私の独立開業日誌~税理士 小林友博


自己紹介

こんにちは! 八王子で税理士をしております、小林友博です。30歳で独立開業し、1年半ほど経過したところです。現在は自宅兼事務所で相続税や所得税など個人のお客様を中心とした業務を行っています。

なんとなく取った簿記3級

実は私が「税理士」という職業を知ったのはつい最近のことです。

大学では社会福祉の学部を卒業したものの、卒業後入社した会社は福祉とは全く関係のないイベント会社。商業施設での販売促進のため、季節やセール時期に応じた集客イベントを企画・運営する会社でした。縁日を設営したり、お笑いライブを仕切ったりとなかなか面白い仕事ではありましたが、平日に企画書を作り土日はイベント現場、盆暮れ正月も関係ない労働環境に、長くは働けないな…と感じていました。

転職を考えるにあたって「とりあえず資格でも取ってみるか」と書店でなんとなく手に取った簿記3級の本。簿記がなんなのかは全く知らず、ペラペラめくって「へー。計算したりするんだ。数学は得意だしできそうかな」という理由で選びました。ちなみにその時に悩んだもう一つの資格は「eco検定」。あのときeco検定を選んでいたら、いまごろ気象予報士にでもなっていたかもしれません(笑)

たまたま知った「税理士」という職業

こうして簿記3級の勉強を始めたのが24歳のころ。借方貸方もわからない状態でしたが、勉強を始めるとなかなか面白く、いつしか目標は「合格」ではなく「100点満点合格」となっていました。6月の試験の結果は惜しくも96点。悔しい気持ちを抑えきれず、簿記2級の勉強を始めます。その年11月の試験に挑み、結果は96点。満点ならず。

次は1級…? と思っていたところ、簿記のテキストの巻末に次なる資格として税理士が紹介されており、この時はじめて税理士という仕事を知ることになりました。

人生を変えるための挑戦

簿記2級の試験が終わった直後に簿記論の講座を申し込み、働きながら勉強を開始。運よく大学で法学の単位を取得していたので、受験資格は問題ありませんでした。並行して転職活動もスタート。そんなタイミングで、当時付き合っていた彼女(現在の妻)の祖父が税理士ということが判明! これはもう運命だ、と税理士を目指す決心を固めました。彼女を通して連絡を取り、頼み込み、未経験ながらも採用していただきました。これが25歳の7月のこと。直後8月の試験で簿記論を受験・合格、2年目に財務諸表論と相続税法に合格、3年目は所得税法と住民税に合格し、実務経験要件を満たした28歳のときに税理士登録を果たしました。

独立開業戦術(?)

勤めていた事務所は未経験ながら税理士登録まで育てていただいた恩もありましたが、いろいろと思うことがあり30歳で独立。顧問先引継ぎなしのゼロスタートで不安でしたが、運や環境に助けられなんとか順調にやっています。

営業らしいことは特にやっておらず、HPを作成したぐらいでしょうか。独立前から税理士会支部の幹事をやっていたので、支部の無料相談会や商工会議所相談員の担当を回していただき、そこから相続や法人の仕事が決まりました。「若い」という理由で支部の先輩方からかわいがっていただき、急な独立も気にかけてくださいました。本当に感謝しています。税理士会の仕事は時間的な拘束も大きいのですが、若い方ほど参加する価値があるのではないかと思います。

独立した立地もよかったです。開業場所として選んだ八王子みなみ野は、八王子から2駅離れた住宅街で、ここ20年ほどで開発されたエリアのため税理士があまりいない(=競合が少ない)という理由で選びました。この選択は大正解で、「八王子みなみ野で税理士を探していた」という方からHP経由での問い合わせが多く、積極的に営業しなくても仕事が取れる状況になっています。立地は大事、ですね。

受験テクニック(のようなもの)

受験生の読者が多いでしょうから、私なりの受験テクニック? を。とはいっても自分に合う勉強法は人それぞれですから、参考までに。

所得税法と住民税のセットはオトク! です。所得税法の計算だけで住民税の計算はほぼカバーできますし、理論も一部使い回せます。なにより並行して勉強することでの相乗効果が大きいです。個人・資産税を中心に仕事をしたい方であれば、オススメです。

●授業は予習が大事だと思います。すべて通信で受講しましたが、新しいテキストが届いたら授業が始まる前に自分でテキストを読み込み、問題集をざっと一周したうえで授業を受けました。計算式などは頭に入っているので、講義では本質的な考え方や、豆知識などを中心に聞くことができます。

●理論は一字一句にこだわらず、まずは回していくことを意識しました。「一字一句覚えたら次の理論」としていると、いつまでたっても進みませんし、ストレスが溜まります。すべての理論をざっくり書けるようになることを目標にし、直前期にAランクのものから精度をあげていく戦術をとりました。回し続ければ、結果として一字一句レベルに到達します。

勉強量は大事です。土日は朝Twitterに「今日もかるーく12時間ぐらい勉強するか!」とつぶやき自分を洗脳していました(笑)試験2週間前からはお休みをいただけたので、スーパー銭湯にこもってひたすら勉強。眠くなったら水風呂に入ったり、「この理論を覚えるまで出ない!」と岩盤浴に理論集を持ち込んだり。危険なのでマネしないでください(笑)。

理想の「生き方」ができる仕事

税理士を目指してからかなりのスピードでここまで来てしまいましたが、いまの働き方には非常に満足しています。昨年10月に第一子が生まれましたが、妊婦健診や父親学級にはフル参加できましたし、現在も毎日16時半には息子をお風呂に入れ、21時には親子3人一緒に寝る生活。プライベートを優先しながらもやりがいをもって仕事に臨んでいます。

私のような働き方はもちろん、バリバリ仕事をこなしたいという方もいるでしょう。開業税理士になれば、自分の理想の「生き方」に合わせた働き方をすることができます。受験期は辛いことも多いですが、その先には明るい未来が待っています。ぜひとも、頑張ってくださいね!

私の事務所
小林友博税理士事務所
所在地:東京都八王子市みなみ野2-8-3ラフィーネB106
HP:https://kbtax.jp/

私の略歴
1987年 東京都町田市生まれ
2013年 税理士事務所に入所
2016年 税理士登録
2018年 独立開業

本稿は、『会計人コース』2020年6月号に掲載したコラムです。

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