「覚えたつもりでもすぐに忘れてしまう…」、「どこまで精度を高めればよいのかわからない…」など、理論学習ではさまざまな悩みが出てきます。
前回の「計算対策」につづいて、今回は、この時期に力を入れる受験生も多い「理論対策」についてお聞きします。官報合格者6人も乗り越えてきた理論の壁、その振り返りからヒントを得ましょう!
<テーマ紹介>
第1回 ゴールデンウィークの過ごし方
第2回 答練の活かし方
第3回 模試への向き合い方
第4回 計算対策
第5回 理論対策(本記事)
第6回 不安の乗り越え方
第7回 過去問の活かし方
※回答は質問ごとに五十音順・敬称略、年齢や職業は官報合格時
Q なかなか覚えられません…。理論暗記で工夫したことはありますか?
急がず焦らず、反復学習!(かんと(20代、経理職))
私が実践していた方法を1つご紹介します。
できるだけ暗記に頼らず理解することを前提に、所得税法の理論(25分)→休憩(5分)→法人税法の理論(25分)→休憩(5分)を最低2セット繰り返し、翌日と1週間後に復習します。
その後は忘れかけてきたタイミングで反復学習していました。
あえて短時間で区切って休憩や別の勉強をはさむことで長期記憶に定着しやすくなります。
理論は「忘れて覚え直す」の繰り返しです。
急がず焦らず、日々少しずつ覚え直す時間が少なくなっていくのを実感していました。
また、記憶力と集中力は、生活習慣やメンタルが大きく影響するので、いわゆるブレインフードを積極的に食べたり、昼寝をしたり、ジムで体を動かしたりすることで日々の学習効率を維持していました。
▶︎かんとさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・消費税法
合格体験記:「育児・家事・仕事・学習の4足の草鞋を履いて、法人税法&所得税法を同時合格&官報達成!」
理論テキストを見ずに暗記に励む(CR(20代、専念))
人間ですから忘れて当たり前だと思います。
大切なことは忘れない努力ではなく、覚える努力だと思います。
同義にも聞こえますが私は明確に区別して学習に励みました。
具体的な方法は理論テキストを見ずに暗記に励むことです。
テキストをじっと見つめてから忘れないように文を思い出すのではなく、0から脳内で文を組み立てる暗記方法に挑戦しました。
毎度忘れますから、0からのスタートです。
これを繰り返すことによって、本試験でも理論問題を見て0から文章を組み立てることができました。
一口に理論暗記と言っても十人十色ですから様々な方法を試してみて自分に合った方法を見つけてください。
▶︎CRさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・固定資産税・法人税法・国税徴収法
合格体験記:「全科目一発&2年で官報合格! 「科目ごとの勉強アプローチ」がカギ」
優先順位表の活用&視覚的に覚える(竹内孝秀(大学4年))
税法の理論は量が多く、なかなか覚えられないものも出てくるかと思います。
なので、私の場合は、予備校から提示されるランク表の他に自分の覚え具合に応じた理論暗記の優先順位表を作り、あまり覚えていないものについては、他の理論よりも意図的に目に入れる回数を増やすようにしていました。
直前期になって理論サイクル表が提示されたり、自分で理論サイクル表を作ったりするときに苦手理論をさりげなく入れて、あまり負荷にならない程度に何度も意識するようにしていました。
また覚えにくい表現や似ている言い回しは、シャーペンで丸く囲ってみたり、マーカーを引いたりして視覚的にも意識できるようにしていました。
理論テキストにあったわかりやすい図解などは暗記の際のイメージ付けにぴったりだと思ったので、普段から理論暗記に使っていた理サブに書き込んだりもしました。
▶︎竹内さん
合格科目:簿記論・財務諸表論・所得税法・法人税法・相続税法
合格体験記:「大学在学中に国税3法で官報合格を達成! 決め手は計算・理論ともに「理解」から攻めたこと」
書かずに声に出して読む!(ボザイ(30代、税理士法人勤務))
理論暗記で工夫したことはとにかく書かないことです。
書くという作業は時間のかかる作業なので声に出して読むことで、暗記したい条文に触れる回数を増やすことを意識しました。
書かないことの徹底ぶりは答練でもありました。
通信生だと講師の方に採点していただけない答練が半分ぐらいあるので、採点のない答練は理論を飛ばしていました。
ベタ書きの理論に50分かけるぐらいなら、さらっと5分で流し見をして、計算と採点が終わった後に45分理論暗記に当てた方が圧倒的に身になると思ったからです。
▶︎ボザイさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・法人税法・相続税法
合格インタビュー記事:「ボザイさんに聞く! 税理士試験 簿・財独学から始まった官報合格までの道」
Q 直前期には、どれくらい理論を仕上げていましたか?
仕上がるのは本試験の3日前くらい(たこやき(30代、会計事務所勤務))
ゴールデンウィーク前は正直全く仕上がっていませんでした。
理論が仕上がるのは、本当に本試験3日前とかだと思います。
科目によるのですが、私が利用していた資格の大原には直前にもらえるテキストに理論スケジュール表があり、「この日にはこの理論を覚えましょう」というノルマがあります
(法人税法には理論スケジュール表がありませんでしたが自作しました)。
それに沿って理論を回していくと、本試験3日前くらいになると思います。
科目にもよりますが、3日に1周理論をまわしているぐらいのスパンになります。
そうすることでやっと理論が自分のものになっている実感がわきます。
なので、この時期は1つひとつの理論を正確に覚え(覚える理論は人によると思いま
すが、私はこれからはじまる答練期の理論スケジュールを見ながら理論暗記を進めていました)、理論テキストを読んだり、計算との繋がりを意識したり、その程度で十分だと思います。
▶︎たこやきさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・相続税法・法人税法
合格体験記:「「本命科目」と「もう1科目」の同時学習がカギ! 働きながら6年で官報合格!」
深掘りではなく、できるだけ広い範囲を覚えた(もち(40代、税理士法人勤務))
理論に関しては、どの税法科目でも「仕上がった」という感覚や実感がないままでした。
税理士試験は、公式の模範解答が出ておらず、どの解答にどれだけの点数が配点されているのがわからないので、本番の試験にはとにかく「解答用紙に空白部分を作らないようにする」、「正確ではないけども、間違っていないことを書いておけば、配点が来るかもしれない」という姿勢で挑んでいました。
ですので、理論は深掘りではなく、どのようなタイプの問題が出てきても、それなりの解答をできるように、できるだけ広い範囲を覚えるようにしていました。
▶︎もちさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・所得税法・相続税法
合格体験記:「13年かけて掴んだ5科目合格! すべて独学だからこそ、実務に役立つノウハウを得た‼」
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理論暗記はいかに自分に合う方法を見つけられるかがカギです。官報合格者によってもその方法はさまざまなので、粘り強くトライ&エラーを繰り返しましょう!
理論暗記がいつの時点で仕上がったと思えるかは人それぞれです。さらにいえば、科目によっても異なります。
官報合格者のアドバイスをヒントに、本試験までの時間を無駄にせず理論暗記に励みましょう!
<直前期にオススメの書籍>