川上悠季(税理士)
【編集部より】
答練や模試が本格化する直前期は、難しい論点や新しい論点がつい気になるところです。しかし、どの科目においても、合否を分けるのは「基礎論点」と言われます。
そこで、本連載では、消費税の課税判定に関する○×問題を、税理士の川上悠季先生に週一ペースで出題していただきます(全8回)。各回、全5問なので、スキマ時間での基礎固めにぜひご活用ください!
こんにちは! 税理士の川上悠季です。
税理士試験本番まで残り2ヵ月を切り、いよいよ佳境の時期に入ってきましたね。
直前期は難易度の高い応用的な論点に接する機会が多くなりますが、そのような中では、ついつい基礎論点の復習を疎かにしてしまいがちです。
そこで、本連載では、消費税法の基礎論点の理解度チェックのために、〇×問題を出題します。(全8回・毎週金曜日掲載予定)
それでは早速、基礎論点の理解度を測るために、今週の5問に挑戦してみてください!
問題(全5問)
解答・解説
問1.〇
土地の貸付けは非課税取引とされていますが、駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は課税取引となります。
問2.〇
身体障害者用物品の譲渡は非課税取引に該当します。
問3.×
飲食料品の持ち帰り販売には軽減税率が適用されますが、酒税法に規定する酒類(アルコール分1度以上の飲料等)については、軽減税率の適用対象外となります。
問4.〇
特許権の譲渡・貸付けに係る国内取引の判定は、原則として、その登録機関の所在地が国内にあるかどうかにより判定を行うため、本問の取引は国内取引に該当します。なお、同一の権利について2以上の国で登録している場合には、権利の貸付けを行う者の住所地(=住所又は本店若しくは主たる事務所等の所在地)が国内にあるかどうかにより判定を行うことも押さえておきましょう。(本問の場合は日本のみで登録されているため、原則的な考え方で判定します。)
また、外国法人に特許権を貸し付けているため、非居住者に対する無形固定資産の貸付けとして免税取引に該当します。
問5.×
基準期間における課税売上高が1,000万円以下である事業者(適格請求書発行事業者を除く。)は納税義務が免除されます。適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であったとしても納税義務は免除されないことに注意しましょう。
学習到達度とアドバイス
いかがでしたか?
今回の問題は、問1・2は非課税取引、問3は軽減税率、問4は国内取引の判定と免税取引、問5は納税義務判定の論点から出題しました。
いずれも基礎的な内容であり、是非とも満点を取ってほしいところです。
もし間違えてしまった問題がある場合は、応用的な論点の学習はいったん置いておき、当該間違えた論点について基礎から重点的に復習するようにしましょう。
次回(6月21日掲載予定)の問題も、ぜひ挑戦してください!
<連載「基礎力チェック! 消費税課税判定クイズ」バックナンバー>
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回(最終回)
【執筆者紹介】
川上 悠季(かわかみ・ゆうき)
慶應義塾大学卒業。
23歳で税理士試験官報合格(簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、事業税)。
2022年日税研究賞入選。2024年新日本法規財団奨励賞(会計・税制分野 優秀)受賞。
自身が税理士受験生だったときにスマホアプリ「消費税法 無敵の一問一答」を開発。「楽しく学ぶ」をモットーに、アプリやウェブサイト、SNSなどを通じて消費税法の知識を広く発信している。
・X(@YukiKawa_Tax 本人アカウント)
・X(@mutekishouhizei 消費税法一問一答アプリアカウント)
・「消費税法 一問一答アプリ」公式ホームページ