加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
○×問題
当期に交際費1,000円を費用として計上したが、税務上は損金不算入となった。法定実効税率は30%である。
(借)繰延税金資産 300
(貸)法人税等調整額 300
解答
×
交際費の損金不算入は永久差異に該当するために、繰延税金資産は計上されない。
根 拠
企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」
77. 一方で、次の項目のように、税引前当期純利益の計算においては収益又は費用として計上されるが、課税所得計算においては永久に税務上の益金又は損金に算入されないものは、将来において、課税所得を増額又は減額させる効果を有さないため、一時差異等には該当しない。 (1) 会計上、収益として計上された受取配当金のうち、課税所得計算において永久に税務上の益金に算入されないもの (2) 会計上、費用として計上された交際費のうち、課税所得計算において永久に税務上の損金に算入されないもの |
ワンポイントアドバイス
税効果会計の対象は、将来差異が必ず解消する一時差異です。
また、一時差異は、将来減算一時差異(将来の課税所得を減算させる効果のある一時差異)と将来加算一時差異(将来の課税所得を加算させる効果のある一時差異)に分類されます。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。