加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
○×問題
P社はS社株式の60%を保有している。当期純利益がP社300円、S社400円、その他有価証券評価差額金の当期増加額P社200円、S社100円であるとき、当期の包括利益は800円である。
解答
×
その他の包括利益は200円+100円=300円となるために、包括利益は700円(当期純利益)+300円(その他包括利益)=1,000円となる。
根 拠
企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」
4. 「包括利益」とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう。当該企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主のほか当該企業の発行する新株予約権の所有者が含まれ、連結財務諸表においては、当該企業の子会社の非支配株主も含まれる。 |
ワンポイントアドバイス
包括利益は純資産額の変動額であり、増資や配当など株主(持分所有者)との直接的な取引以外の部分として定義されています。よって、当期純利益やその他有価証券評価差額金の個別上の金額を単純合算した額が、連結上の包括利益となります。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。