほしい」とか、「忙しいときは残ってくれて、普段は早く帰っていいよ」というニーズは結構あるはずです。

私自身、現在は勤務税理士として、週3~4日程度のフレキシブルな働き方をさせてもらっています。税理士という資格のおかげもあり、ある程度プライベートにじっくり向き合えて、日々充実しているかなと感じています。

どんな事務所でも、「自分の人生の中で、何が最優先か考えて、自分で環境を整える」という気概が大事なのかなと思います。

「みんなの利益」と「自分の利益」を最大限に!

――著書『フリーター、税理士になる!』では、「あきらめること」についても触れられていますね。

入江先生 もし自分が税理士試験に手ごたえを感じなければ、一回引いてみてもよいと思います。

これは決してネガティブな考え方ではなく、試験には、相性というものがどうしてもあって、自分がすごい最速で極められるものと、そうでないものがあるからです。

一度、他のジャンルに挑戦してみて、何が自分との相性がいいんだろうと探してみるのもいいのではないでしょうか。

実は私も、税理士試験に挑戦するまでに他の資格もいくつか挑戦してみたことがあります。でも、ぜんぜんフィットしませんでした。

税理士試験がつまらないなと思う人でも、他のものに挑戦してみたら、面白いと思う分野が見つかるかもしれません。

自分がいま一番面白いことが、自分が成果を出せることです。

それに取り組むことが一番効率のよいことなので、もし息詰まったなら一度あきらめるのもよいのかなと。

ちょっと手を延ばしてみたら、新しい世界が見えると思いますよ。

それでも、税理士を目指すんだと決めたなら、そのときの集中力は凄まじいものがあるはずです。

――受験環境や気持ちを整えることは、合格に欠かせないことですね。

入江先生 そうですね、自分で環境をつくるのはとても大事なことです。

なんとなく職場のみんながそうしているから、自分もそうするということも多いですよね。

もちろん周りの人の負担になったらだめですが、周りの人たちと仲良くやりながら、「みんなの利益」も考えて、「自分の利益」も最大限に引き出せる方法を考えてみてはどうでしょうか。

仕事ってチームでするものです。でも、チームのために自分を犠牲にしすぎてもよくありません。

職場にも迷惑をかけずに、合格まで最短で走る、という形ができればベストですよね。

受験生の皆さんを応援しています!

――ありがとうございました!


【お話を聞いた人】

入江 日和(税理士)

1988年奈良県生まれ。普通高校中退後、通信制高校を卒業。地元の食品スーパーにてフリーターを数年した後、独学で簿記を学び、税理士試験簿記論・財務諸表論まで独学で合格。その後、税法科目に1年1科目ずつ合格し、第67回税理士試験にて官報合格。2018年7月税理士登録。個人税理士事務所にて4年勤務した後、現在は、都内税理士法人に勤務。主な著書に、『フリーター、税理士になる! 簿・財独学&税法一発合格法』(中央経済社)がある。

【重版出来!】

『フリーター、税理士になる! 簿・財独学&税法一発合格法』

<書籍紹介>
「学歴ナシ・貯金ナシ・職歴ナシ」のトリプルゼロから卒業。そして、税理士へ! 著者が実践した勉強法やメンタル管理、受験生時代には教えたくなかったテクニックが満載です。

著者:入江 日和
定価:1,870円(税込)
発行日:2018/08/28
A5判 / 164頁
ISBN:978-4-502-27701-6
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