【編集部より】
早いもので2022年も年の瀬。まだ正月休みのことを考える暇はあまりないかもしれませんが、でも貴重な時間なので今のうちに少しずつ準備をしておきたいところですね。
そこで、本企画では、学者・実務家など10人の読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「年末年始の課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を掲載していきます・順不同)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
今回の記事では、税理士の飯田真弓先生に課題図書をお薦めいただきました!
会計人コースWebをご愛読のみなさん、こんにちは。
国税勤務26年、元国税調査官“おかん税理士”の飯田真弓です。
私のオススメの本を3冊紹介したいと思います。
オススメ① 『税務署は見ている。』飯田真弓、日本経済出版社
国税を退職し、企業様向けのカウンセラーとして第二の人生を歩むつもりがうまくいかず…。已む無くそれまで行っていた税務調査のことを人前で話すようになり、既に出版している方が私の話を聞かれ、その方が編集者に繋いで下さったことから書いたのがこの本でした。『税務署は見ている。』というタイトルは私が考えました。少々キャッチーなので、国税組織の暴露本かと思われていた節もあったようです。ページを繰っていただくとわかるのですが、中身は至って真面目。税務署の仕事は何なのか、どんな人たちが働いているのか、私の26年間の調査官人生を赤裸々に書き綴ったという感じです。税理士になったら常に税務署と付き合わなければなりません。ご一読いただくことで、税理士として働くご自身をイメージしやすくなるのではないかという思いからおススメさせていただきました。
オススメ② 『ララピポ』奥田英朗、幻冬舎
1冊目に紹介した『税務署は見ている。』を執筆中に、“飯田さんの文章は、奥田英朗氏の文章に似てますね”と編集担当の方に言われて、奥田英朗氏の文章に触れたいと思い読んだのがこの本でした。数ある奥田英朗氏の小説の中からなぜ『ララピポ』を選んだのか、いまだに謎です。インパクトのある装丁で書店の本棚からの私にサインを送っていたのかしら…?読み始めると止まらず、どんどんその世界に引き込まれて行きました。気分転換、ストレス解消には持ってこいだと思うのですが、ここでひとつ問題が…。必ずしも万人受けする本ではないかも、という点です。ご自身のことを潔癖性だと自負されている方は、やめておいた方がいいかもしれません。でも、これから税理士という仕事をしようと思っているのであれば、挫折しそうになっても読み進めてください。税理士は何でも受け入れることができる許容力が求められると思うから…。最後まで読むと不思議なタイトル『ララピポ』の意味もわかります。今まで読んだことのないジャンルにチャレンジしたいと思われる方には是非おススメです。
オススメ③『税務弘報』中央経済社
税務の専門雑誌『税務弘報』には、2014年2月号に“Q&A・回答記載例でわかる 税務署からの「お尋ね」対処法“という記事を皮切りに何度か書かせていただいております。2018年は”税務調査の都市伝説“というコラムを1年間連載させていただきました。2020年9月号の「税務調査之心得50」には、”経営者の気持ちに寄り添う“というテーマで書きました。一番最近では2022年11月号「税務は伝え方が100割」に”それは税法ではなんともなりませんよ~“というタイトルで寄稿させていただきました。『税務弘報』は難解な税法の論文や解説など税理士必携の専門誌ですが、まずは気になるテーマの号のバックナンバーを購入してみてはいかがでしょう。税理士として知っておきたい情報をタイムリーに得られる本なので定期講読されることをおススメします。
いかがでしたか。
税理士は税理士試験に合格することがゴールではなく、そこからがスタートです。常に社会情勢や法律の改正に敏感でなければなりません。いろんなジャンルの書物に触れることで、選ばれる税理士を目指していただければと思っています。
プロフィール
飯田真弓(いいだ・まゆみ)
元国税調査官“おかん税理士”。誰もが活き活きと自分らしい人生を送れる社会の実現に向け、税理士会などでの講演、執筆、企業での研修講師、個別カウンセリングなどを行う。著書に『税務署は見ている。』、『B勘あり!』、『税務署は3年泳がせる。』(ともに日本経済新聞出版社)『調査官目線でつかむセーフ?アウト?税務調査』、『「顧客目線」「嗅覚」がカギ!選ばれる税理士の“回答力”』(ともに清文社)、『教えて飯田先生!メンタルが強い税理士にどうすればなれますか?』(中央経済社)がある。
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