【編集部より】
読書の秋ですね。本を読むのにぴったりな季節、「何かオススメはないかな~」と探している人もいるのではないでしょうか。
そこで、本企画では、学者・実務家などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「読書の秋の課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載します・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
今回の記事では、平林 黎先生(TAC公認会計士講座講師)に課題図書をお薦めいただきました!
講師として日頃ご相談を受けていると、頑張り過ぎて体を壊したり、他人との比較で自己否定感が強まる方も多いようです。会計人として社会で長く活躍するためには、日々体を休め、自分を労いつつ自省する、適度にゆるいストイックさが鍵ではないでしょうか。
そこで、休む技術・自分と向き合う技術を高める観点から、3冊ご紹介します。受験生でもスキマ時間に読めるように、数ページごとの小分けや箇条書きになっている本を選びました。
オススメ書籍①『最新科学が証明した睡眠にいいことベスト211』(キム・ジョーンズ著、文響社)
気分や体調が優れない・集中できない・ケアレスミスが重なる場合、よく眠れていないことが原因の一つかもしれません。私自身、25歳で体調を崩した際は睡眠障害が引き金でしたが、睡眠を一日の終わりではなく次の日のスタートと捉えてから、毎日のサイクルがうまく回り出しました。
この本には、就寝前・日中の過ごし方・食事など、睡眠に関するヒントが211個も収録されています。いくつか試して、「寝付きが良かったかも」「今日はすっきり目覚められた」と感じたものを定番化するのがおすすめです。
私の場合、ここ数年照明の色を時間帯で使い分けたり、カーテンの自動開閉などを設定していましたが、本書から夜にキウイを食べる、就寝前に食器を洗うなどを採り入れたところ、シンプルながら効果を感じました。あまりにも睡眠に問題がある場合には、睡眠外来に相談してみてくださいね。
オススメ書籍②『職場で、家で、学校で、働くあなたの疲れをほぐす すごいストレッチ』(崎田ミナ(著)、田中千哉 for.R整体院(監修)、エムディエヌコーポレーション)
質の良い睡眠で一日をスタートさせたら、日中こまめに体を緩めることで、「疲れをできるだけ溜めない」「週をまたいで持ち越さない」ことが重要と感じています。
この本は、どの部位に効くか一目でわかる解剖図と4コマ漫画が特徴です。記憶に残りやすいため、出先でも思い起こして取り組めるはずです。私のお気に入りは、p.62「燃える!足腰強香さん」、p.66「耳沢聖司の耳をほぐせば」、p.72「WEBデザイナー肩甲骨はがすボーイのストレッチレッスン」です。
また、試験当日やプレゼン前など、勝負時のルーティーンを決めておくと、集中力アップに効果的です。
私の場合、試験前はいつも、ストレッチやツボ押し(手のひら中央の緊張に効くツボなど)、指回し(視力・条文検索能力アップを狙って)をしていました。半ば願掛けですが、本試験当日も「普段通り」の流れから開始する安心感がありました。
オススメ書籍③『自省録』(マルクス・アウレーリウス著、岩波文庫)
夜になったら、今日一日を振り返って、自分自身を労ってあげるのがおすすめです。相談を受けていると、生真面目な方ほど強い言葉で自分を責めたり、他人との比較で自己否定・劣等感が膨らみ、学習に支障が生じやすいようです。「親しい友人や後輩と話す時のイメージで、自分への言葉掛けも選んでみてください」とお伝えしています。
この本は、約2,000年前、「ストイック」の語源・ストア派の哲学者でもあるローマ皇帝が、戦地でろうそくの灯りを頼りに書いたメモの集積です。自分に対して「君」と呼びかけて自問自答したり、何度も言い聞かせるように叱咤激励する散文が連なっています。
大学生の時に9歳離れた兄から薦められたものの、当時は読み進めることができませんでした。コロナ禍でふと手に取ってみたところ、しみじみと共感する箇所があり、それ以来時折読んでいます。
第三者に読まれることを前提としていない私的な覚え書きで、時系列で並んでおらず全てを理解し切ることは難しいですが、皇帝が日々もがきながら、自分自身を懸命に鼓舞していたことが伝わってきます(長く連れ添った奥さんを亡くしてから書き始めたともいわれます)。
心のざわつきを鎮めたい時に数ページ読むと、肩の力を抜いて自分と向き合うことができるのではないでしょうか。時間に余裕がある方は、背景を解説した本や英訳版を覗いてみると、また違った味わいがあるはずです。
以上、少しでも参考になれば幸いです。
私自身試行錯誤しているところではありますが、様々な状況に応じたヒントが伝えられたらと願って日々相談業務に携わっています。X(旧Twitter)などでもゆるく情報発信・共有をしていますので、よろしければご覧ください。
<執筆者紹介>
平林 黎(ひらばやし・れい)
TAC会計士講座講師(財務会計論-理論、個別成績/学習方法相談、質問対応、オンラインセミナー担当)。
1986年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。体調を崩し、会計士受験を一度撤退。
2014年独学で保育士資格取得後、会計士を再度志す。2016年論文式試験に合格し、現職。2020年以降、オンラインでの相談対応・セミナーを開始。
下記SNSで主に受験生に向けた情報発信を行っている。
・Xアカウント(@hirabayashi_tac)
・Instagram(hirabayashi_tac)
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