ライフプランナー/会計士・菊池諒介、事務所経営者の素顔に迫る File4:株式会社アクリア代表・川崎勝之氏・平石智紀氏③


【編集部より】
税理士法人や会計事務所はたくさんありますが、いざ自分の就職先として選ぶ場合、どういう点に特徴があるのかわかりにくいこともあるかもしれません。そこで、本企画では日頃からライフプランナーとして、さまざまな会計事務所等と関わりを持つ菊池諒介先生(公認会計士/写真中央)が、いま注目の法人・事務所経営者の素顔に迫ります。
File4は、株式会社アクリア代表取締役の川崎 勝之先生(公認会計士・税理士/写真左)・平石 智紀先生(公認会計士・税理士/写真右)との鼎談です。
<全3回>
第1回 経営で大切にしていることや事務所の雰囲気

第2回 会計士を目指すきっかけや経営当初のこと
最終回 これからの会計事務所や受験生へのメッセージ

これからの会計事務所

菊池 最近では生成AIが仕事に与える影響なども話題にあがりますが、これからの時代に求められる会計事務所について、お二人のお考えをお聞かせください。

川崎 そうですね。一般にもDX化が進んでいるので、単に決算書などを作るだけでは価値が出せないと思っています。もちろん、成果物を出すことは重要ですが、私たちとしては、そこまでのプロセスを含めたユーザーエクスペリエンスを通じて、「アクリアがよかった」と言ってもらえるように、相手と対話してサービス提供していきたいと考えています。

また、そうした対話を重ねることで、また違うプラスアルファの価値が生まれ、より良いサービスが提供できるようにもなるとも思います。

菊池 特に近年はコロナの影響もあり時代の変わっていくスピードが早いなと感じますが、ここ数年でクライアントからのニーズが変わったことなどは何かあるでしょうか。

平石 上場会社では、DX化の流れに加えて残業問題などもあって、経理事務などのバックオフィス全般をプロフェッショナルが一緒に手を動かして推進してほしいというリクエストが増えています。業務を改善したり、最新情報を提供したりすることはもちろん、実務面からも支えてほしいというニーズですね。

他に、ベンチャーサイドでは、会計や税務周り、IPO支援などをしっかりとすることはもちろん、経営者の相談に対応できるような実務的なディスカッションがしたいというニーズも大きいです。

今はインターネットで検索すれば一般的な情報は調べられますので、「自社に当てはめた形で実務的な回答が欲しい」という要望が大きいです。つまり、「一般的には○○ですが、お客様にとっては△△がいいのではないでしょうか」ということが言えるかどうかが重要になってきます。

そういった意味では、お客さんが進むだろう未来に合わせて、私たちもアンテナを張っておくことは重要ですね。

そして、上記のクライアントニーズに適したサービスを展開するうえで重要な要素は「人」だと思っています。

クライアントニーズに、私たちアクリア側がファームとして、チームとして、個人として徹底的に向き合い、マッチしていることが大切です。一方で、それらが個人の志向と一部ズレてきた場合にどうアジャストするかということも真剣に考えています。

たとえば、個人としてはベンチャー支援全般を志向している中でその経験を積みつつも現在でもクライアントニーズがあり個人としてもバリュー発揮できるIPO支援領域において、個人のキャリアとしても重要であることをお互い擦り合わせたうえでアサインしていくなど、クライアントに対するプロフェッショナルな価値提供とチームワークを前提にメンバー側の環境づくりに向き合うことを重視しています。

メンバーと長く付き合い、一緒に会社を作っていくためにも、対話を重ね、お客さんのニーズを社内でしっかり共有しつつ、個人のやりたいことが将来につながっているのかを毎回「見える化」して、ノウハウをシェアして機会を提供し続けることが大切だと思っています。

菊池 若手に事務所の未来図を見せるということを大切にされているから、アクリアさんで長く活躍するメンバーの方が多いのでしょうね。

川崎 はい。我々から若いメンバーに未来を示すだけでなく、逆に若いメンバーから情報や意見を得て、経営方針に活かすことも多くあります。ファームとしての将来像を示すことはもちろんですが、そこに個々のメンバーの未来も重ねて共感していけることが重要だと考えています。

平石 いろいろなものが自動化されたり、新しい技術が出てきたりしても、クライアントの真のニーズに向き合い続け、フィットするプロフェッショナルサービスをファームで提供することが最重要です。真のニーズが理解できており革新的な技術をキャッチアップしていればツール等の手段が変わってくるだけなので、そこにチームやファームでノウハウを結集させればよいのではないでしょうか。

面接は「する側」も「される側」もお互いを判断する場

菊池 今後のさらなる事業拡大にあたって、採用方針や人材育成についてもお話をお聞きしたいと思います。当初はリファラル採用で初期メンバーから広がり、今は採用サイトなどからの応募も増えていると思いますが、採用において意識されていることはありますでしょうか。

川崎 アクリアの雰囲気をわかっていただくために、採用面接を一巡すると少なくとも5人以上のメンバーに会っていただけるようにしています。その過程を通して、合わないと思った応募者の方は辞退される可能性もありますが、それだけアクリアの中身を見て、知ってもらって入社していただくようにしています。

逆に、メンバー側でも、面接でのやりとりを通して自分の考えとすり合わせ、その方の人柄やアクリアとマッチするかなどを見てもらうようにしています。

平石 私も川崎さんも含めて、役員は必ずどこかの段階でコミットしていて、面接だから相手を見定めるというのはもちろん要素としてはありますが、それ以上に、こちらのことも見ていただく場だと捉えています。

もし相手のほうから合わないなという結論になったとしても、少なくとも「いい会社だな」、「メンバーのあの人の雰囲気が良かったな」と思って帰っていただきたいと思っているので、採用する側・される側のお互いで判断をするというスタンスでいます。

菊池 あえてお聞きしますが、専門性などのスペック面は高いけど、人柄などソフト面で貴社に合わない可能性があるなという人はどういったタイプでしょうか。

平石 そうですね。あえて言語化するとすれば他責思考な人でしょうか。他にはノウハウシェアや機会の提供を文化としており、チームワークを重視していますので、専門性を追求する過程においてチームへの還元の意識が少なく個人の軸が強すぎる傾向がある方もそういう可能性があるかと思います。もちろん、プロフェッショナル意識が高いという意味での個人に軸があること自体は悪いことではありませんが、アクリアは「実際にできるものはシェアしましょう」という文化なので、そういったチームワークの形成ができる人がマッチすると思います。

川崎 むしろ、少しおとなしかったり、逆に少し口下手だったりするのは全然構いませんし、その中に、正義感や緻密性などが垣間見えたらいいなと思いますね。

大手法人のように研修体制が整っているわけではありませんが、どちらかというと「機会やノウハウを提供するので、自分が学んだものもメンバー同士でシェアしてね」という関係性で今まできています。

もしメンバーが次のチャレンジのために別のキャリアを歩むことになっても、長く縁を続けていける関係、たとえ今一緒に仕事をしなくても、お互いによい形でフォローできる関係をすごく大切にしています。

菊池 一貫して、メンバーをすごく大切にされている事務所さんだという印象を強く持ちました。お2人から始まったご縁が切れずに、それが今日に至るまで良い形で波及されているのだと思います。

オーナー経営者のパートナーとしての保険外務員とは

菊池 少し話は変わりますが、僕自身も公認会計士でありますが、保険外務員としてオーナー経営者さんと関わらせていただいております。僕自身は保険外務員ももっと経営者の頼れるパートナーであるべきだと思い、そのような姿勢で向き合っていますが、会計事務所側から見て、どのような保険外務員がオーナー経営者さんのパートナーになりうると思いますか。

川崎 私としては、税務でオーナー経営者さんと向き合うときには保険がスキームの1つに入ることもあるので、その時にニーズに合わせた選択肢を提案していただけるならお願いしたいなと思います。サービスありきではなくて、お客さん側に何が最適なのかをぜひ保険外務員の方に教えていただきたいです。

平石 保険の最新情報や今どういうリスクがあるのかは保険業界の現場にいないとわからないこともありますからね。

オーナーにとって重要なお金のことですし、税金のこともあるので、本来は普段から話しやすい会計事務所もそういう存在になるべきだとは思いますが、どうしたらオーナーにとってベストなのか、会社の価値を上げられるのかなどを考えて、保険と税務を組み合わせて提案できることが重要なのではないでしょうか。今はインターネットで調べれば情報が出てきますが、「結局どれが自分に合っているのか」は人でないとわからないのかなと思います。

次世代を担う会計人材・受験生の皆さんへ

菊池 それでは最後に、次世代の会計人材に向けて、メッセージを頂けますでしょうか。

川崎 経済がこれだけ発展している中で、会計・税務が関係のない世界というのはほとんどありません。私自身は、就職活動の時に自分の価値をどのように世の中に問えばよいかがわからず悩みました。そんな時に、公認会計士という資格と巡り合えたことで、世の中に自分を問うことができ、世界が広がり、選択肢が圧倒的に増えました。

もし、今「どんな会計士・税理士になりたいか」が想像できていなくても、試験にパスすることで広がる世界があります。ぜひ明るいイメージを持って、まずは頑張って受験勉強をクリアして、世の中で活躍していただきたいなと思います。

平石 私も、会計士・税理士という資格は本当にさまざまな機会を与えてくれていると感じています。資格を持っていることで、若手のうちから経営者の方と話せたり、銀行との打ち合わせに同席したり、早くから経験できることも多いです。

試験合格後は、私の場合、先輩の会計士の方々にいろいろと教わるなどして、ご縁でキャリアを積んできたところがありますが、他にも監査法人や税理士法人、事業会社や独立などさまざまなところに活躍の場があります。

受験勉強はコツコツと地道で大変ですが、この期間をしっかりと乗り越えられれば、それに見合うだけのものがかならずあります。ぜひこの業界に入って仲間になり、どこかでお会いして一緒に仕事をしたり、世の中に影響を与えられたりできるといいですね。

実は『会計人コース』(当時、月刊誌)には講師時代に何度か執筆しましたが、今回、このようにインタビューを受けるようになったことはすごく嬉しいなと思います。

受験勉強をしていると、もしかしたら周囲の雑音がいろいろと聞こえてくるかもしれませんが、安心して勉強してください。
今勉強していることやその後の実務経験は、どんな世の中になったとしても必ず求められますから。

(全3回おわり)

<鼎談者紹介>

川崎 勝之

公認会計士・税理士

株式会社アクリア代表取締役・税理士法人アクリア代表社員
1995年東京経済大学経済学部卒業。1999年公認会計士二次試験合格、センチュリー監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)入所。2003年4月公認会計士登録。
2005年株式会社デジタルガレージ入社、2006年同社業務執行役員、2009年同社上級執行役員。2012年株式会社アクリア 代表取締役、税理士法人アクリア代表社員就任。この他にも、数社の監査役等を務める。

平石 智紀

公認会計士・税理士

株式会社アクリア代表取締役・税理士法人アクリア代表社員
2001年慶應義塾大学経済学部卒業。2002年TAC株式会社入社、公認会計士二次試験合格。
2003年新日本監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人) 入所。2007年公認会計士登録。
2008年監査法人アヴァンティア入所。2011年株式会社アクリア代表取締役就任。2014年税理士法人アクリア代表社員就任。2015年日本公認会計士協会東京実務補習所運営委員会副委員長。この他にも、数社の取締役・社外監査役等を務める。


◆菊池 諒介(きくち・りょうすけ)

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プルデンシャル生命保険株式会社 東京第三支社
コンサルティング・ライフプランナー
公認会計士
1級ファイナンシャルプランニング技能士

2010年公認会計士試験合格。約3年間の会計事務所勤務を経て、「自身の関わる人・企業のお金の不安や問題を解消したい」という想いで2014年、プルデンシャル生命にライフプランナーとして入社。MDRT(下記参照)6年連続入会、2022年はCOT(Court of the Table)入会基準を達成。その他、社内コンテスト入賞や長期継続率特別表彰など、表彰多数。2016年より会計士の社会貢献活動を推進するNPO法人Accountability for Change理事に就任。公認会計士協会の活動として組織内会計士協議会広報専門委員も務める。趣味はフットサル、カクテル作り、カラオケなど。

MDRTとは
1927年に発足したMillion Dollar Round Table(MDRT)は、卓越した生命保険・金融プロフェッショナルの組織です。世界中の生命保険および金融サービスの専門家が所属するグローバルな独立した組織として、500社、70カ国で会員が活躍しています。MDRT会員は、卓越した専門知識、厳格な倫理的行動、優れた顧客サービスを提供しています。また、生命保険および金融サービス事業における最高水準として世界中で認知されています。

個人ページ:https://mylp.prudential.co.jp/lp/page/ryosuke.kikuchi

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