海外展開を支援する会計士が教える英語勉強法【第4回】他にもいろいろ 一人でできる勉強法


江上 徹(Leapfrog合同会社 代表社員・公認会計士)

【編集部より】
会計士試験に合格して、あるいは新しい年になって、今年こそ英語を身につけようという方も多いと思います。本連載では、4回にわたって、海外展開をする企業に英語研修等を行う江上徹先生に連載していただきます。
第1回 使える英語を身に付けるために私がやったこと
第2回 ディクテーション
第3回 シャドーイング・リプロダクション
第4回 他にもいろいろ 一人でできる勉強法

はじめに

早いものでこの連載も最終回です。
これまで、第2回でディクテーション、第3回はシャドーイングとリプロダクションと、王道の勉強法について詳しく説明をしてきましたが、もちろん英語の勉強法はこれだけではありません。
いろいろな勉強法を楽しく進められれば良いのです。
というわけで、今回は王道ではない(しかし決して外道ではない)英語の勉強法について説明していきます。

Nativeとボクらの決定的な違いとは

よく、英語の勉強をしなくてはいけないのだけど、何から手を付ければ良いですか?という質問を受けます。
これに関しては議論百出でしょうが、私はボキャブラリーを増やすことが上達への近道だと考えています。
実際、英語での会話や英語の文章を読んでいるときに知らない単語が出てくると、途端に何を言っているのかわからなくなりますよね。

「君たち、わからない単語があったら前後の文脈から類推すれば良いのだよ」みたいなこと言うエラソーな英語の先生いませんでしたか?
いやー、正論かもしれないけど、実際には難しいです!
そもそも類推ができる時点でかなりの英語力です!しかも類推した結果、間違っているかもしれないじゃないですか!

やたらと「!」を連発しましたが、ボキャブラリー強化というのは言語習得の基本中の基本なのです。そして、ボキャブラリーこそが我々のような純ジャパとNativeで決定的に差がある分野だというのが私の見解です。

実は、「知っている単語」のうち、実際の会話などで「使える単語」は2割程度と言われています。
そうすると、せっせとオンライン英会話にお金をつぎ込んでも、もともと乏しいボキャブラリーのさらに2割ぐらいしか使う訓練になっていないことになるのです。

「会話」という性質上、どうしても「使える単語で何とかする」ということになりますし、相手も業者なので助け舟を出してくれますから、見かけ上は会話が継続しているように感じられるでしょう。
しかし、ボキャブラリーが増えないと、どうしても会話力は頭打ちになってしまいます。
残念ながら、真剣に英語力を伸ばそうとするなら、ボキャブラリー強化からは逃れられないのです。

しかし、逆の言い方をすると、「知っている単語」を増やせば、自然と「使える単語」も増えていくのです。
私の個人的な感覚としても、不思議なことに「使える単語は知っている単語の2割程度」というのは常に保たれ、1割とか、逆に4割とか、そういう風にはならないと思っています。

結局、遠回りと思える地道な作業が、上達への近道なのですね。

では、皆さんはボキャブラリーをどのようにして増やしていますか?
まさか、単語帳を頭からシラミつぶしに覚えるなんてことはしていませんよね?

これって英語でなんて言う?

まず、一番簡単にできるのが「身の回りのものを英語で言ってみる」です。
日常生活で目にする様々なものを、「これって英語でなんだっけ?」と自問自答するというものです。家の中、通勤経路、オフィス…。
日本語だと当たり前のように言えるものも、いざ英語となると「あれ、なんだっけ…」となるものです。そして、その瞬間にケータイで調べる!(便利ですよねー)
自分で関心を持って単語を調べるので記憶の定着も良く、これを癖にすると飛躍的にボキャブラリーが伸びますよ。

ピクチャーディクショナリ

次のご紹介は、「ピクチャーディクショナリ」です。
これは、その名の通りイラストが付いた辞書のことです。
仕事、学校、買い物などなど、生活の様々なシーンで使われる単語や表現などがイラスト付きで説明されています(著作権の関係で本稿に画像を掲載することができないのがとても残念!)。

例えば、口紅を塗るときの「塗る」って英語では何というのでしょうか?
ネットで単純に「塗る」を検索すると「paint」と出てきたりしますが、ペンキならともかく、口紅を塗るときにpaintは使いません。

正解は「apply」です。

さて、「apply」を辞書で調べると「適用する」なんて訳語が出てきたりします。でも、「適用する」なんて言葉、日常生活で使いませんよねぇ。こんな風に、辞書で意味を調べても、いまいちピンとこないことってありませんか?

この点、Picture Dictionaryには口紅を塗っているイラストとともに「apply」という単語が記載されているので、実際の日常生活では「適用する」よりも「(薬などを)塗る」のほうがぴったりの訳語だということが容易に理解できるのです。
こんな風に、実際の使われ方をイラスト付きで確認すると、字面で覚えていた英語が「言葉」になりますよ!

なお、ピクチャーディクショナリと言っても大人向けから子供向けまでいくつか種類があるのですが、私のおすすめはOxfordのピクチャーディクショナリです。
下のリンクからAmazonのサンプルページに行くことができるのでぜひご覧ください(このリンクは日英併記版ですが、英語だけのバージョンも販売されています)。

サンプルページはこちら

英単語クロスワード

次のおすすめは「英単語クロスワード」です。
私は携帯にアプリをインストールして、通勤中などにゲーム感覚でボキャブラリーを強化しています。
アプリは「英語 クロスワード」などで検索すればたくさんヒットするので、ご自身が使いやすいと思うものを選べばいいのですが、私はYan Drobyshというデベロッパーによるアプリを使っています。これも本稿に画像を載せられないのが残念ですが、リンクを貼っておきます(iphone版のみ)。

リンクはこちら

このアプリの良いところは、「Easy」から「Very Hard」までレベルを選べること(日本人にはEasyでも手ごたえ十分です)、「Theme」を選ぶと動物とかスポーツなど、テーマごとのクロスワードができること、さらに「Letter」を選ぶとすべて同じアルファベットから始まるクロスワードができること(例:Aで始まる単語ばかり)など、ゲームを飽きさせないバリエーションが多いことです。

やってみてください。思ったより難しいですよ! Easyのレベルだと、答えを見ると「ナーンダ」となるのですが、ヒントを読んでいるときは、「いったいなんのことだろう…?」となることが多いです。
数を重ねると、英文を頭の中で描写する力が鍛えられます。

例えばこんな問題だったりします。

ヒント:Opposite of south
答え:□□□□□(5文字)
ヒント:Skin decoration
答え:□□□□□□(6文字)

どうです?わかりましたか?答えは文末をご覧ください。

なお、スペルを間違えると当然ながら正解にはならないので、スペルの正確性も身に付きます。
「あれ、Lだっけ、Rだっけ」ということ、ありませんか?
あれがゲームを通して自然に改善していくというわけです。

結局言いたいことは…

というわけで、これまで4回にわたり英語の学習法についていろいろと書いてきましたが、最後に一つだけ、読者の皆さんにアドバイスを送ります。

語学の習得に最も重要なものは「継続」です。これ一択です。

言葉に才能は不要です。結局のところは場数です。会計人コースwebを読むような方は、努力も継続もできる人たちばかり。そんな皆さんが英語を習得できないわけがないのです。
皆さんはすでに一定の専門性を有しています。そこに英語が加われば「専門性×英語」で鬼に金棒、虎に翼。もはや怖いものはありません!ぜひぜひ、この連載を参考にして使える英語を身につけてください。

それではまた!

あ、そうそう。クロスワードの答えは「North」と「Tattoo」でした!

<プロフィール>
江上 徹(えがみ・とおる) 

Leapfrog合同会社 代表社員
公認会計士

大学卒業後、電機メーカー、監査法人、広告代理店でキャリアを積み、2021年に独立起業。Leapfrog合同会社を設立し、代表社員に就任。
「日本人のポテンシャルはとても高い。まだまだ飛躍できる」という固い信念のもと、海外展開している企業あるいは海外展開をもくろむ企業を主なクライアントとして、「普通の日本人」が海外で戦うための必携スキルである「英語・ファイナンス・文化理解」をパッケージ化した人材育成プログラム「Altus Leap」を提供している。
HP:https://altusleap.com/
Mail:contact@altusleap.com


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