平林 黎
(TAC会計士講座講師)
【編集部より】
いよいよ新年度になりましたね。「今春から資格取得を目指そう!」と考えている人も多いのではないでしょうか。とくに、就職や転職を念頭に会計系資格に興味を持つ人もいるはずです。
そこで、「会計士になりたい!」と考える人のために、「何」から始め、「どこ」を目指して学習スタートすればよいのか、TAC講師の平林 黎先生(@hirabayashi_tac)にアドバイスを頂きました。
地方通信生・社会人通信生も含め、これまで個別相談などで合格者約600名と接してきた平林先生に、合格者の特徴なども教えていただきます。
前編では、春から目指す人からのよくある3つの質問として、下記を取り上げました。
Q1.会計士試験は地頭が良い限られた人しか受からない?
Q2.年齢面でのデッドラインは? もし合格できなかったら、費やした年月は無駄になる?
Q3.合格者に共通した特徴は?
このうち、後編では、Q3についてお話しをします。
Q3.合格者に共通した特徴は?
A.合格者は、次の①~③の特徴が共通しているように感じます。今現在当てはまらなくても、不安に思う必要はありません。受験勉強を通じ、定期的に講師やチューター・受験仲間と軌道修正を行うことで徐々に身につけていくケースが多いです。これからのご自身の変化を楽しみにしてくださいね。
①粘り強くコツコツ取り組む力(グリット)がある。
会計士試験は、「努力家のオリンピック」ともいわれます。科目も多く出題範囲も広いため、丸暗記や一夜漬けでは戦えない試験です。
合格を勝ち取るためには、テキストの理解と、日々の地道なアウトプット、本試験を意識した問題演習・分析が必要です。
その点、過去にスポーツに打ち込んだ経験がある方は、日々のトレーニング・試合・試合後の分析などPDCAサイクルを回す習慣が身についているため、本格的な受験経験はなくても、短期・上位合格されるケースが多いですね。
②間違えることを恐れない。同時に、基礎的な問題ほど強烈に悔しがり、原因分析する。
合格者は、小さな成功体験を積み重ねる一方で、本試験までに山ほど間違えて、その都度諦めずに分析・修正をし続けた人達です。
「うまく解けなくて悔しい!」という経験をすることで、学力は伸びていきます。
受験指導校のカリキュラムは、ちょうど筋トレのように、軽すぎる重りを上げ下げするのではなく、その時々で最適な負荷が掛かるように調整されています。
ミスの分析については、以前、私が書いた記事「3つの「ミス分析」で”計算力”を高めよう!」も参考にどうぞ。
③自分の体調や気分の波との付き合い方を心得ている。完璧主義は封印している。
モチベーションは特段上げようとせず、下がる要因を避けていた合格者が多いです。体調管理や、ネットとの適度な距離感が鍵です。
また、本格的な受験の経験値が少ない場合、学習法自体の不安が膨らんで気分がふさぎ込みがちです。講師等に定期的なフィードバックを受けたり、切磋琢磨する仲間を作り、不安の解消・軌道修正を図りましょう。
ちなみに、会計士試験の勉強で出てくる計算は、基本的に四則演算(+−×÷)程度で、電卓も使用するため、高校数学や暗算が苦手でも早期合格・上位合格が可能な試験です。合格者を拝見していても、文系が圧倒的に多いです。
受験から撤退し、28歳の時に一念発起して再挑戦!
私の場合、バリバリの文系で、高校数学の期末テストは恥ずかしながら毎回赤点に近く、一夜漬け派でした。
浪人して挑んだ大学受験時も苦手科目に向き合わず、大学卒業頃の春に、会計士受験に通信生としてはじめて取り組んだ際は、勉強にムラがあり、体調も崩して撤退しました。
「自分は数字苦手だし、コツコツできるタイプではないから…」「適性なかったんだよね~」と自分にも周りにも言い訳をしていたのが苦い思い出です。
28歳の春に一念発起して再開した際は、講師やサポート制度を頼ることでなんとかカリキュラムに食らいつき、受験仲間にも助けられ、目標年度で合格しました。
講師となった現在は、通信生時代にうまくいかなかった経験をもとにして、個別相談対応のほか、オンラインでのゼミ・質問会・LINEオープンチャット・地方校舎での合格者座談会/相談会等の運営、仮想空間の開発に携わっています。
ぜひ地方通信生・社会人の方にも、切磋琢磨できる環境に身を置いて、志を果たしていただきたいと願っています。
各受験指導校や公認会計士協会・監査法人でも、合格者の座談会などが開催されていますので、ご活用ください。監査法人のオフィスツアーや、管理会計論の学習開始後は工場見学もおすすめです。
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以上、この記事が不安の解消の一助となれば幸いです。会計士試験は範囲も広く、成績が伸び悩んだりしんどいことも多いですが、何かを学んで自分の血肉にしていく楽しさを忘れずに、周りの力も借りて取り組んでくださいね。
これから始まる皆さんの受験生活が、心身共に健やかで充実した日々になるように心から願っています。健闘を祈ります!
<執筆者紹介>
平林 黎(ひらばやし れい)
TAC公認会計士講座講師(財務会計論-理論、個別成績/学習方法相談、質問対応、各種ホームルーム・オンラインイベント担当)。
1986年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。体調を崩し、会計士受験を一度撤退。
2014年独学で保育士資格取得。
2016年公認会計士2次試験に合格し、現職。
2020年以降、オンラインでの相談対応・セミナーを開始。2022年以降、札幌/仙台/広島/福岡など各地での対面相談会、オンライン自習室運営を開始。Twitter(@hirabayashi_tac)やLINEで受験生向けの情報発信を行っている。
特技は顔と名前を覚えること。
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