LEC人気講師・影山先生×種田先生に聞く! 簿記検定から公認会計士試験へステップアップするには?(後編)


【編集部より】
この秋から、簿記検定や公認会計士試験の受験勉強をスタートするという学生・社会人も多いのではないでしょうか。国家資格には興味があるけど一歩踏み出せない人から、簿記検定の勉強からステップアップしたいと考え始めた人まで、さまざまな思いがあるはずです。
そこで、LEC人気講師の影山一人先生(公認会計士講座)と種田有紀先生(日商簿記検定講座)に、資格試験の勉強法について横断的に伺いました!(全3編構成)
小さなモヤモヤをスッキリ解消して、勉強に向かうきっかけになるはずです。

前編中編はコチラ

勉強の秘訣は「手を動かす」「細かいことを気にしない」

―公認会計士試験の場合、理論科目も多いですが、計算学習と理論学習でどのように意識を切り替えるとよいでしょうか。

影山先生 公認会計士試験の理論科目であれば、特に最近は、短答式も論文式も暗記の要素がやや強い傾向があるので、覚えてしまえば対応できる部分も大きいです。

一方で、計算科目は、いかに早く正確に情報を処理できるかなので、どうしても慣れが必要になります。

どれだけ頭のよい人が電卓を使わずに学習して、処理方法だけを覚えても、それで答えを導き出すことはできません。

理論科目を勉強するときには書く必要がなくても、計算科目は「手を動かして、電卓を使って、数字を出す」という作業が求められます。

種田先生 LECの場合、法律系の資格から簿記検定の勉強を始める人も多く、「なかなか合格できないのはなぜですか?」と相談されることもあります。

勉強方法を聞くと、「スキマ時間にテキストの仕訳を読んでいる」と仰るのです。

でも、簿記の勉強は「読むだけではダメ」で、「面倒くさくても手を動かしてください。そして、簿記の5要素について理解してください」とよく言っています。

簿記のような計算の学習と、法律科目のような理論の学習における一番の違いは、「手を動かすか」、「読むだけでも頭に入るか」ということです。

これはインプットとはアウトプットの特性にもつながるのかもしれませんが、その違いは大きいと思います。

―他に勉強面で気をつけたほうがよいことはありますか。

影山先生 「細かいところまで気にしすぎないこと」です。

学習がまったく進まなくなりますし、大抵の場合が本質的ではないことなので、仮にそれを覚えたとしてもすぐに忘れてしまいます。

細かいところは気にせず、7~8割を理解できたら、どんどん次に進みましょう。

講義中にも、テキストの単元をすべて説明したり、マークを入れたりはしません。

受講生にも「講義で説明したところだけを復習すればいいよ」と伝えているのですが、それでも説明していないところやマークを入れていないところに対する質問を受けることもあります。

種田先生 「この子はよく勉強しているな」というのも質問からわかりますよね。

影山先生 それはありますね。

それがどんな質問かを一般化するのは難しいですが、でも、「この質問、よくあるな」、「ここは皆がつまずくよね」という質問をするのはよく勉強している証拠だと思います。

種田先生 他にも気をつけてほしいポイントとして、「問題文が何を言っているのかわからないときに、長い時間考えて手を止めないこと」ですね。

これは、「自分で解法が思い浮かばない」から、「何を言っているか」がわからないという状態なので、情報整理ができていないんですね。

だから、そんなときは「解説を見ながらでいいので、手を動かしてください」と言います。

解説を見た後に、それを再現できるか、自力でもう一回解き直して確かめましょう、と。

影山先生 フリーズしている人はよくいますね。でも、その時点で本試験ではアウトなので、本当に反射的に解法が出てこなければ、すぐ解説を見てしまって構いません。

本試験で「これは解けそう」と思って、その問題でものすごく時間を使ってしまい、本当に解ける問題がその先にもっとたくさんあった…というのは、どの試験でも共通していえることです。

LEC東京リーガルマインド中野本校にて

社会人受験生を経験した講師

―ここまで、「簿記検定から公認会計士試験へのステップアップ」をテーマにお話を伺いましたが、影山先生は社会人になってから会計士試験に挑戦されたそうですね。

影山先生 はい、仕事を辞めて、会計士受験に専念しました。

大学の時に簿記の授業を受けた覚えはありますが、ほぼゼロベースだったので、それこそ公認会計士講座で簿記3級レベルからステップアップして、会計士試験に合格しました。

―現在、影山先生は講師として会計士受験に関わっていらっしゃいますが、どうしてこの仕事を続けていらっしゃるのでしょうか。

影山先生 「教えるのが楽しい」からですね。

実は、昔は講師をやりたいと思っていたわけではないのですが、中学生の頃から、授業を聞きながら「こっちの説明のほうがわかりやすいんじゃないか」とよく考えていたので、そんな思考が今につながっているのかもしれません。

―種田先生はどんな受験生活でしたか?

種田先生 私は学生時代に簿記検定と会計士・短答式試験を受けたのですが、当時は自分で生活費を稼ぐためにアルバイトしていて忙しかったので、空いている時間はずっと勉強していました。

短答式試験には社会人になってから再挑戦して合格したのですが、その時は在宅ワークをしながら、ワンオペ育児中だったので、睡眠時間1日2~3時間で、自分のために使える時間はずっと勉強していました。

子育て中は子供と家族の時間が中心になるので、少しでもスキマ時間があれば、自分で作った「わからない問題集」なるものをひたすら回して勉強していましたよ。

受験生へのメッセージ

―それでは、最後に受験生へのメッセージをお願いします。

種田先生 お金というのは私たちが生きていく中で必須なので、それに対する知識を身につけることは、今後私たちが生活していく上でも強みになってくるでしょう。

簿記は、そんなお金に関する記録方法、帳簿の付け方を学べる一般教養でもあります。

その一つの足掛けとして簿記3級・2級、それからより専門性を求めた簿記1級や国家資格があるので、ぜひ興味があったら、書店に行ってみたり、LECに来ていただいたりして、「簿記」という新しい世界に足を踏み入れていただけたらなと思います!

影山先生 公認会計士試験の受験勉強を始める人は、簿記を学んだことがない人が大半です。

今、会計士業界は人材が足りておらず、就職市場も良好なので、「公認会計士」に少しでも興味がある人は、簿記を学習したことがなくても心配せず、ぜひ専門学校の会計士講座に相談してみてください。

そして、「始めよう」と思ったら、後ろを振り返らずに学習するのみです。
全力でサポートします!

(おわり)

<お話を聞いた人>

影山一人(かげやま・かずと)先生

LEC東京リーガルマインド公認会計士講座専任講師
平成21年 公認会計士試験合格。LEC専任講師として、公認会計士講座の短答講座から論文講座まで、全範囲におよぶ財務会計論を担当。講義外においても、丁寧な質問・相談フォローで、受講生から厚い信頼を得ている。柔道二段。

種田有紀(たねだ・ゆき)先生

LEC東京リーガルマインド日商簿記検定講座専任講師
大学在学中に日商簿記検定1級合格。在学中は大手資格予備校での教室運運営などに従事。卒業後は、会計事務所勤務中にセミナー講師や内部統制の相談、クライアントの経理指導等を経験。その後、商工会議所の教室で日商簿記検定講座や日商PC検定を含むパソコン講座で受講生の学習指導・サポートを経験。現在は株式会社東京リーガルマインドの専任講師として日商簿記検定講座を担当。
Xアカウント:種田有紀(@boki_taneda)・#たねだぼき(@tanedaboki_now)


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