3 基礎レベルから合格までレベルアップさせるには?
―幹の部分を理解したとして、合格レベルまでアップさせるには、どのようにしていけばよいでしょうか?
金子 税理士試験法人税法令和元年度(69回)では、第1問、問2において、「(1)交際費等の意義について簡潔に答えなさい。」や「(4)接待飲食費の意義について簡潔に答えなさい。」と意義を問う出題があり、また、「(2)交際費等から除かれる費用として、租税特別措置法及び同施行令に定められているものを5つ答えなさい。」のような法令の知識を問う問題が出題されています。
これらの内容は『法人税法入門講義』にも記載してあるものであり、基礎レベルの学習がいかに重要かということになります。
なお、これらの難易度が高くない項目は、試験では失点が大きなダメージになります。
他の受験生が正解できるところは点数を落とすわけにはいきません。
この点でも、基礎レベルの学習が重要であり、試験が近づいた時期でも疎かにできない理由があります(これに失敗すると、試験後にど忘れ等により「わかっていたのに」と後悔することになります)。
これらの基礎レベルの内容を幹として、この幹に計算における詳細な取扱いや新たな改正項目への対応を加えていくように学習することで、応用レベルの学習を進めてほしいと思います。
幹となる部分を何度も復習して幹を自分のものにすることで、応用レベルの内容もスムースに理解することが出来るようになるはずです。
多くの受験生が、幹のないままで応用レベルを詰め込もうとするので、試験が近づくとボリュームや難易度に押しつぶされるのではないかと思います。
◆お話を伺った先生
金子 友裕(かねこ ともひろ)
東洋大学教授
2009年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。博士(経営学)。明治大学助手、岩手県立大学講師、准教授、東洋大学准教授を経て現職。
<主要著書>
『法人税法入門講義(第4版)』中央経済社、2020年 他多数