8月18日~20日、令和3年度(第71回)税理士試験が実施されました。受験された皆さま、おつかれさまでした。
ここでは、例年多くの簿記論・財務諸表論の合格者を輩出している千葉商科大学「瑞穂会」にご協力いただき、今回はじめて簿記論・財務諸表論を受験した方3名に、その感想を伺いました。
日商簿記1級に合格した後、簿記論・財務諸表論の勉強をスタートし、今回が「はじめての税理士試験」になったという3人。
受験生の等身大のコメントをいただきました!
今年受験した方はもちろん、これから受験を考えている方も必見です☆
簿記論を受験した感想を教えてください。
簿記論は、第一問の問1がはじめて見る問題で、それ以外は平均的なレベルの問題だったと思います。一番最初にはじめて見る問題が出題されたので、そこに結構な時間をかけてしまい、その後の問題を少し焦って解いてしまいました。そのため、普段しないようなケアレスミス(定額法、利息法といった指示の読み飛ばしなど)をしてしまったので、もっととれる点があったなと思います。
全体的なレベルとしては、ここ数年の本試験問題よりもやや難しいと感じました。
全体的な難易度は高く感じました。特に第一問が難しく、対応できない箇所が多くありました。第二問は理論に絡む問題や連結会計が出たので、財務諸表論の受験生や日商簿記1級の受験生にとっては有利な問題だったと思います。第三問は模試どおりの難易度でした。第一問と第二問を引きずらず、いかに切り替えができたかがカギになると感じます。私は、第一問がボーダーライン、第二問で大幅に点数を稼いで、第三問はボーダーラインより少し上という結果になりそうです。
簿記論は全体的に難易度が高く感じました。特に第一問の問1は、個人商店における各種勘定の推定問題で、なかなか見慣れない(ほぼ初見に近い)ものだったので、とても難しかったです。また、第二問は、「総合償却」や連結会計の「一部売却」など、簿記論では対策をしない論点で、日商簿記1級合格者がかなり有利なのではないかと感じました。第三問は、直前期に解いた模試や過去問と同じくらいのボリュームでした。
個人的には、第二問は比較的よくできたのですが、第一問と第三問はあまり自信がなく、ボーダーラインぎりぎりになるのではないかと思います。
財務諸表論を受験した感想を教えてください。
財務諸表論は、計算に関しては基本的な問題が多く、今まで模試で解いてきたものと同じくらいの難易度だと感じました。注記表や株主資本変動計算書の内訳などは、記号問題や基本的な内容であったため、貸借対照表と損益計算書について集計ミスをしたとしても、そこで点数を稼ぐことができると感じました。
理論に関しても、記号問題や穴埋め問題は基本的なものが多く、テキストで学習した内容がそのまま出題されている部分が多かったように思います。
全体としては、最近の本試験問題よりも難易度は高くないと感じました。
全体的な難易度は平均的だと感じました。理論に関しては解ける問題・解けない問題がわかりやすく、基本的な論点を押さえていれば対応できる内容だったと思います。計算に関しては簡単な問題が多く、いかに凡ミスをなくすかが勝負になると感じました。私は、その計算で凡ミスを連発してしまったので、配点箇所や問題の解釈によってはボーダーライン付近だと思っています。計算で優位に立とうと計画していたので、精神的ダメージが大きいです。
財務諸表論の理論は比較的難しく、取れるところと取れないところがはっきりしており、計算は難易度が比較的易しく感じました。特に理論では、「会計上の見積り」や「為替予約取引」は対策できていなかったため、それ以外の論点で点を取る必要がありました。計算はボリュームも多くなく、難易度も高くなかったので、慎重に問題を解いてミスに気をつける必要があったように感じます。
個人的には、理論は見たことのある問題を確実に解き、見たことのないような問題では、わからなくても答案用紙を埋めることを心掛けました。計算は、当期純利益や貸借対照表の合計まで計算し、転記ミスなどのケアレスミスをなるべくなくすことを心掛けました。
はじめて税理士試験を受験してみてどうでしたか?
はじめて税理士試験を受けてみて、時間の使い方が重要だと感じました。試験当日は、とても緊張しているので、会場に早く着き、気持ちを落ち着かせることが大事でした。
また、簿記論が終了した時点で、普段模試を解いていたときよりもかなりの疲労感がありました。当日は、「簿記論と財務諸表論の間は理論を読もう」と考えていましたが、こんな状態で理論を読んでも意味がないし、計算問題にも影響が出ると思い、軽食をとった後は45分くらい寝ていました。ただ、そうしたことで、集中して財務諸表論の試験を受けることができたと思います。
計算を重視すると理論を忘れ、理論を重視すると計算を忘れ…というように、常にどこかの論点を忘れている状態で試験勉強に取り組んでいたので、勉強しても「できるようになった」という実感がわきませんでした。このような不安のなかで本試験に挑んだので、「本番」という重圧に負け、凡ミスを連発してしまったのだと思います。試験にも負けましたが、今まで勉強してきた自分を信じきれなかった自分自身にも負けた気がします。悔しいです。
結果にかかわらず、来年は税法科目を受験する予定です。今回のように、実力を出しきれず後悔することは繰り返したくありません。そのためにも、本番を常に意識しながら受験勉強をしていきたいと思います。
去年11月(簿記検定の直後)から簿記論と財務諸表論の勉強を始めましたが、8月の本試験まであっという間でした。簿記検定とは出題される範囲が少し違うので、その足りない部分を補うことが大変でした。また、試験時間が長くなるので、今までよりも「長時間の集中力」が必要で、これも大変でした。特に苦労したのが財務諸表論の理論暗記です。理論は何度も反復練習することが大事なので、1日も休まずに、空いている時間(通学時間など)を探して教科書や問題集を読みました。
本試験の前日は、会場近くのホテルに泊まり、とても緊張しましたが、当日はあまり緊張せずに試験に臨むことができたと思います。9月からは税法の勉強をするので、1年後の本試験でよい結果を出せるように、これからまた切り替えて頑張りたいです。
今回お話を伺った、千葉商科大学「瑞穂会」とは?
会計教育の実践の場として、千葉商科大学の学生を対象に、日商簿記検定、税理士試験科目(簿記論・財務諸表論)の講座を開講し、無料で受験指導を行っている。専用の教室を有し、専任教員が常駐して学生の受験指導にあたる。現在、多くの合格者を輩出しており、毎回の合格率は全国平均を大きく上回る。また、大学の授業と資格試験の両立に悩む学生に効率的な学習方法をアドバイスするなど、個々の学生の状況に応じた細やかな指導を行っている。
HP:https://www.cuc.ac.jp/iaer/mizuho/index.html