税理士試験の法人税法は、膨大な学習項目をマスターする必要があり、合格するまでに何年もかかってしまう受験生が多いのが実情です。
また、会計士試験の租税法でも法人税法の割合は高く、やはり膨大な学習が必要です。
このように膨大な学習量を効率よく学習できないでしょうか?
『法人税法入門講義』の著者で、以前『会計人コース』の「スタートアップ先取り法人税法」に1年間連載していただいた東洋大学教授の金子友裕先生にお話を伺いました。
1 幹をおさえることが大事!→では、幹って何?
―法人税法を学習する際、専門学校の教材の量や、特に税理士試験などではその暗記すべき理論の量と質に呆然としてしまう受験生も多いと思いますが、学習アドバイスをいただけますか?
金子 法人税法の学習においては、理論と計算という2つの重要な視点があります。
そこで、まず理論と計算をなぜ学習するのか、考えてみましょう。
まず、理論。
法人税は、法人税法という法律に基づき課税されるものであり、 法人税法の条文に基づいた理論があります。
そして、法人税は法人の所得に対し課税するものであり、法人の所得は企業会計の利益を調整して計算する方法を採用しているため、企業会計を考慮する必要があります。
このように、 法人税法の学習では、企業会計の理論と法人税法の理論やこれらの差異から生じる調整に関する学習が重要となるのです。
次に計算ですが、法人税法では、 所得を得た法人が自分で申告 納付を行うという申告納税方式を採用しています。
このため、上記の理論の学習に加え、課税所得の計算(別表四)や納付する法人税額の計算 (別表一)の作成を行う必要があり、計算の学習が必要となるのです。
本来、この理論と計算は表裏一体のものですが、受験生は専門学校の教材の影響か理論と計算を別物として学習してしまいがちですね。
私が執筆した『法人税法入門講義(第4版)』は、法人税法の幹となる内容について理論と計算を同時に学習できるようにバランスよく解説しています。
具体的には、法人税の課税所得計算を行う別表の作成等について設例やTrainingを通じて実際にトレーニングしつつ、その処理の背後にある理論を学習できるように工夫しています。
また、本文は190頁弱で、学習経験のある方は、集中すれば2~3日で読める分量ですね。
これによって幹をしっかり把握したうえで、専門学校の教材などで学習していくと理解度が大きくアップすると思います。
また、もう1つの視点として、専門学校の最初の2~3ヶ月の答練は基本中の基本ですので、徐々に短時間で解答できるように繰り返すことも「幹」をおさえる上で重要だと思います。