【日商簿記検定】来年度から新試験! これから3級を受験するなら気をつけたいポイント


渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)

2021年2月28日、第157回日商簿記検定が実施され、今年度で従来の出題形式が終了となりました。来年度から日商簿記検定は、いつでも受験できるネット試験と、あらかじめ試験実施日(6月・11月・2月)が定められている紙媒体の統一試験の両建てで実施されます。試験時間も、ネット試験・統一試験ともに、3級が60分、2級が90分となります。試験の難易度も調整され、ネット試験も統一試験も難易度を同一にするそうです。

このように、来年度から日商簿記検定が変わるわけですが、これは受験の機会がより増えるということ。これから進学や就職、転職などにあたり、日商簿記検定でスキルアップを検討されている方にとっては、より充実したキャリアを形成するチャンスです。

本記事では、日商簿記検定で受験者数が最も多い3級について、第157回試験を振り返り、これから3級を受験される方が、どのような点に注目して学習すればよいのか、その対策をお話しさせていただきます。

仕訳問題は、今後「約束手形」に注意

まず、第1問では仕訳が出題されます。第157回では、以下5つの取引が出題されました。

① 備品の売却
② 建物の修繕
③ 収入印紙・切手の購入
④ 約束手形による借入
⑤ 納品書兼請求書から取引を読み取る(消費税の処理あり)

日商簿記検定は実務に接近した試験を目指しています。その意味で、今回は⑤がより実務的であるといえ、今後も注意していきたいところです。

また、経済産業省は2月19日、2026年を目途に約束手形(紙媒体)を廃止し、電子記録債権などといった電子決済手段の利用を促進する方針を発表しました。

そのため、今後は④で登場した約束手形が、営業外電子記録債権・営業外電子記録債務に変わるかもしれません。約束手形については、今後も動向に注目する必要がありそうです。

勘定記入に関する問題は要対策

第157回の第2問では、売上帳・仕入帳と合わせて、商品有高帳の空欄を推定する問題が出題されました。

ネット試験でも、総勘定元帳(標準式・残高式)の記帳に関する問題が出題されており、来年度からはよりいっそう、勘定記入に関する問題の対策が必要といえます。

 2020年12月より施行されています。

試算表作成問題の出題形式にも注意

第157回の第3問では、基本的な取引から合計試算表を作成する問題が出題されました。

ただし、私が把握できている範囲では、ネット試験で試算表作成のための集計問題はまだ出題されていません。今後、どのような形で出題されるのか、注意したいところです。

3級でも理論対策をしっかりと

第157回の第4問では、日商簿記検定3級では珍しく、従来よりボリュームが多い理論の穴埋め問題が出題されました。

今後の試験でも、たとえば、「仕訳帳の合計額と合計試算表の合計額は一致する」など、帳簿の構造に関する理論問題が出題されるかもしれません。

これからも3級の難易度は基本レベル

第157回の第5問では、決算整理後残高試算表の作成問題が出題されました。一つひとつ、難易度としては基本的なレベルでした。

・現金の実査
・当座借越
・売掛金入金の未処理
・貸倒引当金の設定
・期末商品の評価
・減価償却
・手数料の前受け
・保険料の前払い
・法人税の確定

3級は全体としても基本的な難易度が続いています。来年度からの試験においても、この傾向は継続されると思いますので、3級を受験される方は、基本を押さえて、自信をもって試験に臨んでください。応援しています。

<執筆者紹介>
渡邉 圭(わたなべ・けい)
千葉商科大学基盤教育機構で准教授を務める傍ら、会計教育研究所「瑞穂会」で税理士試験講座(簿記論・財務諸表論)と日商簿記検定1級~3級講座を開講し、ともに多数の合格者を輩出している。


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