日商簿記2・3級合格に大切なたった3つのポイント


#たねだぼき
 種田 有紀

<編集部より>
束の間の夏休みシーズン、これから簿記の勉強をスタートする人もいるのではないでしょうか。
まずは日商簿記3級目指す人、いきなり2級に挑戦する人、将来的に1級や税理士・会計士を視野に入れる人、目標はさまざまです。
でも、はじめて簿記を勉強する時、「これまで経験したことのある勉強と何が違うのか?」と思う人も多いはず。
そこで、Twitterで「#たねだなう」「#たねだぼき」の発信がお馴染みの種田先生に、下記の固定ツイートを出発点として、「簿記ならではの勉強法」のポイントを教えていただきました。

種田先生の固定ツイートより(@boki_taneda)

簿記の勉強では「3つの重要ポイント」に強弱がある

簿記に限らず勉強に必要なポイントは、①暗記、②理解、③練習の3つです。
この3つは、合格に足る力をつけていくために非常に重要です。日々の学習の際には、これらに意識して取り組むことによって、効果的な勉強ができるでしょう。

ただし、簿記の勉強においてはこの3つの重要ポイントには強弱があります。

以下では、これから簿記の勉強を始める人のために、この3つの要素を踏まえつつ、具体的な方法とともに簿記の学習のすすめ方について解説します。

① 簿記の勉強で「暗記」は必要?

簿記の勉強においては、「暗記」の重要性はさほど高くありません。
多くの場合、学習を通して繰り返し何度も触れているうちに、自然と用語や語句の意味を覚えてしまうからです。

問題文や解説に出てくる言葉の意味が理解できる程度に、語句や用語を覚えていれば問題ありません。

そのため、日商簿記2級、3級の学習においては暗記に時間や労力を大きく割く必要はありません。
(ただし、日商簿記検定1級の場合は、基準の穴埋め問題など用語を問われる場合があるので暗記の重要性は増します。)

② 簿記の勉強で「理解」は必要?

次に、講義を聴いたり、テキストを読んだりして、論点を「理解」していきます。
講義やテキストの中で、理解して欲しいのは主に以下の点です。

  • 取引の流れや仕組み
  • 使用する勘定科目、その勘定科目が簿記の5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)のうちどれに該当するのかとその理由
  • 仕訳のタイミング
  • 計算方法と下書き

クレジット販売の論点を例に見てみましょう。

Q.「取引の流れや仕組み」は?
⇒A.クレジット取引の仕組み
(お客さんがクレジットカードで買い物をすると、後日、信販会社(クレジットカード会社)に手数料を支払い、売上金から手数料を差引いた分を受け取る。)

Q.「使用する勘定科目」は?
⇒A.クレジット売掛金

Q.「勘定科目が簿記の5要素のうちどれに該当するのか?その理由」は?
⇒A.クレジット売掛金は資産に該当し、その理由は後日信販会社から代金を受け取る権利であるため

Q.「仕訳のタイミング」は?
⇒A.商品を販売したときと、信販会社から代金が入金されたとき

Q.「計算方法と下書き」は?
⇒A.信販会社に支払う手数料の計算(売上金額×何%)と、クレジット売掛金の金額(売上金額―支払手数料)

もちろん、他にもありますが、大まかにこれらを理解し、頭の中で整理しましょう。
授業を受けたり、テキストを読んだりした後は、授業中に解いた問題やテキストの例題を復習して同じ作業をします。

このときの復習では、「解説を見ずに自力で例題の答えが導きだせる」ようにしていきます。
例題を自力で解答出来るレベルにしておくことで、次に説明する「知識を定着させるための反復練習」への足固めになります。

③ 簿記の勉強で「練習」には2種類ある!

そして、簿記の学習において、3つのポイントのうち最も重要なのが「練習」です。
合格するための実力をつけるためには、練習に最も多くの時間と労力を割く必要があります。

練習には、「知識を定着させるための反復練習」と「時間内で合格点を取るための本番形式の練習」の2種類あります。

知識を定着させるための反復練習

問題集を使う場合は、テキストの例題と類似の問題を解いて反復練習をします。
この反復練習によって、授業やテキストに書いてある内容の知識を定着させます。
それによって、速く正確に解くスキルが身につきます。

ただし、あまり細かいところにこだわり過ぎないよう注意しましょう。
特に上位級の場合は範囲が広いため、細かいところにこだわってしまうと合格から遠ざかってしまうこともあります。

計算方法や勘定科目がわからないなど、問題を解いていて理解が不足している場合は、面倒くさがらずにテキストに戻って該当の論点を読み直したり、講師に質問をしたりしましょう。
理解不足は放置せずに解消するように努めてください。

時間内で合格点を取るための練習

答練や模擬試験などの本番形式の問題は本試験と同じ時間で解きましょう。
つまり、本番を想定して問題を解くのです。
これにより、「どれくらいの時間でどれくらいの問題量を解かなければならないのか」「どのような順番で解けばよいか」など戦略的な解き方が身につきます。

このときに注意して欲しい点は、その時点での点数に一喜一憂することはしないでください。
点数はその時点での数字でしかありません。

最初から時間内に終わらなくても、また、合格点に届いていなくても心配は要りません。
繰り返し復習して問題を解くスピードと正確さを少しずつアップさせていけば合格は十分可能です。
復習では、理解があやふやなままになっているところがあれば、テキスト読み直すなり、講師に質問をするなりの方法で知識を整理し直します。

また、知識の定着が不十分で問題を解くときに時間がかかり過ぎてしまう場合は、必要に応じて問題集に戻って同じ論点の類似問題を解いて知識の定着を図ります。

これまでお話ししたように、本試験までの間に復習の期間をとる必要があります。
本試験までのタイムスケジュールを逆算して勉強時間を確保しておきましょう。

点数に一喜一憂しないで、やるべき事をしっかり見極めたうえで、集中して全力を尽くして頑張りましょう。
ご健闘をお祈り申し上げます。

<執筆者紹介>
種田 有紀(たねだ ゆき)

大学在学中に日商簿記検定1級合格。在学中は大手資格予備校での教室運運営などに従事。卒業後は、会計事務所勤務中にセミナー講師や内部統制の相談、クライアントの経理指導等を経験。その後、商工会議所の教室で日商簿記検定講座や日商PC検定を含むパソコン講座で受講生の学習指導・サポートを経験。現在は株式会社東京リーガルマインドの専任講師として日商簿記検定講座を担当。
Twitter:
種田有紀(@boki_taneda)
#たねだぼき(@tanedaboki_now)


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