「過去問題集を解いて11月の試験を受けたけど…、出題の傾向変わった?」という声がちらほらと聞こえています。
過去問題集で勉強された方にとっては、出題傾向が変わったように思われたのかもしれません。それもそのはず、2019年6月の試験から、出題範囲が変更されています。そのため、昨年度までの過去問とは試験範囲が異なっているのです。
ここでは、日商簿記3級を受験する方のために、どう出題範囲が変わったのかをざっくりお伝えするとともに、新試験範囲変更に対応したオススメ書籍をご紹介します。
試験範囲はどこがどう変わった?
1.個人商店を対象とした簿記から、小規模の株式会社を対象とした簿記へ
これまで、日商簿記3級では、個人商店を対象とした簿記が出題範囲となっていました。たとえば、昔ながらの八百屋さんのように、お店と自宅とがつながっているような個人商店の場合、自宅のお財布にちょっと持ち合わせがないときに、お店のレジから一旦お金を借りて私用の支払いをした際、「引出金」という勘定科目を使って簿記の処理を行っていました。
しかし、新しい試験範囲では株式会社を前提とした出題に変更されましたので、「引出金」は試験範囲外となっています。
一方で、株式会社を対象とした簿記になったことで、新たに試験範囲に加わったものもあります。たとえば、株式会社の設立や株式の発行に伴う処理です。これらは従来日商簿記2級の試験範囲でしたが、6月からは3級の試験範囲になっています。
また、株式会社では株主総会の決定により、配当を行うことができます。この配当に関する処理も、新しく試験範囲に加わっています。
2.ビジネススタイルや会計実務の変化への対応
近年、新たなビジネススタイルが次々と生まれています。たとえば、一昔前であれば株式を発行した場合には印刷物としての株券が発行されましたが、今はデジタル化が進み原則として紙の株券は発行されません。
さらに、手形の決済もペーパーレス化が進んでおり、「電子記録債権」の取引が普及しています。
また、クレジットカードによる取引も一般的にビジネスで利用されていることから、日商簿記3級でも「クレジット売掛金」という新しい勘定科目が設定されて試験範囲に加えられています。