日商簿記2級のための連結会計攻略法


<編集部より>
11月20日の日商簿記検定試験まであと25日。
日商簿記2級の難易度は一昔前と段違い。その要因の1つには、連結会計が含まれることになったこともあるでしょう。
その複雑さから苦手意識を持つ受験生も多いと思います。
そこで、ブログ『連結会計よもやま話』やTwitterで、連結会計の面白さを広めていらっしゃる元専門学校講師の猫三昧さんに、攻略法を解説いただきます!

猫三昧

<はじめに>

皆様、こんにちは。

この度日商簿記2級の連結会計について執筆させて頂く猫三昧と申します。

連結会計の楽しさを知ってもらうため、ブログやTwitterで発信をしています。

さて、連結会計は、2017年11月の日商簿記2級検定試験から新たに出題範囲に加えられた分野ですが、難解でほとんどの学習者が苦労する分野です。

しかし、実はほんの少し考え方を変えるだけで飛躍的に理解が進み、そして学習が楽しくなって来る分野なんですよ!

ここでは、連結会計の攻略法についてお話したいと思います。

1.なぜ連結会計に苦手意識を感じるのか?

簿記2級において連結会計は重要なので、「連結会計は捨てればいいや」と言うスタンスでは、なかなか合格できません。

しかし、過去の指導経験から、連結会計に対して苦手意識をもつ方が非常に多いと感じています。

その原因は「個別財務諸表に対する修正消去」という連結仕訳固有の性格によると思います。

具体的には、連結修正仕訳は個別財務諸表も含めたパッケージで考えないと理解し難いことや、逆仕訳という形に馴染めないこともあるでしょう。

そして、これらに対する特効薬は存在しないため、量をこなすことで早めに慣れるしかありません。

2.資本連結は仕訳で解く? タイムテーブルを作る?

 さて、連結会計には、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本とを相殺消去し、差額をのれん等に振替計上していく資本連結と、親子会社間の内部取引を相殺消去する成果連結があります。

連結会計を勉強してみて、最初に多くの受験生が戸惑うのは、「仕訳とタイムテーブルどちらを使って解くべきか?」でしょう。実際、よく質問も受けました。タイムテーブルとは、専門学校で教わったり、簿記のテキストに書いてあったりするのでお分かりと思いますが、以下のような時系列の図を作る方法です。

格好よくタイムテーブルを使っている受験生の下書き等を見ると、焦る気持ちもわかりますが、両者には、長所と短所があります。

■資本連結仕訳
長所:普遍性があり、学習に時間が掛からない。
短所:仕訳と集計に時間が掛かる。集計ミスの可能性もある。

■タイムテーブル
長所:下書きと集計に時間が掛からない。
短所:慣れるまでにかなり時間が掛かる。

日商簿記2級を勉強される方には、2級の取得が目標の方もいれば、1級や公認会計士試験・税理士試験への下準備という方、社会人、学生……様々なタイプの方がいらっしゃいます。

どちらのアプローチをとるかは、以下のように、その目指すところや可処分時間によって選ぶべきだと思います。

■日商簿記2級のみを目標とされる方
→慣れるまでに時間が掛かるタイムテーブによる解法の学習をされるのは得策ではないでしょう。

■日商簿記2級取得後に1級や会計士・税理士を目指す方
→処理が迅速なタイムテーブルが先々必要となるため、早めに慣れる意味で2級の段階でタイムテーブルによる解法の学習を始めるべきでしょう。

ちなみに、会計士試験の合格者の中には時系列を線表で把握し、後は専ら仕訳を行うというミックスした独自のやり方をする方もおられました。これは、「タイムテーブルにはどうしても馴染めない」というのがその理由でした。連結会計の考え方を理解していれば、解き方自体は自分の方法を見出しても問題はないと思います。

3.成果連結では何が重要?

次に成果連結についてです。

一般的な簿記のテキストには、理解を促すため、仕訳について1つ1つ丁寧な解説があったりします。

しかし、仕訳の意味内容に深入りしても問題が迅速に解けるわけではありませんし、その知識が将来役立つわけでもありません。

成果連結で重要なことは、問題を迅速に解くために開始仕訳に実現仕訳を加えた仕訳の短縮形に習熟して、早めに総合問題に取り組むことです。

更に総合問題への取組みは合格に何が必要で、何が不要かを教えてくれます。

従って、基本例題の復習の際に総合問題も確認しておくことが合格への近道です。

4.総合問題は勉強の羅針盤!

3.で総合問題を確認することが合格への近道とお伝えしました。総合問題は疑問点の解決にも役立ちます。

例えば、開始仕訳において利益剰余金に期首残高(当期首残高)を付ける理由について疑問に思った時、連結精算表や連結株主資本等変動計算書等の総合問題を確認すれば、疑問点は即座に解決する筈です。

このようにテキストの例題や問題集の個別問題に取り組む際に総合問題にも目を通しておけば、疑問点が解決するだけでなく、学習の方向性も自ずと見えて来ます。更に、総合問題へのハードルも低くなるので、一石三鳥と言えるかもしれません。

通学・通信を問わず、簿記講座では総合問題の演習が本試験直前に集中しており、授業のインプット期に総合問題に触れる機会が皆無なこと、授業と問題演習の間隔が空きすぎること等から直前期の総合問題演習に戸惑う方も多い様です。

そうならない様にする為にもテキストの例題を自習される際に総合問題に触れることをお勧めします。

最後に、皆様の11月の日商簿記2級統一試験の合格と今後のご多幸をお祈り致します。

ご一読有難うございました。

プロフィール

猫三昧(ねこざんまい)
某会計関連専門学校の公認会計士講座にて財務会計論(計算)の講師を約20年間にわたり担当。公認会計士論文式試験での1位一発合格者2名(大学3年/大学4年)を始め、多くの上位合格者や優秀な受験者を指導。図形を多用した説明は分かり易く、忘れ難い!と大好評。現在、連結会計よもやま話(ブログ・ツイッター)を中心に活動中。
アメブロ https://ameblo.jp/hamutora77/
Twitter @renketsu_jp
HP http://renketsukaikei.sub.jp/


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