いゆ
(32歳、大学院1年)
<受験情報>
・合格科目:簿記論・財務諸表論(2021年度、ともに1回目)、消費税法(2023年度、2回目)
・学習スタイル:2021年4月~2022年8月はクレアール、2023年3月~2023年8月はTAC(ともに通信講座)
▶︎トップ画像は使っていた教材と文房具、たくさん読んだ育児本(本人提供)
「受験資格なし」からの勉強スタート
私は2019年から日商簿記1級を独学で勉強していたのですが、転職願望もあり、せっかく1級を取るなら税理士資格も取って転職しようと思ったのが税理士試験を受験したきっかけです。
ただ、独学だと合格までの道筋がよくわかりません。
自分で勉強はできるタイプでしたが、正しい方向に勉強できているのかどうか不安でした。
そんななか、運よくX(当時はTwitter)でアドバイザーの方と知り合い、自分が正しい方向に勉強できているのか確認し、税理士試験に合格するまでの長期スケジュールを相談しながら決めました。
当時すでに1人目を妊娠していたのですが、子供は2人ほしいと考えていたこともあったので、どのタイミングで2人目を産むか、勉強はどうするか、大学院はどうするか、などを織り込みながら計画を立てました。
その後、2020年に第一子を出産し、2021年に全経簿記上級、日商簿記1級、簿記論と財務諸表論に合格しました。
1回目の消費税法は、つわりと重なり記念受験
2022年秋に産むことを目標に2人目の妊活をしていましたが、さすがにこればかりはスケジュール通りにいきません。
早生まれの予定となったので、直前期の6~7月につわりがピークでした。
第一子も当時2歳で育児も大変でしたが、つわりは生きるのがつらいレベルです。
勉強どころではなく、体調を優先しました。
記念受験だけでもしたいと思い、当日は頑張って試験会場に行きましたが、移動だけでもとてもつらかったです。
2022年合格目標だったので、当初立てた長期スケジュールからは1年遅れることとなりました。
育児、出産、大学院、試験勉強の両立
2022年に消費税法に合格できなかったぶん、2023年はとても大変でした。
というのも、1月末に第二子を出産、その約3週間後に大学院入試、3月からTACの通信講座受講、4月から大学院通学、8月に消費税法受験というスケジュールになったからです。
ここから、時系列に2023年を振り返ってみます。
1月~3月:理論暗記+大学院入試対策が中心
2月の大学院受験までは、入試対策に比重を置いていました。
しかし、理論は忘れないようにスキマ時間は暗記に費やしました。
歩きながら、公園に行きながら、スマホをいじりながら、ベビーカーを押しながら、児童館で、などです。
なかなか覚えられず、いろんな暗記方法を試しましたが、スマホアプリ(Anki)と理論本を見ながらぶつぶつ唱える、という方法で主に暗記していました。
覚えにくいところや不安なところは、パソコンに向かう時間を作って、タイピングでアウトプットしながら覚えていました。
計算に関しては、子どもの昼寝中や夜寝た後に勉強していましたが、妊娠中や産後は夜間授乳もあって難しかったです。
3月~:自分のペースでTACの通信講座を受講
2023年度の消費税法受験に向けて、本格的に取り組んだのはこのときからだと思います。
1月開講プランだったので3月に申し込んだときにはすでに遅れており、さらに夜間授乳もあったので夜に受講することは難しかったですが、5月までに追いつくにはどれくらいのペースで受講すればよいのか把握し、大学院との兼ね合いも考えながら受講できる日を捻出しました。
講義については、昨年度の蓄積もあり、理論や計算にも毎日触れていたので新規論点もなく、学習深度を深めるようなかたちで受講しました。
通信講座は、わからない点を電話で質問できるのがよかったです。
とはいえ、電話するにも夜間はできず、休日に子供が2人とも機嫌がよいときに質問するなど、時間をとるのは難しかったです。
4月~:大学院の課題は最低限
これだけのタスクを抱えていると優先順位を決めて取り組むことが大切です。
私の中で優先順位が一番低かったのは大学院でした。
入学後は課題が多く、慣れなかったので時間はかかりましたが、全体像を見て、「何時間で終わらせる」と決めて取り組んでいました。
だらだらやらずにメリハリをつけ、集中力を持って取り組むことが大切だと思います。
5月以降はさらに、先生によって課題への取り組み具合を変えていました。
合格への思いは誰よりも強かった
このように、2023年一番の目標は税理士試験に合格することでしたが、子育ても手を抜きたくありませんでした。
今の子供との関わり方で将来どうなるか決まるとか、そんなことを考えると子育てに関しては「沼」でした。
子育て本も人より読んだと思います。
さらに、まだ子供が1人のときは、夫と交代で休息時間をとれていましたが、2人目が生まれてからはそうもいかず、怒涛の日々でした。
そんななかでも勉強は、「毎日やらないと気持ち悪い」「毎日やって当然」という状態です。
時間がなくて苦労しましたが、息をするくらい当然に勉強していたので、逆に「大変そうに見えない」状態だったと思います。
受験生だと、何をしていても「勉強しなければ」という気持ちが離れず、生きることの幸福度が他の人に比べて低い気がしていました。
それでも「2023年に絶対に受かりたい」「早く勉強から解放されたい」と思っていました。
これだけのタスクを両立させることには本当に苦労しましたが、合格したい気持ちだけは誰にも負けていなかったと思います。
受験勉強で意識したこと
私が受験勉強で意識したことは5つあります。
①スケジュール管理を徹底する
→いつまでに、どこまで学習を終わらせたいか決めたうえで、いつ何をやるか考えていました。
②理論に毎日触れる
→直前期は理論本を全ページ見ていました。
③優先順位をつける
→手の抜き加減を考えていました。
④スキマ時間に勉強する
→勉強の息抜きに家事育児、逆も然りで、家事育児の息抜きに勉強する、という気持ちでいるようにしました。
⑤「時間は作るもの」と考える
→友達とご飯に行くなど、娯楽も平均的に楽しんでいました。
ケアレスミス対策
一番最後まで悩んだのはケアレスミスです。
2022年度の本試験で圧倒的に時間が足りないと感じて以来1年間、「時短解答するにはどうすればよいのか」を考えながら勉強していました。
2022年度は仮計表を作って解答していましたが、2023年度には作らず、問題用紙に税率や区分を書きながら解答する方法に変えました。
しかし、問題を流し読みしたり、数字を読み間違えたり、転記を間違えたり、さまざまなミスがありました。
そこで、対策として、ケアレスミスをするたびにエクセルに記録し、どこで間違えやすいのか確認していました。
問題の流し読み対策としては、文節ごとにスラッシュを入れ、まるで小学生国語のように読んでいました。
最終的に問題用紙は下書きだらけで、他にこんなことをしている人はいないんじゃないか、と思うほどです。
ただ、これだけ下書きをしていても、本試験では解答時間が20分余るほどスラスラ解けるようになっていました。
最後に
税理士試験は必ずしも頭がいい人が受かるというものではなく、テクニックと根気のある人が受かるものなのでは、と感じています。
効率よく勉強すれば、誰でも、どんな状況でも乗り越えられるものだと思いました。
私は受験資格がなかったことや、育児も忙しい時期であったことから、周囲には無理だと言われていましたがやり遂げました。
一人ひとりいろんな制約があるかと思いますが、自分に合った方法で乗り越えられると思います。
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