【編集部より】
新年度スタート目前! 「スキルアップがしたい!」、「キャリアやプライベートで新しい発見がしたい!」と考えている人も多いのではないでしょうか。そこで、本企画では、実務家・講師などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「春休みの課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載します・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
今回の記事では、まーちゃん先生(税理士)に課題図書をお薦めいただきました!
春。私事ですが、この春から息子が中学に入学します。娘も小学5年生に進級します。正直なところ、つい最近、歩いたばかりだと思っているのですが、その感覚でいくと、子供たちが私の元を巣立ち、大人になるのもきっとあっという間なんでしょう。
そう考えると、春といえば新しい何かの始まりにワクワクしかなかった子供の頃とは違い、少し寂しさの混じる季節になりました。
といっても、春は新しく資格の勉強を始めたり、すでに始めているけれど少し中だるみ気味になっている気持ちをもう一度奮い立たせるのにぴったりな季節だと思います。
今回はそんな受験生の気持ちを少しあと押しできるかもしれない3冊をご紹介します。
オススメ書籍①『先生はえらい』(内田 樹、筑摩書房)
『先生はえらい』というタイトルですが、「先生はえらいから無条件に従いなさい」とかそういう内容では全くなくて、「あなたが「えらい」と思えたらその人からは学ぶことができる」ということを書いている本です。
「えらい」と書いてしまうと少し使いづらいので、「すごい」に言葉を代えてご紹介しますが、「すごい!」と子供が目を輝かせて話を聞いてるときの吸収力の凄さをここ数年、私はよく目にしました。
「勉強は本来こういうものなんだろうなぁ」と。
資格の勉強などをしていると、どうしても受動的になってしまい、与えられたことを理解し、覚え、アウトプットできるようにするということばかりを考えてしまいます。しかし、最初にこの勉強を始めた時の「すごい!」という能動的に学ぶ心を忘れてはいけないなとこの本を読んで思いました。
この本を読んでから、「相手が自分よりえらいと感じたら、それは相手から色々学べるチャンスだ!」と思って生きています。
オススメ書籍②『超・殺人事件』(東野圭吾、KADOKAWA)
医師や弁護士が主人公の小説はたくさんありますが、税理士は主人公はおろか、わき役で出てくる小説もなかなかありません(相続もののミステリーで時々登場しますが、特に活躍もせずぱっとしないことがほとんどです)。
そんななかでこちらの小説は、税理士自体は出てこないものの、「確定申告」がテーマという結構珍しい小説なのでご紹介します。
短編小説の中にある【超税金対策殺人事件】というタイトルの作品。
ざっとあらすじを書くと、小説が売れて一気に人気作家となった主人公が税理士に「ハワイ旅行や妻の毛皮のコート等は経費にならない」と言われ、「すべて小説の中に登場させることによって経費にしよう」と考え推理小説がどんどん変な方向になっていくという話です。
小説を読むことのメリットは、普段できない体験を疑似体験できることにあると思っていますが、誇張されているとはいえお客様視点を体験できる本になっています。
そしてなにより、この短編をはじめ、すべてサクッと読めてクスッと笑えるので、勉強の息抜きになるかと思います。
オススメ書籍③『税理士事務所に入って3年以内に読む本 』(高山弥生、税務研究会出版局)
「私が税理士を目指し始めた時にこの本があれば!!」と何度も思いました。
今、税理士試験を受け始めた人やこれから税理士事務所で働く人に、そしてタイトル通り税理士事務所で働き始めた人にとっても、オススメの本です。
税理士事務所は忙しい事務所が多く、きちんと一から順序だてて仕事を教えてくれるところより、ざっくり学んだ後は仕事をしながら覚えていくといったところが多いように思います。
この本では、1年を通して税理士事務所ではどんな仕事をしているのかを分かりやすく説明してくれています。
この本を読んだら、「自分が今なぜこの処理をしているのか」、「次はどんなことを準備しなければいけないのか」がわかるようになると思います。
姉妹書のシリーズ展開も充実しているので、私も毎回購入して読んでいます。
<執筆者紹介>
まーちゃん
税理士
1979年生まれ。同志社大学経済学部卒業。大学卒業後簿記論と財務諸表論のみ合格していたので、第2子出産後再度税理士を目指す。2019年官報合格。現在は副業で税理士として開業中。
・Xアカウント(@riorioryoryo)
・ブログ「本好き税理士の子育てと読書録」