柴本玲菜
【編集部より】
簿記の勉強に欠かせない「電卓」。はじめて選ぶときは何を基準にしたらいいのかわからないこともあるのではないでしょうか。また、勉強が進むにつれて、電卓をもっとうまく使って、ミスなく、はやく計算できるようになりたいと思うこともあるかもしれません。
そこで、「電卓検定1級」をもつフリーランス講師のおしば先生(@lumanabu)に、学校では教えてくれないような電卓のキホンについて解説していただきました。
今回の前編では、簿記試験に役立つ電卓機能の活用法を教えて頂きます!
簿記試験に役立つ機能
前編では、電卓の選び方や早く正確に打てるようになるための方法をご紹介しました。今回の後編では簿記試験に役立つ電卓機能の活用法についてご紹介します。
なお、以下は「カシオ計算機」の事例です。メーカーによって一部操作方法が異なりますので、ご使用の電卓のメーカーHPにてご確認ください。
複数の計算結果を合計したいときに使う「GT」
<A+B=C、X+Y=Zという計算をそれぞれ行った後に、C+Zを求めたい場合>
①A+B=と入力→合計額CとともにGTという文字がモニターに表示される
②そのまま他のキーを押さずに続けてX+Y=と入力→合計額Zが表示される
③「GT」キーを押す→C+Zの計算結果が表示される
A+B=Cを計算した後に間違えて「AC(オールクリア)」キーを押してしまうと無効になるため注意
収益-費用=利益を計算したいときに使う「M+」「M-」
<売上などの収益合計から、売上原価などの費用合計をマイナスして利益額を計算したい場合>
①収益を合計し、合計額がモニターに表示される
②「M+(メモリープラス)」キーを押す→モニターに「M」が表示される
ここで「AC」キーを押しても「M」表示は消えません
③費用を合計し、合計額がモニターに表示される
④「M-(メモリーマイナス)」キーを押す
⇒電卓の裏側では先程記憶させた収益合計から、費用合計を減算する処理が行われた
⑤最後に「MR(メモリーリコール)」ボタンを押す
⇒収益合計から費用合計を差し引いた利益額が表示される
計算順序を逆転したいときに使う「-、-」「÷、÷」
<A-B=Cという計算をしたいのに、先に金額Bを入力してしまった場合>
計算順序が重要な「引き算」や「掛け算」の計算において、A-BやA÷Bと計算したいのに、先に金額Bを入力してしまった場合の対処法です。
①金額Bの計算を終え、モニターに金額Bが表示されている状態
②「-」「-」と2回連続で押す→モニターに「K」が表示
③金額Aを入力し、「=」を押す
⇒B-Aという計算順序が逆転し、本来行いたいA-Bの計算結果が表示される
わり算も同様に、A÷Bを計算したいのに先に金額Bを入力した場合、「÷」「÷」と2回押してから金額Aを入力すると、B÷Aが逆転してA÷Bという計算順序で求めることができます
数字を固定したい時に使う「××」
<単価を固定して、異なる数量に掛け算したい場合>
例えば、300個(総額150,000円)の商品を、120個分と180個分それぞれいくらになるかを計算したい場合、以下のように操作します。
①150,000÷300=と入力
⇒1個あたりの単価500円が表示される
②「×」「×」と2回押す
⇒モニターに「K」が表示=単価500円という情報が固定された
③120と入力したあとに「=」を押す→500円×120個分の計算結果60,000円が表示される
④そのまま他のキーを押さずに続けて180と入力したあとに「=」を押す
⇒500円×180個分の計算結果90,000円が表示される
単価500円×120個=、単価500円×180個=と2回入力し直すと時間もかかりますし、打ち間違える確率も上がります。定数計算機能を活用して、効率的にミスなく計算できるとベストです。
マナーを守れる電卓マスターに
電卓の種類によっては打つ音が響きやすいものもありますが、過剰に力を入れて大きな音を立てながら電卓を叩くのはマナー違反です。
誰にも迷惑が掛からない場所でやるのは構いませんが、試験会場や自習室など周りに人がいる場で大きな音を立てることは控えたいところです。
電卓を使いこなせれば時短&正答率アップが図れるため、ぜひマナーを守りつつ電卓マスターを目指してみてください。
動画解説も公開しておりますので、少しでもお役に立てましたら幸いです。
楽しい簿記の学習になりますことを祈っております。
<動画解説>【後編】簿記試験で役立つ電卓機能
【執筆者紹介】
柴本玲菜
フリーランス講師として、専門学校では簿記・財務分析などの会計分野、企業では経理・営業研修を担当。
中学生の時に独立を決意すると同時に簿記に魅了され、東京都立第一商業高校へ進学(簿記部所属)。
学習院大学卒業後は化粧品メーカー、税理士法人での勤務経験を経て2019年に独立した。
自分自身が知識不足に泣き、知識に救われた日々を送ってきたため、簿記などの実学を学ぶ意義や楽しさを伝えながら、1人でも多くの人がより輝けるようにという想いで講師を務めている。
・Twitter(@lumanabu)