飯田真弓(税理士)
税理士事務所に勤務されている職員のみなさんは、所内、クライアント、税務署との関わりの中で、実はメンタルで病んでいる人が多いようです。
そうした中でも頑張っている皆さんに、税理士および職員の方々へのメンタル相談について経験豊富な飯田真弓先生(税理士)に今週全5回にわたり、アドバイスをいただきます。
第1回 毎日領収書の貼り付け作業ばかりやらされてるんです・・・。
第2回 税務調査で経営者に怒鳴られた!
第3回 社長さんに“税理士の資格、持ってないの?”といわれてしまったんです。
第4回 税理士受験生のアルバイト先のオススメは?
第5回 「なんでうちの会社の担当は女なんだ!」っていわれたんです・・・
(なお、このテーマで2022年春に書籍を出版予定です。ご期待ください!)
「なんでうちの会社の担当は女なんだ」っていわれたんです・・・。 F子さんのケース
F子さんはゆとり世代よりちょっと上の昭和の後半生まれ。
男勝りな性格で中学生の頃は生徒会長を務めるなど、リーダーシップも発揮してきました。
勉強好きでいろいろな知識を得てキャリアウーマンになろうと思っていたそうです。
けれども、どこでどう転ぶかわからないのが人生の面白いところ。
それまで男の子なんて眼中になかったF子さんが大学生の時にサークルで出会った先輩と恋におちてしまったのです。
小さな命を授かったことをきっかけに大学を中退し入籍。そして、その後女の子を出産しました。
当初、子どもを産んだら保育園に預けて働こうと考えていたF子さんでしたが、我が子を腕の中で抱いたとき、自分で育てたい!という思いが込み上げてきたそうです。
何をするにも一生懸命なF子さん。
すくすくと育った子どもは小学校に入学。その時、今度は自分も何か始めなければ子どもに依存してしまうのではないかという危機感にさいなまれ税理士の勉強を始めることにしたのでした。
久しぶりにする勉強は楽しく、数年で資格を取得。最初は子どもが学校に行ってる時間帯だけという約束で働いていたけれど、その仕事ぶりが認められ、今回、自分の担当を持たせてもらったというF子さんとのお話です。
F子:「飯田先生、ちょっといいですか?」
飯田:「はい、どうぞ。」
F子:「飯田先生って女性初の国税調査官なんですよね。」
飯田:「まあ、一応そういうことになってるかな。」
F子:「一応って・・・?」
飯田:「高卒で国家公務員税務職の採用が始まった最初の年に試験に合格して採用されたってことなんよ。」
F子:「って、ことは大卒の女子の国税調査官はすでにいらっしゃったってことですか?」
飯田:「そうやね。大学を卒業した女性はもう一人前の大人って扱いだったように思うなぁ。私たちは未成年やったしね。でも、高卒でも私たちより前に行政職で採用された女性職員でも、税務調査をやってた人もいたんよ。」
F子:「そうなんですね。」
飯田:「男女雇用機会均等法の申し子とか言われながら採用されたけど、あれから、30年以上経って、男女の雇用は均等になったんかなあ・・・?」
F子:「それです。そこなんですよね。」
飯田:「そこって、どこ?」
F子:「仕事をする上で男も女もないって思うんですよ。」
飯田:「まあ、そうやねぇ・・・。」
F子:「飯田先生、何をのんきなこと言ってるんですか。それってもっと声を上げないといけないって思わないんですか!」
飯田:「ん~でもねぇ。私は、めくじら立てない主義やからねぇ。」
F子:「そっ、そんなぁ~。」