勉強に行き詰まったら決算発表に注目しよう!


ソフトバンクGとソフトバンク

少し複雑ですが、連結、企業結合の会計を学んでいる人は、ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)、ソフトバンクの決算発表が面白いです。この両社はいわゆる親子上場で、二社とも上場しています(親子上場については、『企業会計』2019年12月号の特集を是非ご覧ください!)。
 
ソフトバンクGは、1兆3,646億円の営業損失、8,008億円の当期純損失と赤字の決算でした。一方で、ソフトバンクは、今年度は営業利益9,117億円(+935億円)で、当期純利益は、5,067億円(+125億円)の大変好調な決算でした(括弧内は前年度比)。ソフトバンクGの決算にはソフトバンクの業績が連結で含まれているので、好調なソフトバンクがグループ全体の業績にプラスの影響を与えたことがわかります。
 
ちなみにソフトバンク(子会社)は、2020年3月期に大きな動きがありました。ヤフー、アスクル、ZOZOを傘下におくZホールディングスを設立し、そのZホールディングスが、LINEとの経営統合を予定しています。
 
ソフトバンクはソフトバンクGの傘下なので、皆さんが使っているLINEはソフトバンクGの孫会社になるわけです(経営統合は2020年度に行われる予定です)。

決算は生きた教材

皆さんが今学んでいる会計学・簿記の生きた教材が決算発表にあります。実際の会計処理をイメージしながら決算発表をチェックすれば、ややこしい会計処理も簡単に思えるかもしれませんよ。ぜひチャレンジしてみてください。

<執筆者紹介>
上野 雄史
(うえの・たけふみ)
静岡県立大学経営情報学部准教授/国立研究開発法人理化学研究所AIPセンター客員研究員/掛川教育フェス実行委員会代表
会計学の研究、教育を行う傍ら、「全ての人たちが自律的」(autonomous)に生きられる社会の実現に向けた活動を行う。大阪大学、産業技術総合研究所の研究者と連携して「高校生のためのリスク学入門」を毎年県内の高校生に対して行い、リスクの啓発活動を行っている。 研究は、保険、年金、リスクマネジメントに関する会計研究。主著に『退職給付制度再編における企業行動』(中央経済社)がある。


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