2022年度最優秀合格者に聞く! 日商簿記検定1級の勉強法~桜井大輝さん


【編集部より】
さる6月30日(金)、東京・丸の内にある丸の内二重橋ビルにて日商検定試験の最優秀合格者表彰式が行われました。そこで、第161回検定(2022年6月実施)および第162回検定(2022年11月実施)の簿記1級最優秀合格者に受験のきっかけや勉強法をインタビューしました。
今回は、現在、8月に実施される公認会計士試験論文式試験に向けて受験勉強中という、第161回検定最優秀合格者の桜井大輝さん(25歳・長野県在住)です。

公認会計士を目指して、簿記1級を受験し6月検定で最優秀合格!

Q 日商簿記1級には働きながら勉強し、見事、最優秀合格をされたとのことですが、受験のきっかけは何でしょうか。

もともと新卒でIT企業に入社して、企業のシステム開発に携わっていました。お客さんからフィードバックをもらうなど、やりがいを感じていましたが、その一方で、もう少し広い視点で、企業全体を支えられるような仕事はないかと、漠然と考えるようになってきました。

そんな時に、友人が司法試験に合格し、どんな仕事をするのかと聞くと、M&Aに強い事務所で企業法務の分野でキャリアを積むことになるというのです。それを聞いて、「もしかしたら自分がやりたいことも、それに近いかもしれない」と思いました。

その友人は法律の専門家ですけど、僕は企業にとって必要不可欠な「会計」の専門家になって、少し大それた言い方ですが、「日本企業を盛り上げていきたい」と思うようになり、公認会計士を目指すことにしました。

日商簿記1級は、公認会計士試験の受験勉強で簿記の知識を学ぶ過程として受験しました。仕事は、2022年9月に退職し、今年8月の公認会計士試験論文式受験に向けて専念しています。

Q 公認会計士という資格自体は、元々ご存知でしたか。

なんとなく知っていたという程度でした。友人が法律のプロになったので、自分も何かプロとして、普通の人では解決できないような問題を解決できるようになりたいと考え、資格について調べているうちに、公認会計士ならやりたいことができると思いました。

勤めていたIT企業ではプログラミングも少しすることはありましたが、文系出身で、どちらかというとプロジェクト管理を中心に行っていました。

表彰式の様子

簿記の勉強は奥が深い!

Q 簿記の学習はいつ頃から始めたのでしょうか。

簿記の学習を始めたのは2021年の7月頃からです。簿記3級、2級から始めて、2022年6月の日商簿記検定で1級に合格しました。そこで、簿記の学習をいったん終わって、公認会計士試験の科目である企業法などの学習も始め、2022年12月の公認会計士試験短答式試験に合格しました。

学習当初は全然わからずに難しかったのですが、学習を進めていくうちに面白さや奥深さを感じるようになりました。知れば知るほど、逆にわからないこともどんどん増えていき、最初はわかった気になっていても、別の視点で考えたら全然わかっていないなということも多く、学習のやりがいがあります。

Q 公認会計士試験受験のステップアップとして日商簿記1級を受験されたとのことですが、1級対策として特に取り組んだことはありますか。

簿記1級の場合、理論問題よりも計算問題が出題の中心になる一方で、公認会計士試験では理論もしっかり覚えておかないと得点できません。ですので、その点もきちんと踏まえつつ、計算問題中心で学習しました。

簿記1級では理論を言語化する力はあまり求められていないのかなと思いますが、公認会計士試験ではその力も必要になるので、簿記1級で培った計算力を維持しつつ、理論の言語化に重点を置いて財務会計論を勉強しています。

具体的な簿記1級対策としては、基本的には過去問と、他には、受講している専門学校のクレアールで簿記検定の答練もあったので、それらを活用しました。また、教材も、クレアールでは1級用のテキストがあったので、それを使って学習していました。

解答時間で心がけていたことは、簿記1級の場合、商業簿記・会計学で90分、工業簿記・原価計算で90分の試験時間なので、1科目をなるべく45分で収めるようにして、もし解ききれない問題があっても、そこは一旦置いて次に進むというように心がけていました。

Q 今回、最優秀者として合格されたということは、結果的には全問解いたということでしょうか。

そうですね。自分が受けた試験に関しては、問題を飛ばしたりすることはなく、最初から最後までそのまま解くことができました。

左:日本商工会議所小林会頭・右:桜井さん

勉強時間の確保と勉強ツールの活用

Q 簿記1級を受験されたときは働きながら勉強されていたということですが、時間のやりくりなどで工夫されていたことはありますか。

勤めていた会社が基本的にテレワーク中心だったので、いわゆる通勤時間というスキマ時間はありませんでした。仕事も結構忙しくて残業もあったので、仕事が終わってから勉強しても疲れてしまい、体は机に向かっているけど、頭は違うところに向かっているということがよくありました。

仕事を始める前であれば、自分が早く起きさえすれば時間を作れるので、朝早く起きて勉強するようにしていました。

桜井さんが使用していた勉強ツール

Q 朝、何時起きでしたか?

調子がよければ4時頃です。だいたい4時~6時の間にはゆっくりでも起き始めて、始業が10時だったので、毎日2〜3時間は勉強時間として確保するようにし、テキストの読み込みやインプットを中心に勉強していました。

夜はだいたい20時頃まで仕事をして、夕食を取ったりした後に24時頃まで、基本的に練習問題や復習などの作業系を中心に勉強していました。

Q いわゆる「まとめノート」は作っていらっしゃいましたか。

僕はノートを取らず、基本的にテキストに書き込みをしていました。書き込みといっても、大事なことはテキストに書かれているので、線を引く程度です。

僕自身は大学受験や高校受験の時に、授業の板書をノートに取っていたのですが、ノートを取るのに一生懸命になってしまって先生の話をあまり聞いていないなと気づいたのです。ノートを見返しても内容を忘れているし、正直、見返すこともほとんどありません。結局テキストしか見ないなと思い、テキスト中心の学習をしてみたら自分に合っていました。

-本日はありがとうございました!
 第162回検定最優秀合格者の池田 颯さん(19歳・岐阜県在住)へのインタビュー記事は、7月21日(金)に掲載予定です。ご期待ください。


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