前回(第1回)に引き続き、『会計法規集』の読み方・使い方を解説します。
Q3 なぜ『会計法規集』が必要なの?
A Q2で本書の内容はまさに実務の基盤であることはわかったと思いますが、税理士試験・会計士試験・簿記検定においても大変重要です。なぜでしょうか? 理由は以下のとおりです。
① 税理士試験、会計士試験は、国が申告納税制度、会計・監査制度の一翼を担うにふさわしい人材かを確認する試験であるから、会計制度の出題が中心になり、本書に収録されている法令・会計基準等は、日本の会計制度の根幹をなすものであること ② 簿記の仕訳は、会計制度の規定を前提にしており、また財務会計のテキストは本書に収録されている内容を整理してまとめたものであるから、原文を読めば理解がより深まること ③ 本書に収録されている法令・会計基準等は、いわば会計制度の公式文書であり、学者・実務家の共通基盤といえ、試験委員は安心して出題できるとともに、採点に際してもこれらの文言を使用した文章のほうが好印象であること |
なお、税理士試験の受験案内、会計士試験の出題区分の要旨には会計基準等のみならず法令も試験範囲に含まれており、特に税理士試験では法令も毎年出題されています。本書はともに収録されており、資格試験の学習に最適です。
Q4 本書を使いこなすために知っておきたい基礎知識①:会計基準のしくみについて教えてください。
A 会計基準は、戦後長い間、大蔵大臣の諮問機関である「企業会計審議会」(以下、「審議会」といいます)が設定していました。しかし、社会情勢の急速な変化に対応し、会計基準の機動的な開発を図るため、2001年に民間団体である企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan / 略称:ASBJ。以下、「ASBJ」といいます)が審議会に代わり、会計基準の設定を行うこととなりました。
なお、現在の会計基準等の体系は次のとおりで、本書は会計諸基準編で主に「会計基準」を収録しています。