竹内孝秀
(22歳、日本大学商学部4年(当時))
<受験情報>
・合格科目:簿記論(令和3年度)、財務諸表論・法人税法(令和4年度)、所得税法・相続税法(令和5年度)
・学習スタイル:資格の大原(通学)
▶トップ画像はずっと使っていた大原の自習室(本人提供)
高校卒業後、簿記3級からスタート
こんにちは。この記事をご覧のみなさんは、税理士に興味がある方が多いと思います。
税理士を目指す理由は様々ありますよね。
私が高校生のとき、兄が税理士を目指していました。その背中を追って、私も会計・税務の専門職に就きたいとぼんやりと考え、会計や税務を学べる大学に進学することを決めました。
ただ、高校まで簿記の勉強をしたことがありません。そのため、高校卒業後、電卓を打つところから始めました。
簿記3級から専門学校に通学して勉強したかったですが、新型コロナが流行り始めていた頃だったので、初めての簿記の勉強は通信でのスタートになり、一人パソコンに向かう日々が続きました。
そして、このたび令和5年度税理士試験にて、大学在学中に国税三法で官報合格しました。
支えてもらっていた家族をはじめ、合格のために多大なご協力をいただいた大原の各講師の方々、日本大学の平野嘉秋特任教授には大変感謝しております。
官報合格までの道のり
コロナ禍での簿記3級~1級受験
高校卒業後、簿記3級の勉強から始めましたが、新型コロナの蔓延により6月の試験がなくなってしまいました。
「ずっと3級の勉強をしているよりも次に進んだほうが有意義かな」と思い、11月の検定試験が開催されることを信じて、2級さらには1級に進み、合格を目指しました。
無事に11月は試験が実施され、初めて簿記の受験ができました。
結果は2級に合格できましたが、1級は残念ながら不合格でした。
合格発表が1月4日で、「年始早々悪い出だしだな」と思ったのを覚えています。
その後、簿記講座の先生から、新型コロナの影響で今回だけ特別に2月に簿記1級が実施され、また全経上級の試験もあることを教えてもらったので、切り替えてその勉強をしました。
その試験で無事、簿記1級と全経上級に合格でき、晴れて税理士試験の受験資格を得ました。
1年目:3月から勉強をスタートして簿記論に合格
みなさんも新しい科目を勉強するときは、少し楽しみに感じるかと思います。
私も簿記検定を終えてからすぐに税理士試験の勉強に進みたくなりました。
簿・財の2科目にチャレンジすることも考えましたが、すでに3月になっており、財務諸表論の理論を仕上げる自信がなかったので、より確実に合格を目指そうと思い、簿記論だけの受験に決めました。
そして、ついに私の税理士受験生活が3月から1月開講コースに合流する形でスタートしました。
今思えば、簿記1級を取得してから簿記論の勉強を始めたことで少し余裕があったので、同時に財務諸表論に挑戦してみてもよかったのかなと思います。
2年目:時間に余裕があるうちに財務諸表論と法人税法に挑戦して合格
1年目にチャレンジしなかった財務諸表論に加えて税法を受験しようと思っていましたが、どの税法にするかは迷いました。
同じような迷いを経験した方は少なくないのではないでしょうか。
私の場合は、最終的な官報合格を視野に入れるといつかは所得税法か法人税法といったボリュームのある科目を選択しなければならないので、時間に余裕のある大学在学中に受験できたほうがいいと考えて、早めに勉強することにしました。
法人税法のほうが実務でも必要な知識だと聞いたので、最終的に法人税法を選択しました。
ただ、理論について、右も左もわからない状態で財務諸表論と法人税法を始めてしまったので、精度とか回転数とか以前の問題で、暗記の仕方がわかっていませんでした。
計算を優先的に勉強していましたが、ある程度安定していたので、直前期くらいから理論に割ける時間が多くできたのがよかったのかなと思います。
それでもギリギリの自覚はあったので、次はこの経験を活かして早めに理論に取り組もうと決心しました。
3年目:パンクしながらも所得税法・相続税法に合格
財務諸表論と法人税法の受験後、次の科目について考えたとき、「初めての税法を十分に勉強しきれたこと」を自信にして、9月からも新たな2つの税法に挑戦することを決めました。
学生の期間があと1年半ほどあり、時間にまだ余裕がありましたし、「なんかできそう」というどこから湧いているかわからない自信から所得税法と相続税法を選びました。
いわゆる「週2科目」と呼ばれる所得税法・法人税法・相続税法は、量が多くて大変ですが、だからこそ、まず合格レベルまで仕上げることが難しい科目です。
そのため、週2で講義がある科目は努力が結果につながりやすいと個人的に思います。
所得税法と相続税法を合わせて週4回ある講義は、すごく大変でした。
毎回新しい論点、新しい理論、ミニテスト……レギュラー期すらついていくのがやっとでした。
少し遅れ気味だったかもしれません。
特に大変だったのは6月の答練期です。
講義全てで答練が実施され、週4回の答練で毎回違う理論範囲、復習、解き直し、たまにある新規論点……もうパンクしました。
自習時間が足りず、何からやればいいかがわからなくなりました。
5月あたりからキャパオーバーの兆候があったので、すぐに講師に泣きつきました。
その甲斐あって、何とか軌道修正できました。先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。
結局、去年同様にギリギリになってしまいました。
私が勉強で確保した2つのもの
1 まずはなによりも「時間」
5科目を取り終えて、税理士試験では、効率も大事だと思いますが、なにより勉強時間をしっかりと作ることが大切だと本当に思います。
自分の受験期間を振り返ると、勉強の優先順位が常に高かったです。
仕事や大学での必修講義など、どうしても譲れないものを除いて、勉強の優先順位を上げ、勉強時間を確保できるようにするのが早期合格の大きなポイントではないでしょうか。
2 集中力高く長時間勉強できる「場所」
私はなぜか、家で勉強しても全く集中できませんでした。
そのため、大原の自習室に大変お世話になりました。
自習室には、周りに税理士受験生だけでなく公認会計士受験生などもいて、勉強量や集中力に感化されながら毎日勉強できました。
約2年間、ほぼ毎日同じ自習室に足を運び、その自習室の名前も知らない常連たちに勝手に仲間意識を持っていました。
名前も知らない仲間たちのおかげで自習室に行って勉強することを習慣にできました。
本当に感謝しています。
大学で講義があって自習室に行けないときは、朝早くから大学の図書館に行って勉強するようにしていました。
大学に行き、大学の友達たちと大学ライフを謳歌すると途端に勉強の意思が弱くなるので、なるべく早くから勉強を始めていました。
モチベーション維持方法
9月から勉強を始める場合、約1年間勉強することになりますよね。
勉強していて、やめたくなることはありませんか。
実は私も、勉強したくないと思うことが多々ありましたし、勉強していて成績が伸び悩んで辛いと感じることもありました。
前述のとおり自習室に通うことがモチベーションの維持につながっていましたし、とりあえず自習室に行けば、なんとか最低限の勉強はできましたが、その他に私がやっていたモチベーション維持方法をいくつか紹介します。
- 合格した自分を想像する
- 初心を思い出す
- 大声で自分を鼓舞する
- 自分より厳しい環境で頑張っている人を見る など
最初の3つは簡単に短時間でできるのでよくやっていました。
4つ目は、仕事や育児、アルバイトなどと両立されている方々が大勢いらっしゃるので、あえてその方々を見ることで比較的時間に余裕がある大学生の自分を奮い立たせていました。
復習に重きを置き、講師と積極的に会話する
予習はしたところで、ほとんど理解できなかったのでやめました。
そのぶん、復習に重きを置いて勉強を進めました。
復習の濃度を濃くできるように、講義内でできるだけ多くのことをメモし、吸収しやくすることを心掛けていました。
メモをとるときは、自分で復習したときに講義が思い出せるように、講師の口調のままメモをとるようにして、後日読んでも理解がしやすいようにしていました。
次の講義までに理解できない・問題が解けないところは、何がわからないのかを自分なりに整理して必ず質問するようにしていました。
そもそも何がわからないのかがわからないこともありましたが、そのときはその旨を伝えて質問しました。
「あの場合は」「この場合は」といったように細かい内容を一つ一つ考えるのではなく、大きな幹のような考え方を捉えていくことが大事だと思います。
これが理解するということなのかなと思います。
また、講師との会話は積極的にしたほうがいいと思います。
質問もしやすくなりますし、自分の合格を応援してくれる存在はモチベーションの維持にもつながります。
講師は合格までの道を全力でサポートしてくれますし、何かあったときに頼れる人がいるのはとても安心できます。
通学ならではのことかもしれませんが、多くの会話から自分を知ってもらうことで、勉強方法等のアドバイスも変わることもあると思うので、大小様々な相談をしてみるのがいいと思います。
苦手な理論は「理解」重視で乗り切る
私は理論の暗記が最後まで苦手でした。
所得税法や相続税法では、一言一句での暗記が必要と言われていますが、9月から4月くらいまでは、頑張って暗記しても一言一句のレベルで暗記できているものは半分もなく、大体は精度が5~6割といったところだと思います。
それを毎月末に行われていた確認テストの際に、一時的に9~10割の精度に仕上げましたが、それもすぐ忘れてしまうので、内容の理解でなんとか精度を保とうとしていました。
理論の理解はとても大事です。
たとえば、5月以降の答練では1週間あたりの試験範囲の理論が所得税法と相続税法の2科目で約40題もあり、大量の理論を同時に再暗記しなければならず、回転速度を上げる必要がありました。
とてもハードでしたが、はじめからしっかり理解することを意識していたので、この時期にも理論が頭に入りやすくなっていたと感じます。
理解をしておくと、わからない理論の問題も作文で部分点を狙えるので本当にお勧めします。
どうしても暗記できない理論については、タイトルをまず覚えて理論の骨格を作ってから中身を覚えるようにしたり、自分なりの語呂合わせを作ったり、思いつく限りの方法を手当たり次第に試して気合いで乗り切りました。
具体的な暗記方法としては、歌の歌詞を覚えるイメージが私には合っていました。
時計代わりとして朝ドラを毎日流していたのですが、主題歌は毎日聴いていると自然と口ずさめるようになっていたので、それを参考に見る回数を増やして暗記する形式をとっていました。
アウトプットについては時間があれば書くようにしていました。
ただ基本的に時間はなかったので、絵はがきで本文を隠して言えるようになっていれば、大丈夫ということにしていました。
本当に暗記できているか不安が残るようなときは、不安な箇所のみ簡単に書き出しました。
計算も「理解」から攻める
計算は、基本的に講義内で扱ったものを定着させることを優先していました。
そのため配付される計算問題集を、月末の確認テストまでに3回転していました。
それ以上やってもいいとは思いますが、他に優先すべき項目があるはずなので、それらをこなした後に4回転目以降をしたほうがバランス的によくなると思います。
確認テストをその月の項目の最終課題のような位置づけで考えて、できなかったものは計算ミスか理解不足か等を分析して、「覚え直す」ではなく「理解し直す」ことをしていました。
この「理解し直す」ことは、同じような間違いをしないように徹底的にすることをお勧めします。
前述しましたが、「理解する」というのは、考え方を捉えるというイメージです。
その過程で講師に自分の理解が合っているかどうかを確認するのがいいと思います。
自分の言葉で、自分なりに理解することも大事ですが、私は講師の言葉で理解するようにしていました。
それでも理解できなかったときは、そのことをそのまま伝えるようにして、講師に理解することを手伝ってもらっていました。
また深堀しすぎた際に、講師から「そこまでは考えなくて大丈夫」と言われれば、そのままスルーするようにしていました。
「講師が絶対!」とは言いませんが、受講生の不合格を望む講師はいないと思っているので、講師を信じることは合格への一歩だと思います。
最後に
他の人と同じことをしていれば、きっと他の人と同じ結果になってしまいますよね。
差がつくのは、多くの受験生が折れそうなときに、諦めないことではないでしょうか。
「あきらめないでどんな時も、君なら出来るんだどんな事も、…」私の応援歌です。
バモス税理士受験生!
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