加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
○×問題
連結修正仕訳を示しなさい。
P社(親会社・投資会社)はS社(60%保有、持分法適用非連結子会社)へ商品を販売し、S社は当期末にP社より取得した棚卸資産1,000円(利益率20%)に保有している。
(借)売上高 120
(貸)S社株式 120
解答
×
ダウン・ストリームにより、非連結子会社へ販売したことによる未実現損益は全額消去する。
(借)売上高 200
(貸)S社株式 200
根 拠
会計制度委員会報告第9号「持分法会計に関する実務指針」
未実現損益の消去 消去額の計算 11.持分法の適用に当たっては、投資会社又はその連結子会社(以下「連結会社」という。)と持分法適用会社との間の取引(持分法適用会社間の取引を含む。)に係る未実現損益を消去するための修正を行う。ただし、未実現損失については、売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は、消去しないものとする。なお、未実現損益の金額に重要性が乏しい場合には、これを消去しないことができる。 売手側である投資会社に生じた未実現損益は、買手側が非連結子会社である場合には全額消去し、関連会社である場合には原則として当該関連会社に対する投資会社の持分相当額(連結子会社の関連会社に売却した場合には、当該連結子会社の持分相当額)を消去するが、状況から判断して他の株主の持分についても実質的に実現していないと判断される場合には全額消去する。 |
ワンポイントアドバイス
非連結子会社へ販売した未実現損益については、連結子会社とした場合との整合性から全額消去されますが、関連会社の場合は投資会社持分のみを消去します。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。