<税理士試験>理論問題の読みワザ―形式と内容からわかる学習戦略


この記事は『会計人コース』2020年4月号の特集「税理士試験 「過去問」から学ぶ 試験攻略のカギ」を編集部にて再構成したものです。

過去問の重要性―「過去問」は3種の神器の1つ

税理士試験における財務諸表論の理論(以下,「財表理論」という)問題の学習において,基本書(テキスト),会計法規集および過去問が,いわば3種の神器と位置付けられます。

基本書(例えば,桜井久勝著「財務会計講義」中央経済社)によって財表理論の体系を構築し,会計法規集によって具体的な会計処理および開示の結論と理論的裏付けを確認・肉付けすることで,財表理論を習得していくことになります。

ただし,あくまでも財表理論の習得の目的は,試験に合格するところにあります。そのためには,合否に直結する過去問からをどのようなことを読み取っていくかを検討することが不可欠です。いわば,過去問は合格のための情報の宝庫だからです。

すでに,読者の皆様は,基本書や会計法規集の利用によって,ある程度財表理論の体系は構築されていると思います。しかし,基本書や会計法規集をただ漫然と学習することは非効率的です。これからは,過去問から情報を得て,本年度の合格に向けて何をインプットし,これをどのようにアウトプット(答案作成)していくかを検討していくことが大切です。
つまり,過去問の分析から,アウトプットのために効率的な情報の収集と不要不急の情報(無駄な情報)を切り捨てる勇気を持つことが肝要だと考えます。

過去問からわかることとは?

1.形式面から読み取れること

第67回(平成29年度)~第69回(令和元年度)における財務諸表論の第一問では,選択問題の出題が顕著に見られました。従来の出題に比べ理論問題に対する読解力や思考力が要求されるものと思われます。この種の出題に対しては,過去問を活用して,問題文の読み取り方,選択肢の選別方法など解法のアプローチに慣れておくことが望まれます。

2.内容面から読み取れること

⑴ 会計処理について対立する見解の考え方や会計基準が採用する処理方法の根拠を問われることが多く見られます。たとえば,次のような出題があります。

●第68回(平成30年度)第二問
退職給付債務の測定方法に係る退職給付見込額の期間帰属の方法(期間定額基準,給付算定式基準)

●第67回(平成29年度)第二問(ⓐ~ⓒ),第65回(平成27年度)第一問(ⓑ)
ⓐ資産除去債務の測定値の属性の基礎(合理的で説明可能な仮定及び予測に基づく自己の支出見積りによるという考え方,市場の評価を反映した金額によるという考え方)
ⓑ資産除去債務の会計処理の考え方(引当金処理,資産負債の両建処理)
ⓒ将来キャッシュ・フローの見積りの変更に関する考え方(プロスペクティブ・アプローチ,キャッチアップ・アプローチ,レトロスペクティブ・アプローチ)

●第66回(平成28年度)第二問
ⓐ為替差損益の会計処理(一取引基準,二取引基準)
ⓑ在外支店と在外子会社等の外貨表示財務諸表項目の原則的な換算方法の考え方(テンポラル法,決算日レート法)
ⓒ為替予約等の処理方法(独立処理,振当処理)

●第64回(平成26年度)第一問
のれんの会計処理方法(規則的な償却を行う方法,減損処理を行う方法)

●第64回(平成26年度)第二問
ストック・オプションの費用計上の論拠(費用認識に根拠があるとする指摘)

したがって,基本書や会計法規集に立ち返って,このような各種見解の対立点や会計基準の根拠などを洗い直すことが有用な学習になります。

⑵ 第68回(平成30年度)から,直接,討議資料「財務会計の概念フレームワーク」からの出題が見られるようになりました。今後もこの傾向が続くものと思われます。討議資料「財務会計の概念フレームワーク」は,各会計基準のいわば基礎となるものです。よって,討議資料「財務会計の概念フレームワーク」の読み込みと,各会計基準の関連性を意識した学習が必要です。


本誌では、このほかに実際の過去問(第69回:令和元年度)を使用して、何が読み取れるか、どう学習を進めていけばよいかを解説しています。ご購入はこちらから。

早谷準一(はやたに・じゅんいち)
専門学校東京CPA会計学院講師
東京CPA会計学院で、税理士コース財表理論を26年間担当。また、中小企業診断士として各種研修、講義等活動の分野も広げている。著書は、『会計人コース』2018年5月号付録「すらすら財表理論」、『明快図解 経営分析の基本』(祥伝社、共著)など多数。


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