ココが間違い!
自己株式の取得に係る手数料は、営業外費用として処理する。よって、1株当たりの帳簿価額の計算とその他資本剰余金(自己株式処分差益)に誤りがある。
【間違った解説】
1.自己株式の取得
(借) 自己株式 1,815,000
(貸) 普通預金 1,815,000
(注1) 自己株式:
3,000株×600円+15,000円(手数料)=1,815,000円
(注2) 自己株式の1株当たりの帳簿価額:
1,000,000円(期首)+1,815,000円(取得)/2,000株(期首)+3,000株(取得)=563円
2.自己株式の処分
(借) 普通預金 2,780,000 (貸) 自己株式 2,252,000
支払手数料 20,000 その他資本剰余金 548,000
(注1) 自己株式:
4,000株×563円(1株当たりの帳簿価額)=2,252,000円
(注4) その他資本剰余金(解答の金額):
4,000株×(700円-563円)=548,000円
【正しい解説】
1.自己株式の取得
(借) 自己株式 1,800,000 (貸) 普通預金 1,815,000
支払手数料 15,000
(注1) 自己株式:
3,000株×600円=1,800,000円
(注2) 自己株式の1株当たりの帳簿価額:
1,000,000円(期首)+1,800,000円(取得)/2,000株(期首)+3,000株(取得)=560円
(注3) 支払手数料(営業外費用):
15,000円(取得に係る手数料)
2.自己株式の処分
(借) 普通預金 2,780,000 (貸) 自己株式 2,240,000
支払手数料 20,000 その他資本剰余金 560,000
(注1) 自己株式:
4,000株×560円(1株当たりの帳簿価額)=2,240,000円
(注4) その他資本剰余金(解答の金額):
4,000株×(700円-560円)=560,000円
チェックポイント
「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」14項に基づき、自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用は、営業外費用で処理する。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。
本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。