公認会計士・税理士 加藤大吾
本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。
本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。
難易度 | ★★☆☆☆ |
問題8 固定資産①
【問】 次の〔資料〕に基づき,当期(X8年4月1日~X9年3月31日)の損益計算書の減価償却費はいくらか,求めなさい。なお,円未満に端数が生じる場合は,その都度,切り捨てること。
〔資料〕
1.固定資産台帳は,次のとおりである。なお,残存価額はゼロとし,備忘価額を考慮する必要はない。また,前期までの減価償却費の計上は,適切に行われている。
2.当期首(Ⅹ8年4月1日)に建物の耐用年数の見直しを行い,当初の耐用年数50年を11年短縮し,残存耐用年数を32年とする見積りの変更を行った。
【間違いを含む解説】
1.決算整理仕訳
(1) 建物
(借) 減価償却費 268,750
(貸) 建物 268,750
(注) 8,600,000円(期首帳簿価額)÷32年(残存耐用年数)=268,750円
(2) 備品
(借) 減価償却費 59,326
(貸) 備品 59,326
(注1) 200%定率法の償却率
1÷8年×200%=0.25
(注2) 減価償却費
237,306円(期首帳簿価額)×0.25(200%定率法償却率)≒59,326円(切捨て)
2.P/L減価償却費(解答の金額)
268,750円(建物)+59,326円(備品)=328,076円
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