【簿・財 間違いさがしで実力チェック】第22回:新株予約権①


ココが間違い!

自己新株予約権の減損処理において、当期末の時価が対応する新株予約権の帳簿価額を下回る場合、自己新株予約権の帳簿価額は時価まで減額するのではなく、対応する新株予約権まで減額する。

【間違った解説】

1.決算整理仕訳

(2) 自己新株予約権の減損処理

(借) 自己新株予約権評価損 3,200
 (貸) 自己新株予約権 3,200

(注) 2個×{2,400円(取得価額)-800円(時価)}=3,200円

2.B/S新株予約権(解答の金額)

{10,000円(整理前T/Bの新株予約権)-1,000円(失効)}-{4,800円(整理前T/Bの自己新株予約権)-3,200円(評価損)}=7,400円

【正しい解説】

1.決算整理仕訳

(2) 自己新株予約権の減損処理

(借) 自己新株予約権評価損 2,800
 (貸) 自己新株予約権 2,800

(注) 2個×{2,400円(取得価額)-1,000円(対応する新株予約権)}=2,800円

2.B/S新株予約権(解答の金額)

{10,000円(整理前T/Bの新株予約権)-1,000円(失効)}-{4,800円(整理前T/Bの自己新株予約権)-2,800円(評価損)}=7,000円

チェックポイント

自己新株予約権は、会社が発行した新株予約権を新株予約権者から取得する取引であるが、株主との直接的な取引である資本取引には該当しない。

よって、自己新株予約権は、損益取引として、資産性を有するものとして処理する(「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」38項、39項)。

自己新株予約権は取得価額をもって、貸借対照表上、原則として純資産の部の新株予約権から直接控除する(なお、間接控除することも認められている)。

時価が著しく下落し、回復する見込みがない場合は減損処理をしなければならないが、評価損の計上額に注意する必要がある。

本問のように、当期末の時価800円が対応する新株予約権の簿価1,000円を下回る場合には、売却をせずに消却をした方が、会社にとって損失の計上額が小さくなり有利になるため、対応する新株予約権の帳簿価額まで自己新株予約権の帳簿価額を減額させる(14項)。

〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。

本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。


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