英語どうする!?会計士試験12月短答に向けて~LEC寺本先生からのアドバイス


寺本瑛(株式会社東京リーガルマインド 公認会計士課 LEC専任講師
(租税法、短答<英語>対策講座))

はじめに

令和7年12月16日。公認会計士・監査審査会から、令和9年第Ⅰ回短答式試験より英語による出題を行う旨のリリースがあった。
令和8年12月に実施される短答式試験から英語が出題されるということだ。
「1年後!?」という衝撃と共にX(旧Twitter)でも大きな話題となったことが記憶に新しい。

公認会計士・監査審査会のリリースにもある通り「公認会計士には一定の英語の能力が求められるようになっている」ことを理由に英語の出題について理解を示す方も見られた一方で、英語出題に対して不安がある、試験の撤退を考える、といった意見も複数見られた。

当初のリリースから5カ月、令和8年5月25日。「令和9年公認会計士試験短答式試験における英語による出題に係る配点の割合及び出題範囲について」がリリースされ、英語による出題に係る配点の合計点は短答式試験の総点数の5-6%程度となること、また、重点的な出題範囲が示された。

短答式試験の総点数の5-6%なので25点から30点の出題が想定される。
英語が苦手だからと完全に切り捨ててしまうにはリスクが高く、かといって試験に合格する効率の観点からは重点的に対策するほどの割合でもない、というのが受験生の皆さんからすると正直な感想ではないだろうか。

言葉を選ばず言うと、なんとも悩ましい配点割合なのだ。
合否に直結する配点割合かと問われてもなかなか明確に答えづらい。

この英語での出題に対して、そしてまずは令和9年第Ⅰ回短答式試験に対してどう備えるか、今回は考えていきたい。

求められる英語のレベル感について

どういったレベル感の英語が出題されるか、という点については、公認会計士・監査審査会は「英文を読む負担があることを踏まえた難易度」としている。
また、問題文のボリュームについては、1問にかけられる時間を考慮しつつも「試験時間に比較的余裕のある監査論では、英文の量が多い問題も出題する 」と、不穏な雰囲気の但し書きもされている。

TOEICで何点取れるぐらいの英語力だと安心か?という質問もあるかもしれないが、個人的にはこの質問に対して正面からの回答を差し控えたいというのが本音だ。
というのも、財務会計・管理会計・監査論といった内容の英語については、TOEICの点数が高かったとしても理解できない可能性が高い。
これは「それほど難しい」という意味ではなく、「通常の語学学習」と「専門用語の学習」が全く異なる分野だから、というところに理由がある。

もちろんTOEIC等、英語能力を問う試験で高得点を既に取っている人が有利になる部分があることも否定しないが、それだけではない、ということだ。

例えば”Overhead”という英単語。基本的には「頭上の」という意味になるが、ビジネス・会計分野では「間接費」を意味し、IT分野では「余分な負荷」を意味する。ビジネス・会計分野やIT分野での使用法は、TOEICで900点取れるレベルだとしても知らない可能性が高い一方で、その分野で英語を使った人であれば理解できる可能性が高い。

筆者は大学卒業時点でそれなりに英語力には自信があったのだが、新卒入社した会社で「月に一度送られてくる英語のレポート(内容としてはビジネス・会計)を翻訳する」仕事を担当した時に、その自信がポッキリと折られることになった。
当時はインターネット翻訳も生成AIもなく、わからない単語は辞書を引いた。

文法もある程度分かるし英単語も1つ1つはわかるのだが、訳せないし、文章として理解できない。
新卒当時はビジネスや会計に対する知識がほとんど無かったため、「TOEICの点数が高い」だけではその仕事はうまくできない、ということがわかった。
私のビジネス・会計分野での英語の基礎はここで叩き込まれたと考えている。

要は、専門分野に関する英語は「そもそもその根本となる知識があるか」や「専門用語を押さえられているか」という要素も理解力を大きく左右する。
公認会計士試験で英語の出題があったとしても、やはり重要なのはその根本となる日本語での知識になるだろう。

これまで受けてきた英語のテストで点数の差はあるかもしれないし、それで自信を持ったり自信を失ったりする、というのも理解できる。
しかし「会計士試験における英語出題」を前にすると、スタート地点に大きな差はないのではないか。これまで英語が苦手だったからという理由で英語での出題を諦める必要は全くない。

短答式試験に向けてどう対策していくか

ここまでの話から、令和9年度第Ⅰ回短答式試験に向けてどう対策していくか、ということを考えたい。

とにかく重要なことは、英語よりも前に日本語で内容を理解し、覚えるべきことを覚え、問題が解けるようになっていることだ。
この下地があってはじめて英語対策のスタート地点に立っていると言える。ここから先の話は、この前提を満たした上での話になる。

まずはじめにやってはいけないと個人的に考えていることは、英単語集といったものを一通り勉強しようと始めてしまうことだ。
例えば、財務会計で出題される英単語を一通り全て見た上で問題に取り掛かろうとしても、英単語を忘れてしまってまた英単語を学習するといったことが起こりかねない。

人によって英語の習熟度に差があり一概に言いづらい部分もあるが、私の基本的なおすすめは、

  1. 学習する分野を定める
  2. その分野で出る英単語/イディオムを覚える
  3. その分野の問題を英語で解いてみる

のスタイルだ。
このミニマルなサイクルを細かく積み重ねることで、英単語/イディオムの問題内での使われ方を覚えやすい。
LECの短答式試験に向けた英語対策講座も、このサイクルを採用した学習法を取り入れている。

気持ちの備え

まず、これまで見てきた通り配点は総得点の5-6%が見込まれ、できないことがすぐに致命傷になるわけではない。
とはいえ、会計士試験では「皆が拾ってくる問題をしっかり拾えること」がとにかく重要で、英語問題についても同じことが言える。なので完全に捨ててしまうことはできれば避けたい。

例えば、ラスト1週間まで英語に手がつかなかったとしても、用語をさらっておくだけで得点が可能かもしれない。
だが、あまりに余裕があるからと英語ばかりを学習する日があるのもアンバランスだ。

総得点の5-6%の出題であること、重点的な出題範囲があること、英文を読む負担を考慮した難易度となることが今のところ発表された内容であるため、これらを元に各自で自らの戦略を立てて受験勉強に臨むことが必要となる。

最後に~受験生の皆さんへ

今回の変更で短答式試験を受験する皆さんには大きな心理的負担があると想像します。
悩むこともあると思いますが、過度に悲観的になることなく、楽観的になることもなく、がんばってください。

応援しています!

著者プロフィール
寺本 瑛(てらもと・あきら)


株式会社東京リーガルマインド 公認会計士課LEC専任講師(租税法、短答<英語>対策講座)。
1989年生まれ。大阪府の田舎出身。資格は公認会計士、ロシア連邦教育科学省認定ロシア語検定試験第2レベル、普通自動車免許。一般事業会社勤務を経た後、公認会計士試験に合格し、監査法人や会計事務所勤務を経て独立。講師業以外にはスタートアップ企業への経理業務支援等を行っている。
X(旧Twitter)やnoteでは、日々感じたことをクセ強めに発信中。

X(旧Twitter):@city_booy
note:https://note.com/city_booy


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