いよいよ直前期を迎え、このゴールデンウィークにはまとまった時間を確保し、「効率よく勉強したい」「遅れを巻き返したい」と考えている受験生も多いのではないでしょうか。
本企画は、「この時期にどのような取り組み方をしていたのか」という視点で以下の7つのテーマについて、6名の官報合格者にお聞きしました(テーマごとに随時掲載)。
<テーマ紹介>
第1回 ゴールデンウィークの過ごし方
第2回 答練の活かし方(本記事)
第3回 模試への向き合い方
第4回 計算対策
第5回 理論対策
第6回 不安の乗り越え方
第7回 過去問の活かし方
第2回の今回は、「答練の活かし方」をテーマに、3つのお悩みについてアドバイスをいただきました! ぜひ参考にして今後の戦略に役立てください。
※回答は質問ごとに五十音順・敬称略、年齢や職業は官報合格時
Q そろそろ解答の型(解答手順、時間配分など)を固めたいです。答練で意識していたことは何ですか?
自分に合った解答方法を試行錯誤して見つける!(CR(20代、専念))
答練当日は、特に時間配分や個々の問題の解く順番、計算からやるか理論からやるかなど、科目ごとに自分に合った解答方法を模索することに努めました。
答練はもちろん個々の論点の理解度を測るものです。
しかしそこに時間を割いてしまうのはもったいないと思います。
「2時間」という決められた時間の中ですべての問題に手をつけられるわけではありません。
答練でどれだけ理解を深めた論点であっても当日出題されなければ試験ベースでは意味がないことになります。
なので、さまざまな解答の型を試してみて自分に合ったものを探すといいと思います。
答練は単に理解度を測るためのものではなく、「解答方法を磨くもの」でもあるとも思っています。
▶︎CRさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・固定資産税・法人税法・国税徴収法
合格体験記:「全科目一発&2年で官報合格! 「科目ごとの勉強アプローチ」がカギ」
無駄のない型を決め、その方法で何度も解く!(ボザイ(30代、税理士法人勤務))
意識したこととしては、当たり前ですが、「一番無駄がない流れはどれか」ということです。
たとえば、消費税でいうと電卓のメモリー機能などを使うと思いますが、どの順で解くとメモリー機能を無駄にせず解答できるかなどです。
解き方にはいろいろあると思いますが、一番大事なのは自分が決めた方法で何度も解いて、本番で型通り動いて余計な思考を働かせないことができるようになることだと思います。
正直劇的に効率が良い方法はないと思うので、本番でいかに慣れている解き方をいつも通りできるかの方が大事だと思います。
▶︎ボザイさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・法人税法・相続税法
合格インタビュー記事:「ボザイさんに聞く! 税理士試験 簿・財独学から始まった官報合格までの道」
Q 答練の解き直しはしましたか?
Yes:解答時間を短くして解き直す(竹内孝秀(大学4年))
答練の解き直し(計算)は必ずしました。
同じ問題を2回くらい解き直したと思います。
初見で解いたときも加えて合計3回ほど解くことになります。
前提として、私は1回で満点が取れたことはほぼありません。
科目によりますが、何回やっても満点が取れるような問題なら解き直しはしなくてもいいと思います。
問題を解いて間違えたものは、その後復習や振り返りをするかと思います。
その復習したものがちゃんと定着しているかの確認をするために解き直しをしていました。
復習や振り返りをしても、実際の問題で解けなければ、せっかくの知識定着の機会を失うことになります。
また、満点近く取れたものでもたまたま合っていた場合もありますよね。
迷ったものなら後から復習の際に確認できますが、偶然できたものは確認を怠ることが多いです。
解き直しはこうしたものを見つけるのにもちょうど良いと思っています。
相続税法のように、スピードと正確さが求められる科目については、たとえ満点だったとしても何度も解き直すのは効果があります。
計算パターンや解答手順の定着、計算ミスの傾向など知識以外で得られるものが多いです。
スピードが求められるものについては、解き直しの際、徐々に解答時間を短くすることをおすすめします。
初見での標準時間が70分なら、1回目の解き直しは63分(70分×0.9)、2回目は56分(70分×0.8)とすることで初見に近い緊張感が解き直し時にも生まれやすいです。
ぜひ試してみてください。
▶︎竹内さん
合格科目:簿記論・財務諸表論・所得税法・法人税法・相続税法
合格体験記:「大学在学中に国税3法で官報合格を達成! 決め手は計算・理論ともに「理解」から攻めたこと」
Yes:間違いノートにリストアップ!(たこやき(30代、会計事務所勤務))
計算の答練の解き直しは必ずしてください。
なぜなら、受験のプロが作っているので、本試験を見据えた問題が数多く出題されています。
実際に私は外販教材には手を出していませんが、講義で配付されるトレーニングと答練で十分合格点を取れました。
ただし、時間に余裕のある方は問題全てを解き直ししてもいいと思うのですが、私はフルタイムで働いており、さらに残業も多く、時間に余裕がありませんでした。
なので、答練で出題された問題のうち、「間違えた問題」と「正解していたけれど忘れそうだなあという問題」だけをピックアップし、間違いノートにリストアップしていました。
そして間違いノートを見直す時間を設けて、そこで何度も解き直しをしていました。
本試験では間違いノートにリストアップしていた問題がいくつも出たので、時間のない方にはとてもおすすめの方法かと思います。
▶︎たこやきさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・相続税法・法人税法
合格体験記:「「本命科目」と「もう1科目」の同時学習がカギ! 働きながら6年で官報合格!」
No:まとめノートを定期的に見返す(かんと(20代、経理職))
答練の解き直しはしませんでした。
育児と仕事をしながら法人税法と所得税法の同時受験だったため、体力温存と時間効率に軸を置いて学習を進めたかったからです。
一度正解できて理解もできている箇所は、今後答練を解き進めていくうちに何度も復習することになるのと、基本的に毎回解けるので、行き詰まったときや間違えたときに振り返るようにしました。
解ける問題を何度も解き直すより、その分の時間で解けない問題の対策をした方が効率的なので、解けない問題に着目してどんどん進めていく方がいいと思います。
また、解き直しはしない代わりに、正解した箇所も含め解説を精読し、今後の自分に必要な情報だけをピックアップしてノートにまとめて定期的に見返すようにしていました。
▶︎かんとさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・消費税法
合格体験記:「育児・家事・仕事・学習の4足の草鞋を履いて、法人税法&所得税法を同時合格&官報達成!」
Q 独学で答練を受けていません。代わりにどのような勉強をすればよいでしょうか。
過去問を使って合格レベルかどうかを判断する!(もち(40代、税理士法人勤務))
まず、私は全ての科目に独学で合格したため、「答練」というものがどういったものなのかよく存じ上げていないことをご承知おきください。
私の場合、周期的に過去問のうち1年分、制限時間を決めずに理論問題・計算問題のすべてを解答しました(計算に関しては納付税額まで求めます)。
そして、解答し終えるまでの時間と正答数を記録しておき、その時間が2時間以内となり、かつ、正答数が6割を超えたら合格レベルであろう、という判断をしていました。
過去問は試験委員が作成した問題ですので、本番の試験を合格できるレベルであるかどうかの判定に用いるのに最適だと思います。
▶︎もちさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・所得税法・相続税法
合格体験記:「13年かけて掴んだ5科目合格! すべて独学だからこそ、実務に役立つノウハウを得た‼」
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答練への取り組み方一つとっても、官報合格者によって、その目的や方法がさまざまでした。また、独学の場合や環境によっては、答練を受験しない方もいるでしょう。その場合も、過去問演習などのように何らかのアウトプットトレーニングは必要です。
これから本格化する答練の効果を最大化させるために、ぜひ参考にしてください!
次回は、「模試への向き合い方」について官報合格者からのヒントをまとめます(4月26日掲載予定)。
<直前期にオススメの書籍>