【私の理論暗記「超」追い込み法】本試験まで60~70回転&スキマ時間は耳から暗記!


キング墨子
(令和4年度税理士試験合格者)

【編集部より】
8月の税理士試験に向け、「理論暗記をもっと強化したい」と考える受験生も多いのではないでしょうか。「自分に合う方法をいかに早く見つけるか」が勝負どころのようですが、なかなか一筋縄にはいきません。
そこで、5人の合格者の方々がどのような方法をとって、直前期に追い込みをかけていたのかを教えて頂きました。いいなと思った方法はぜひ取り入れてみてください!

直前期の理論暗記で何をしていたか

皆さんと同じように、私も理論暗記は非常に苦労しました。特に会計科目から初めて税法科目に突入したときは、とても戸惑ったことを覚えています。まさか理論集を丸ごと覚える必要があるとは夢にも思ってみませんでした。

そこで、私が最終的に到達した理論暗記法について紹介したいと思います。特に直前期に何をしていたか、皆さんの理論暗記に少しでも参考になれば幸いです(合格体験記はコチラ)。

私の理論暗記法の基本は、短期間で理論集を何回転もさせるやり方です。最初は重要語句を暗記ペンでマーカーし、覚えたら次の理論という感じでどんどん進めていきます。

ここで重要なのは、「はじめにその理論の内容を理解すること」です。理解がないと、暗号をひたすら覚えるようなもので、作業もつらく、効率的ではないと思います。法人税法や消費税法など、計算がからむような理論は、計算をイメージできれば理解が進むはずです。

ただ、その科目の初年度の学習では、その単元の授業を聞くまでは、理論を理解することが実質的に難しいので、授業の進行に合わせて覚える理論の対象を増やしていくことになります。最初は太文字や色がついている最重要語句のうち、特に重要な語句から覚えていきます。

この勉強法の肝は回転数なので、欲張ってあれもこれもとマーカーすると回転が鈍るので、「ストレスがない程度に少しずつ増やしていくこと」が回転数を増やすコツです。

どの税法科目も同じだと思いますが、最初に学ぶ単元は基礎かつ重要な部分なので、この方法だと必然的に前半で学習する重要単元の回転数は後半で学習する単元の倍くらいになると思います。そして、覚えた日付を理論集の上部余白部分にメモしていきます。

この日付がだんだん増えていくことで、「自分はこれだけやったんだ」という自信もつきますし、またその間隔がだんだんと短くなっていくことで、暗記が順調に進んでいることが自分の目で確認でき、モチベーションの維持にも繋がります。

6月まではひたすら回転、それ以降は音読も並行

この方法を継続することで、5月頃には前半で学習した単元だと少なくとも30~40回転くらいになっていると思われるので、6月まではひたすらこの方法を継続します。すると、何度も何度も同じ理論を読んでいるため、この頃には知らず知らずのうちにほぼ全文が頭に刷り込まれた状態になり、そのページを開いた映像そのものが頭に残っている状態になると思います。

「この部分はページの右側の上の方にあったやつだ」、「ここにこんなメモ書きをしたぞ」など、理論以外の記憶もどんどん蓄積され、記憶の定着が加速していきます。そして、理論集もその頃はほとんどマーカーした状態になっているはずなので、その頃からは、理論集を見ずに暗唱し、言葉に詰まれば理論集を見て確認するというやり方に徐々にシフトしていきます。

また、この頃からは並行して、スマホに理論を音読したものを録音し、通勤中の車の中や駐車場から職場までの間など、理論集を開くことができないときは、自分の声を聞きながら、自分の声に合わせてブツブツつぶやいていました。

この方法を導入することで、スキマ時間はすべて理論暗記に費やすことが可能となります。この方法の良いところは、自分が覚えにくい部分をあえてゆっくり読んだり、声を大きくしたり、注意する点を追加で吹き込むなど、自分の好きなようにアレンジできる点です。

7月以降の平日スケジュール

私のその頃の1日(平日)のスケジュールは、おおよそ次のような感じでした。

  • 午前3時:起床し、出勤までの時間は計算対策
  • 午前6時半:出勤(車の中でスマホを聞きながら理論暗記)
  • 午前7時半:駐車場到着、職場まで徒歩(スマホを聞きながら理論暗記。理論暗記のためあえて徒歩で)
  • 午前8時~午後0時:仕事
  • 昼休み:食事をしながら理論集を片手に暗唱・内容確認
  • 午後1時~午後6時:仕事
  • 午後6時半:駐車場到着(駐車場までスマホを聞きながら理論暗記)
  • 午後7時半:自宅到着(車の中でスマホを聞きながら理論暗記)
  • 午後9時頃まで:食事、入浴。その後、寝るまでの時間は理論集を片手に暗唱・内容確認
  • 午後10時:就寝

なお、休日は終日図書館で答練や過去問を繰り返し解いていました。答練などは、4~5回は解きなおしをしましたが、理論については1回目と2回目は普通に解答しますが、3回目以降は解答すべきポイントのみ記載することで時間短縮を図れました。

8月本試験前の数日

そして、いよいよ8月に入って試験前の数日は、「すべての理論の項目(見出し)を、すべてもれなく書き出すことができるか」という最終チェックをしました。問題によっては、それぞれの理論から必要な部分を抽出して解答する必要があるので、その取捨選択をする際は、それぞれの理論の各項目が頭に入っていないと記載漏れとなる恐れがあることも意識しました。

この方法で、国税徴収法と法人税法は理論集をほぼ全部暗記できました。直前期は数日で1回転できるようになり、最終的には60~70回転くらいさせたと思います。

全部覚えないと自信をもって試験に臨めない

以上が私の理論暗記法です。最初に受験した消費税法は、この方法が自分の中でまだ確立されておらず、予備校のAランクを中心に暗記し、その他の理論は暗記が不十分なまま受験をしていました。しかし、それだと不安なまま試験に臨むことになり、結果的には十分に覚えていないところが出題されてパニック状態になり、確実に押さえておくべき問題についても焦って問題を読み飛ばしてしまうなど、散々な結果となりました。

結局のところ、「全部覚えないと自信をもって試験に臨むことはできない」ということに落ち着きました。実際に合格した人の話を聞くと、皆声を揃えて全部覚えたと言っていたので、「受かる人は皆これくらいやっているんだ」と諦めて、最初からそのつもりで取り組むほうがよいと思います。

税理士試験を乗り越えるには、理論暗記から逃れることはできません。税理士試験受験生にとって、ゴールデンウイーク頃からは直前期突入という精神的にもしんどい時期にさしかかっていると思います。とにかく気持ちだけは切れないよう、明日への一歩を継続して、コツコツ暗記に取り組んでください!

【執筆者紹介】

キング墨子

地方公務員。大学卒業後、地元の県庁に入庁。これまで、教員の給与事務、公共ホールのコンサート企画・広報・運営、公共事業の用地買収、職員の福利厚生、東京のアンテナショップ運営、JA等の組合の検査・指導、県税の徴収・滞納整理など多岐にわたる業務に従事。
・会計人コースWeb合格体験記「【税理士合格体験記】計算は同じ問題集の反復、理論は60回転して、朝3時起床で働きながら官報合格


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