【連載】基礎力チェック! 消費税課税判定クイズ2024(第4回)


川上悠季(税理士)

【編集部より】
答練や模試が本格化する直前期は、難しい論点や新しい論点がつい気になるところです。しかし、どの科目においても、合否を分けるのは「基礎論点」と言われます。
そこで、本連載では、消費税の課税判定に関する○×問題を、税理士の川上悠季先生に週一ペースで出題していただきます(全8回)。各回、全5問なので、スキマ時間での基礎固めにぜひご活用ください!

こんにちは!税理士の川上悠季です。

前回に引き続き、直前期だからこそ大切にしたい消費税法の基礎論点の復習問題を出題します。

それでは早速、今週の5問に挑戦してみてください!

問題(全5問)

解答・解説

問1.×

課税仕入れの範囲から「所得税法に規定する給与等を対価とする役務の提供」は除かれていますが、人材派遣契約に基づいて支払う派遣料は、「所得税法に規定する給与等を対価とする役務の提供」には該当せず、人材派遣に係る役務の提供の対価として課税仕入れに該当します。給料と人材派遣料の取り扱いの違いに注意しましょう。

問2.×

電気通信利用役務の提供に係る国内取引の判定は、役務の提供を「受ける」者の住所等が国内にあるかどうかにより行います。

問3.

国内において行った課税資産の譲渡等の税込価額に係る売掛金の一部の減額は、売上げに係る対価の返還等に該当します。

問4.×

調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で建物、構築物、鉱業権その他の資産のうち、課税仕入れ等に係る税抜支払対価の額が一の取引単位につき「100万円」以上であるものをいいます。「1,000万円」以上ではありません。

なお、高額特定資産は、棚卸資産及び調整対象固定資産の課税仕入れ等に係る税抜支払対価の額が一の取引単位につき1,000万円以上であるものをいいます。

調整対象固定資産と高額特定資産を混同しないように注意しましょう。

問5.

更生計画認可の決定により債権の切捨てがあったことは「貸倒れの事実」に該当し、貸倒れに係る消費税額の控除の規定が適用されます。

学習到達度とアドバイス

いかがでしたか?

今回の問題は、問1は課税仕入れ、問2は国内取引の判定、問3は売上返還等、問4は調整対象固定資産、問5は貸倒れの論点から出題しました。

今回も、いくつか引っかけ問題はありましたが、基礎論点をしっかり理解していれば引っかかることはない問題だったと思うので、できれば満点を取ってほしいところです。間違えてしまった論点はしっかり復習するとともに、問題文の読み違い等のケアレスミスの防止にも意識を向けるように心がけましょう。

次回(7月12日掲載予定)の問題も、ぜひ挑戦してください!

第2回の正答率とフィードバック

「消費税課税判定クイズ」第2回の集計結果が出ました。
正答率は次のとおりです。

問1(製品販売に係る簡易課税の事業区分):75.6%
問2(自宅の売却に係る課否判定):85.8%
問3(名誉棄損に係る損害賠償金の課否判定):89.9%
問4(土地売却手数料の課税仕入れの区分):79.4%
問5(課税事業者選択届出書の強制適用期間):75.4%

問1問5の正答率が特に低くなっていました。
問1は、事業者に対する販売ということで卸売業(第一種事業)と誤答した方が多かったのかもしれません。また、問5も理論暗記を正確にできていないと戸惑ってしまう問題でした。

いずれも基礎的な内容であり本試験では確実に正答したい問題なので、間違えてしまった方はしっかり復習するようにしましょう!

<連載「基礎力チェック! 消費税課税判定クイズ」バックナンバー>
第1回 第2回 第3回 第4回

【執筆者紹介】

川上 悠季(かわかみ・ゆうき)

慶應義塾大学卒業。
23歳で税理士試験官報合格(簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、事業税)。
2022年日税研究賞入選。2024年新日本法規財団奨励賞(会計・税制分野 優秀)受賞。
自身が税理士受験生だったときにスマホアプリ「消費税法 無敵の一問一答」を開発。「楽しく学ぶ」をモットーに、アプリやウェブサイト、SNSなどを通じて消費税法の知識を広く発信している。
・X(@YukiKawa_Tax 本人アカウント)
・X(@mutekishouhizei 消費税法一問一答アプリアカウント)
「消費税法 一問一答アプリ」公式ホームページ


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