【編集部より】
長くつらい受験生活を乗り越えるにあたって、同じゴールを目指す「ライバル」や「友人」の存在はとても大きなもの。
このたび、日本大学商学部で同じ川野克典ゼミナールに所属し、ともに令和5年公認会計士試験に合格された北原学登さん(写真左)・草島広空さん(写真右)にお話を伺いました。
普段から切磋琢磨して勉強し、合格をつかみ取ったというお二人。
しかし、一緒に勉強していても、その勉強法は違った様子。
それぞれの勉強法から、皆さんも自分に合った勉強法のヒントを見つけてください。
【対談者プロフィール】(以下、敬称略) 北原学登:日本大学商学部経営学科4年 地元の公立中学校、私立普通高校(推薦入学)を卒業後、内部進学で日本大学商学部に入学。受験勉強を経験したことがなく、効果的・効率的な勉強方法がわからない状況で、公認会計士試験の勉強を開始。試行錯誤した結果、自分自身に合った勉強方法を見出し、3回目の受験(大学3年生)で短答式試験(令和4年12月実施)に、大学4年生で論文式試験に合格。 草島広空:日本大学商学部会計学科4年 地元の公立中学校、商業高校を卒業後、指定校推薦で日本大学商学部に入学。公認会計士試験を志すと決心したのは高校3年生の時で、大学入学後ただちに勉強を開始。高校時代に日商簿記2級、大学1年生で日商簿記1級に合格。その後、大学2年生で短答式試験(令和3年12月実施)に合格。しかし、大学3年生で受験した論文式試験(令和4年8月実施)では会計学と租税法に科目合格したものの、不合格。大学4年生で論文式試験に合格。 |
まずは自分に合った「計画策定」から
――前編では受験勉強で切磋琢磨した関係性や大学生活とのバランスなどについてお話を伺いました。後編では具体的な勉強法について伺います。はじめに、お二人はどのように勉強計画を立てていたのでしょうか。
北原:私は、2週間単位で科目ごとに完了させるべき目標を定めて、そのうち日曜日を除いた12日間で勉強量を均等に分割した計画を策定、実践していました。
日曜日を除いた理由は2つあります。1つは、日曜日を休みにすることで勉強にメリハリをつけたかったからです。もう1つは、計画通りに勉強を進めることができなかった際に、達成できなかった目標に取り組む予備日とするためです。
草島:私は、「アイビー・リー・メソッド(Ivy Lee Method)」というタスク重視の勉強方法に基づいて、勉強計画を策定、実践しました。
アイビー・リー・メソッドは①1日に6つのタスクを決定する(タスクの大きさは自由)、②6つのタスクに優先順位をつける、③優先順位通りにタスクを実践する、の3段階です。
私はアイビー・リー・メソッドで毎日、タスクを完了することを目標に計画を策定、実践していました。
北原:草島さんは、「1日8時間は勉強する」といった「時間重視」ではなく、「これは今日中にやる」という「タスク重視」で計画を策定し、勉強していたんですよね。
草島:そうですね。その日にやるべきことはやり遂げるという意識が計画策定時には重要だと思います。
効果的な勉強法は「エビングハウスの忘却曲線」と「ポモドーロ・テクニック」
――計画を策定したら次に勉強を実践していくわけですが、お二人が効果的だと思った勉
強法はありますか。
北原:私の場合、ヘルマン・エビングハウスの「忘却曲線」に基づいて、テキストを読み、その後に問題集を解いて、記憶に残っているか、理解できているかを確認する方法が最も効果的・効率的でした。
「忘却曲線に基づいて勉強を繰り返せば大丈夫だ」という安心感を得ることができ、精神面で不安定になることもほとんどありませんでした。
草島:私の場合は、25分集中して勉強する、5分間は休憩をする、を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」を使っていました。
公認会計士試験は、試験範囲が広くて勉強量も膨大となるため、効率性だけでなく効果性も求められます。この方法にはメリハリがつけられるメリットがあるため、集中力を維持する方法として実践しました。
1週間の過ごし方
――次に、1週間の勉強のスケジュールについて教えてください。
北原:月曜日から土曜日までは9時から22時頃まで(直前期は7時から22時頃まで)勉強し、目標を達成できた週の日曜日はしっかり休み、目標を達成できなかった週はやり残した勉強を完了してから休む、この繰り返しでした。
集中して勉強すること、つまり勉強にメリハリをつけることが最も重要だと思います。
草島:私は北原さんと違って日曜日も勉強していました。朝に弱いため、日曜日も勉強することで合格に必要な勉強量を確保することに努めました。
具体的には、十分な睡眠時間を確保したうえで、14時頃から21時頃まで計画に基づいて勉強しました。目標を早く完了できた日は、それ以上の勉強は行わず、残り時間は自由時間としていました。余談ですが、一人暮らしなので、家事は勉強終了後に行っていましたね。
合格につながる“マイルール”
――お二人が勉強、私生活を問わず普段から心がけていたことはありますか。
草島:私は、普段の勉強で心がけていたことが3つありました。
1つ目は、「失敗をしてもいい。大事なことは、失敗を恐れずに果敢に挑戦すること」です。私は実際、失敗ばかりしていました。「どのように勉強すれば成績が向上するのか」、「専門学校で勉強していない内容が論文式試験に出題された場合どのように対応すればよいか」、失敗を繰り返さないように様々な方法を試行錯誤しました。失敗を次の成功に結び付けられたことが、合格に結び付きました。
2つ目は、「様々な問題に応用可能な知識を修得すること」です。関連する幅広い知識を習得することは、初見の問題に合理的に回答するうえで重要だと思います。勉強する際はこの点も意識してみるとよいと思います。
3つ目は、「考えるクセをつけること」です。たとえば、建物などの有形固定資産を減価償却する計算問題を解き終わった後に、「なぜ建物などの有形固定資産は減価償却しなければならないのか。また、土地はなぜ減価償却をしないのか」など、解き方のみならず、本質的な点も考えてみることです。
北原:私は勉強の質を高めるため、運動、睡眠、食事にも気を遣いました。実際、これらのことに気を遣いはじめてから、成績が急上昇して短答式試験に合格できました。
まず「運動」については、私は専門学校までバスと電車で移動していたのですが、帰宅時は途中のバス停で下車して30分ほど歩くようにしました。
次に「睡眠」ですが、夜の睡眠時間、昼寝の時間、1日を通して勉強効率がよかったかどうかを記録し、自分が長時間集中できるベストな睡眠時間を見出しました。また、質のよい睡眠をとるために、入浴時間や就寝前の軽いストレッチ方法などをインターネットで調べて、継続的に実践しました。他の受験生も行っている人が多いですが、合格するまで毎日継続していた人は少ないのではないでしょうか。
最後に「食事」については、私は1日のどこかで必ず、納豆、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品を必ず食べ、腸内環境を整えるようにしていました。また、ナッツやアボカド、鯖などの「光り物」の魚をはじめとした脳によいとされる食べ物を積極的に取り入れました。正直、食べ物に気を配ったからといって「記憶力がよくなった」などの実感があるわけではないですが、健康を維持するとともに「やれることはやった」という自信はつきました。
公認会計士試験の合格を目指す受験生へのメッセージ
――最後に、公認会計士試験合格を目指す受験生にメッセージをお願いします。
北原・草島:私たちのように、同じ大学に通い、同じゼミに所属し、公認会計士試験合格という同じ
目標をもった友人同士でも、それぞれに合ったやり方があります。これは私たち2人だけにいえることではなく、令和5年論文式試験合格者1,544名には、1,544名のやり方があると思います。
公認会計士試験の勉強において、最も重要な点は、「自分のやり方を貫き、自分自身を信じること」です。
簡単ではないと思いますが、私たちのように切磋琢磨し、励ましあえるような友人がいれば最後まで頑張ることができます。自分が勉強してきたことを振り返れば、合格に向けての自信が湧いてくると思います。
これから受験する皆さんは多くの失敗や苦い思いをすることもあると思いますが、諦めずに頑張ってください。陰ながら応援しています!
――ありがとうございました! お二人の今後のご活躍を祈念いたします。
(後編おわり)
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