【税理士合格体験記】簿・財は「0.5割:9.5割」で勉強! “奇策”で働きながら合格をつかみ取る


しげ似
(公務員・35歳)

合格科目:簿記論・財務諸表論(ともに令和3年度)
学習スタイル:独学(令和元年度の簿記論、2年度の財務諸表論は大原学園の通信コースを受講)

簿・財合格までの期限を「4年」と決めてスタート!

税理士試験の受験を決意した理由は、職場の将来性に不安を覚えたこと、学生時代から数字に強く、長所を活かした資格を習得したかったからです。

ただ、日中は仕事をしており、だらだら続けても緊張感がなくなり、惰性で勉強することになると考え、簿記論・財務諸表論の合格までの期限を「4年」と定めました。

なぜ4年かというと、1科目につき最低2回は合格までに時間がかかるという単純な考えです。

そして、「独学では合格が難しい」とインターネットや参考書に書かれていたことから、施設が綺麗で、(通信ですが)施設に通って自習ができる大原学園を専門学校として選びました。

簿・財の勉強割合は「0.5割:9.5割」

1年目は、大原学園のカリキュラムをこなして簿記論を受験しましたが、37点で不合格。いま思えば、まったくアウトプットが足りていませんでした。

そして迎えた2年目。ここで当初の目標を振り返ります。私は、4年という受験期間を設けました。しかし、果たして来年確実に簿記論に合格できるのか。

そこで、簿記論の点数がまったく合格ラインに届いていないにもかかわらず、財務諸表論の講座も申し込みました。結果的には、これが成功しました。

これもインターネットや参考書でいわれていることですが、この2科目は6割ほどが重複しているのです。財務諸表論には理論があるので、計算の気晴らしで理論を学習でき、勉強の効率も上がります。

私は、奇策なのですが、簿記論を0.5割、 財務諸表論を9.5割くらいで勉強を進めました。そのため、財務諸表論は初学にもかかわらず自信がありました。しかし、理論でヤマを外してしまうのです。

2年目の結果は簿記論が57点、財務諸表論が54点。合格ラインには届きませんでしたが、驚くべきは簿記論の点数です。勉強の比重もさることながら、買い足した問題集は大原学園の市販の問題集1冊のみ。あとは、会計人コースの直前予想問題集くらいです。

簿記論の結果を分析したところ、財務諸表論の計算は基礎固めがメインであり、その範囲での知識を中心に簿記論を解くため、いわゆる「捨て問かどうか」という判断が早くなった(複雑な問題にはそもそも手が出せません)、というものでした。

とはいえ、2科目ともに不合格。ただ、3年目も財務諸表論を中心とする方法は変えませんでした。また、今回は専門学校の講座は受けず、数冊ほど買い足した大原学園の問題集と、会計人コースの直前予想問題集で臨みました。

結果は、簿記論・財務諸表論ともに合格(手ごたえはあまりなく、自己採点もしていなかったのですが…)。

この特殊極まりない方法で簿記論・財務諸表論に合格することができましたが、さらに言うと私は、この3年間で模擬試験を1度も受けていません。単純に自信をなくすのが嫌だっただけですが、これは受けるに越したことはないと思います。自分の立ち位置と合格まで道のりが見える模擬試験。これを活用しなかったことだけは反省しています。

ただ、この簿記論・財務諸表論については、「積み上げの科目」であると実感しています。そのため、まったく点数が足りずに不合格であったとしても、コツコツ勉強することで(なぜか)点数は伸びていきます。特に、努力の要素が強い財務諸表論は、その傾向も強いように感じます。

『直前予想問題集』の使い方

会計人コースの直前予想問題集は受験した3回ともに購入しました。解きはじめたのはゴールデンウイーク後です。

ただし、時間を計って解くというよりも、1つひとつの問いに丁寧に向き合い、メリハリをつけながら解いていました。

まず簿記論は、難問には深入りせず、わからないままにしておきました。こんな問題もあるのだ、という程度に。

というのも、直前予想問題集の問題は、これまでの演習を振り返っても初見に近いものもあり、そこまで理解しようとすると時間の無駄になると思いました。この判断こそ、本試験での「捨て問」選択につながったのではないか、と今となっては思います。

ただし、基礎固めが大事な財務諸表論の計算については、すべての問題をある程度押さえるようにしました。財務諸表論の計算問題は落としてはいけないというイメージがあったからです。

財務諸表論の理論については、簿記論の難問と同様に、ほぼ重要視しませんでした。理論は、似た傾向の問題は出るものの、ベースとなる論点を暗記できているかどうかが大事で、演習問題を解けたからといって満足してはいけないと感じていたからです。

そのため、問題は解きましたが、あまり深入りせず、大原学園の1冊に要点が詰まったテキストをひたすら暗記することに努めていました。

「勉強時間」と「勉強場所」を確保したコツ

社会人が資格試験の勉強をするには、何より時間の確保がキモとなります。さらには、見つけた時間をどのように有効利用するか。そこで大事なことは、自分の弱点を知ることのように思います。

私の場合、携帯電話を勉強中に見てしまうことが何よりも弱点でした。肝心な時間を見つけても活用できず、消費してしまっては元も子もありません。

私は、短い時間をフル活用するために、携帯電話を見る機会を遮断しました。自宅で勉強するときはポストに携帯電話を入れ、外で勉強するときも常に車に置いておきました。

さらには、勉強中にストップウォッチを稼働させ、1日のトータルの勉強時間をカレンダーに記していました。モチベーションを維持するためです。ストップウォッチを使って勉強時間を計ることで、平日でもスキマ時間を見つけられるという効果がありました。

極端なようですが、皆が必死に勉強しても落ちる試験に合格するためには、度が過ぎたことも必要だと、合格することで実感できました。

ちなみに、独学をしていた令和3年度は、コロナ禍だったこともあり、時間だけではなく場所を確保するのも大変でした。図書館の自習室も1日に使用できる時間が2時間と短い。そこで、図書館をはしごし(別の市の図書館で2時間)、次にカフェを利用、と勉強場所を変え、短い勉強時間を積み重ねていきました。


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