【連載】実力チェック!消費税課税判定クイズ:第4回(完)


税理士
川上悠季

こんにちは! 税理士の川上悠季です。

税理士試験本番まで残りわずかとなり、ラストスパートをかける時期になってきましたね!

そこで今回は、最後の実力チェックのために、基礎レベルから発展レベルまで満遍なく網羅した〇×問題を10問出題したいと思います!

<連載の難易度>
本連載では、消費税法の論点の理解度チェックのために、〇×問題を出題してきました(全4回)。各回の難易度は次のように設定しています(出題数は各回により異なります)。
第1回:初学者レベルの基本問題
第2回:直前期レベルの応用問題
第3回:本試験レベルの発展問題
第4回:基礎~発展まで万遍なく出題(今回)

それでは早速、今の時点での学習到達度を測るために、今月の10問にぜひ挑戦してみてください!

問題(全10問)

解答後、「送信」ボタンを押すと、ページ上部に「スコアを表示」ボタンが表示され、解答結果をご確認いただくことができます。

解答・解説

問1.×

(発展レベル)

他の者から購入した食料品をそのまま消費者に販売する場合において、一般的に行われると認められる軽微な加工は、加工後の商品が加工前の商品と同一の店舗で販売されるときは、製造業に該当せず、小売業となります。食肉店や鮮魚店が、仕入商品を切る、刻む、つぶす、挽く、たれに漬け込む、混ぜ合わせる、こねる、乾かす行為等は軽微な加工に該当しますが、加熱行為を伴う場合は軽微な加工に該当しないもとして取り扱われるため、カツオの切り身を火であぶりタタキにして販売する場合は第三種事業となります。(参考:国税庁質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分(大分類-E製造業)」)

問2.

(基礎レベル)

地鎮祭に際して神官に支払う初穂料は、宗教活動に伴う実質的な喜捨金と認識され、対価性のない取引として課税対象外(不課税取引)となります。

問3.×

(基礎レベル)

貸倒回収に係る消費税額の調整の規定は、商品を販売した課税期間、貸倒れ処理をした課税期間、貸倒れ額を回収した課税期間のいずれもが課税事業者でなければ適用されません。本問の場合、前期が免税事業者であるため、調整計算を行う必要はありません。

問4.

(応用レベル)

工場の建設費用は課税仕入れに該当します。また、国内販売分の売上げ(非課税売上げ)と輸出販売分の売上げ(非課税資産の輸出等の規定により、控除対象仕入税額の計算上は課税売上対応とみなされる)の両方に対応するものであるため、共通対応の課税仕入れとなります。非課税資産の輸出販売に対応する課税仕入れの区分経理については、非課税資産の輸出等の規定を適用して考える必要があることに注意しましょう。

問5.

(応用レベル)

「医薬品等」については、食べたり飲んだりするものであっても、軽減税率の適用対象となる「食品」の範囲に含まれません。パッケージに「指定医薬部外品」と記載されている栄養ドリンクは、軽減税率の適用対象となる「食品」の範囲に含まれないため、標準税率7.8%が適用されます。

問6.×

(発展レベル)

早出料とは、貨物の積卸期間が短縮され運送期間が短縮したために運賃の割戻しを行う場合の割戻運賃をいいます。早出料の受取額は仕入れに係る対価の返還等に該当します。(参考:消費税法基本通達14-1-1)

問7.×

(応用レベル)

「第3年度の課税期間」とは、仕入れ等の課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間をいいます。なお、「仕入れ等の課税期間」とは、調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った日の属する課税期間をいいます。

問8.×

(応用レベル)

資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権(自社商品の販売に係る売掛金など)を譲渡した場合は、課税売上割合の算定上、分母に算入される金額は0円です(全額含まれません)。なお、資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権以外の金銭債権(貸付金や他から購入した売掛金など)を譲渡した場合は、課税売上割合の算定上、譲渡対価の5%相当額を分母に算入することに注意しましょう。

問9.

(基礎レベル)

自社役員に対する事業用資産の譲渡金額が時価の50%未満(20万円<60万円×50%=30万円)であるため、本問の取引は低額譲渡に該当します。したがって、本問の取引では、備品の時価60万円が課税標準に算入されます。

問10.×

(発展レベル)

マンションの管理費は、管理組合の構成員全員が分譲マンションの維持及び管理組合の運営に必要な費用を負担し合うために徴収されるものです。マンション管理組合はその区分所有者から構成される組合であり、その構成員からの管理費の徴収は事業として行われる取引ではないことから、管理組合と区分所有者との間で行われる管理費等の授受は事業として対価を得て行われる資産の譲渡等に該当せず、課税仕入れには該当しません。(参考:国税庁質疑応答事例 「マンション管理組合の課税関係」)

学習到達度とアドバイス

いかがでしたか?

今回は、基礎:応用:発展=3:4:3のバランスで出題しました。

今回の問題の得点に応じた学習到達度・アドバイスは次のようになります。

9~10点:合格有望圏です! 素晴らしいです! しかし、直前期はライバルたちが一気に成績を伸ばしてくるので、最後まで油断しないように気を引き締めていきましょう!

7~8点:合格ボーダーラインです! この調子でラストスパートをかけて、さらなる高みを目指しましょう!

6点以下:もうあとひと踏ん張りです! まだまだ残りの期間でいくらでも挽回可能です!

直前の追い込みで爆発的に成績は上がる!

本試験まで残りわずかとなった今の時点で、成績が思うように伸びておらず、なかば諦めムードになっている方もいらっしゃるのではないかと思います。

しかし、直前の短期間の追い込みで爆発的に成績を伸ばし合格を勝ち取る方は毎年多くいらっしゃるので、まだ諦めてはいけません!

税理士試験は、全体的に暗記の要素が強い試験であるため、暗記した時期と本試験の時期が近ければ近いほど、記憶の漏れが少なくなり有利になります。

そのため、本試験直前にがむしゃらに勉強して詰め込めば、記憶が抜け落ちる前に本試験を迎えることができ、試験本番でかなり高い精度でアウトプットすることが可能です。

残された時間はまだまだたくさんあります。

本試験当日まで決して諦めることなく、がむしゃらにラストスパートをかけ、成績を爆発的に伸ばしましょう!

【執筆者紹介】

川上 悠季(かわかみ・ゆうき)
税理士
慶應義塾大学卒業。23歳で税理士試験官報合格(簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、事業税)。税理士受験生のときにアプリ「消費税法 無敵の一問一答」を開発。資格の学校TAC税理士講座において講師を務めた経験もあり、現在は教材制作を担当。第45回(令和4年度)日税研究賞・税理士の部において研究論文「現物出資が行われた場合の消費税の課税標準に関する一考察」が史上最年少で入選。「楽しく学ぶ」をモットーに、アプリやウェブサイト、SNSなどを通じて消費税法をクイズゲームのように楽しんでもらえるよう尽力している。
・Twitter(@YukiKawa_Tax 本人アカウント)
・Twitter(@mutekishouhizei 消費税法一問一答アプリアカウント)
「消費税法 一問一答アプリ」公式ホームページ

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