【編集部より】
令和5年公認会計士試験論文式試験の1位合格者はどのような勉強をしていたのか。なぜ、超優秀な成績で一発合格を達成できたのか。そもそもどのようなモチベーションで受験生活を送っていたのか。そんな素朴な疑問を、1位合格者の野村さんにお聞きしました! 小手先の勉強テクニックではなく、トライ&エラーを繰り返しながら勉強と向き合う姿勢は、資格試験受験生全般に参考になるはずです。
・Interview:
野村準さん(慶應義塾大学法学部政治学科3年)にCPA会計学院新宿校にてお話を伺いました!
「確実な合格」のための勉強法と「上位合格」のための勉強法
―前編では、トライ&エラーを繰り返して勉強法を確立していったことを伺いましたが、まず、確実に合格ラインを超える勉強法というのは、どんなイメージで考えていましたか。
野村さん 成績はその日のコンディションによっても左右されたり、試験会場で隣の席にどんな人が座るかによっても変わったりするので、そのような外的要因があっても絶対にボーダーラインを割らない勉強が、確実な合格には必要だと考えていました。
イメージとしては、自分が体調不良でも受かるくらい、あるいは、1~2科目で失敗してしまっても受かるくらいのレベルです。
―第1回の模試で成績1位を取ってから、上位をキープするための勉強法は何か変わりましたか。
野村さん それは全然違いました。
というのも、論文式試験は相対評価の側面が強くなるので、「確実な合格」を目指すうえでは、周りの受験生が基本的にとってくる問題に加えて、もう少し点数が取れれば十分です。しかし、上位を目指すとなると、それでは全く足りません。
「全部取りに行く」という勢いで、「仕方なく落としたところしか落とせない」という戦いになってきます。
なので、当初自分が目指していた確実な合格のラインと、上位合格のラインの間には、超えなければいけないハードルはたくさんありました。
―「上位合格までのハードルを乗り越えていくこと」を自分自身に課した理由はなぜでしょうか。
野村さん 間違いなく一つ意識していたのは、周りの受験生の存在ですね。
周りの追い上げもそうですし、トップランナーとしてここから逃げ続けなければいけない、逃げ続けたいという気持ちがありました。
幸いなことに、親のサポートを得られてアルバイトなどをする必要もなかったことや、大学の授業もなるべく最小限にすることができたことで、会計士の受験勉強以外の要素をなるべく切り捨てることができました。
そのおかげで、勉強しないと暇だったということもあります。毎日、CPA会計学院の自習室に行ったら友達もいるし、息抜きに会話をすることで充実した生活を送れていたので、そこに不満はありませんでした。
多くの勉強時間が確保できたにもかかわらず、確実な合格ラインを超えるという目標ではやることがなくなってしまったので、「上位合格を目指す」という目標設定に変えました。
―周囲の期待などのプレッシャーから逃げずに、それをエネルギーに変える力もすごいことだと思います。
野村さん そのためには勉強するしかありません。本当に当たり前のことをひたすらやっていくしかなかったので、できることを全部やって上位合格できなかったら、もうそれは仕方がありません。
その姿を見てきた周りも責め立てることもないだろうなと思っていました。
勉強スケジュールと集中力
―スケジュールの管理はどうしていましたか。
野村さん 実はそれほど細かくは管理していません。ただ、「最近勉強していない教科とやりたくないことからやる」ということはすごく意識していました。
というのも、勉強に限らず、やりたくないことは「できないからやりたくない」のであって、本当は「やるべきことだけど、やりたくない」ということがほとんどだと思います。
だから、「コレ、やらないといけないけど、でもやりたくないんだよな…」と、実は心の中で思っていることが勉強には結構あるので、「そこから逃げないこと」ですごく変わると思います。
―野暮な質問ですが、1日何時間くらい勉強していたんですか。
野村さん 時期によっても違いますが、一番勉強していたのが実は短答式の直前期で、9月~10月が1カ月あたり360時間くらいなので、1日平均12時間くらいです。
その短期間だったから無茶な勉強もできたというのはあるので、再現性は高くないですが…。
―普段、どれくらいの集中力を保った状態で勉強していましたか?
野村さん 「集中しすぎない」ということは意識していて、正直なところ12時間ずっと100%の状態で勉強するのはさすがに無理なので、「7~8割くらいは集中できているけど、過集中にはなってない」という状態で長時間やるほうが自分には合っていました。
もちろん、100%の状態で、短時間でギュッと凝縮して勉強する人もいるので、個々人によるとも思います。
答練では完全に集中した状態になりますが、これは2、3時間だからやれることで、普段の学習では答練の時ほど集中力を上げないことで長時間、学習できる状態にしていました。
―これからの目標はありますか?
野村さん 今はまだ大した目標がなくて、悩んでいるところではあるのですが、ただ、今を人生で一番良かった時には絶対にしたくないので、常に前の自分を更新できる自分でいたいなと思っています。
―最後に、受験生活を振り返ってみて今感じていることを教えて下さい。
野村さん 1位合格や上位合格ということについて、自分で言うのも何ですが、多少は個々人のポテンシャルが求められてしまうのは仕方ないとしても、「公認会計士試験に合格する」という面では意外と特別なことはしていないという自負はあります。
受講していたCPA会計学院の講師が勧める勉強のやり方を取り入れたり、「多分これをやっておいたほうがいいな」と自分で思ったりすることをとことん突き詰めて、とことん量をやる。それが圧倒的に一番大事なことだと思います。
「当たり前をとことんやること」はこの試験ですごく大事ですし、それ以外に近道はありませんでした。
―ありがとうございました!
(おわり)
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