一般社団法人日本経営調査士協会 専務理事
下田 秀之
現在、コロナ禍が大きくクローズアップされていますが、中長期的な日本社会の最大の課題は、少子高齢化・人口減少、地方の衰退ではないでしょうか。
こうした中で、中小企業・小規模事業者においては、①経営者の高齢化、②人手不足、③人口減少による弱い内需と過疎化の問題が、ますます深刻化しています。
今後とも、日本経済が「持続的な成長」を実現していくためには、地域中小企業等の起業・革新を経て、事業承継が必須な企業群と経営人材の育成支援とその成長(経営力の強化)が強く望まれます。
こうした中、公益社団法人全国経理教育協会は、「中小企業BANTO認定試験」の事業を2020年9月から実施することになりました。
そこで、本連載では、同試験制度・公式テキスト(中央経済社より2019年4月刊行)・サンプル問題等を紹介しつつ、その意義・視点・内容等を紹介していきます。
1.全経「中小企業BANTO認定試験」ってどんな内容?
現在のコロナ禍では、中小企業においても、資金繰りをはじめとした会計・財務、税制上の優遇措置、雇用関係の法律問題等、さまざまな問題点について対応・強化しなければならないことがより明らかになったと思われます。
本認定試験の目的は、中小企業の厳しい経済環境を踏まえ、会計・財務の知識を軸として、ビジネスに必要な法律・コミュニケーション等の知識を幅広く備え、中小企業の健全な成長に貢献できる専門人材の養成を行うことです。
試験名にあるBANTOは、Business Accounting aNd Total Officerの略称であり、まさに『中小企業の「番頭さん」と言える人材の養成』を目指しています。
本認定試験の出題範囲は、下記(公式テキストの章立て)の5科目。
第1章 分析及び評価
第2章 会計及び財務
第3章 税法
第4章 経営法務
第5章 ビジネスコミュニケーション
試験の形式は、マークシートを使用した4問選択式です。
これによってビジネスの合理的な分析力や判断力、適切な資金繰り、コンプライアンスの遵守、ビジネスマナーや社会常識など、多岐にわたるビジネスの知識やスキルを評価します。
本認定試験を通して、中小企業のビジネスや会計に関する正しい知識・スキルと分析力・判断力を身につけていただくことを期待しています。
第1回目の試験実施は2020年9月27日(日)(申込期間:8月3日(月)~8月31日(月))、当初は「初級」試験を全国の会場で行い、2023年を目安に「中上級」試験の実施を計画しています。
なお、試験実施要領は、公益社団法人全国経理教育協会「中小企業BANTO認定試験」特設サイトを参照ください。