コロナ禍の中、高校3年生がどのように高校創立以来初の日商簿記1級に合格したのか?―越谷総合技術高校3年・岡﨑隼さんにきく


【編集部より】
先日、高校生が日商簿記1級に合格したとのWEBの記事を目にしました。
よく読むと、高校創設37年で初の快挙とのこと。
いわゆる商業高校の伝統校では毎年のように日商簿記1級の合格者を出している学校もありますが、コロナ禍の中、そして初の合格者となると、どのように勉強していたのか非常に気になるところ。
そこで、合格者の岡﨑隼さん(越谷総合技術高校・情報処理科3年)にお話を伺いました。

簿記を学習しようと思ったきっかけは?

―学習するきっかけと1級取得までのプロセスを教えてください。

岡﨑さん 高校に入学してから簿記に出会って、コロナの影響で自宅学習も多かったことから、まずはWEB講義で日商簿記3級の勉強を始めました。
すると、思ったより簡単に感じられ、マイペースで進めていたにもかかわらず、まわりの友達とくらべてだいぶ早く3級の範囲を終えることができ、自分には向いているのかなと感じました。
そこで、先生と相談して2級に進み、1年生の11月に2・3級を同時合格できました。
そして、将来は自分の得意なことを仕事にしたいと思い、1級にチャレンジすることとしました。

2年生の6月(49点)と11月(65点)は残念な結果でしたが、着実に得点は伸びていたので、頑張って勉強を続けて3年生の6月に75点で合格できました。

なお、勉強する中でその内容が将来役立つことは十分感じられましたので、途中でモチベーションが下がるということはなかったです。

学校の勉強との両立ですが、できるだけ授業時間内ですますようにして、極力簿記の学習に時間を使うようにしていました。

2・3級と1級のギャップをどう克服した?―徹底的に「理解」を重視する!

―2・3級と1級はレベルが大きく違いますが、どのように勉強して克服していったのでしょうか?

岡﨑さん 3級、さらに2級も極端にいえば、暗記で乗り切れる面もあると思います。
しかし、1級は範囲が膨大で、感触として1級は2級の10倍以上と感じました。
私はもともと暗記があまり得意ではなく、暗記ではとても合格できないと思ったので、理解を重視して学習を進めました。
その際、個々の論点の理解だけでなく、各要素をつなげて全体像を理解するように心がけていました。

―“理解を重視する勉強”についてもう少しくわしく教えていただけますか?

岡﨑さん テキストを読む際、問題を解く際ともに「なぜこのように考えるのか」を意識して勉強しました。

たとえば、問題を解く際、同じ問題を繰り返し解くということはしませんでした。
同じ問題を繰り返し解くと何となく解けるようになることもありますが、数字を覚えてしまい意味がわからず解けてもまったく実力はつかないと思います。
ですので、問題を解く際も、「なぜこのように考えるのか」について理解することを重視して、場合によってはすぐに解答・解説をみることも躊躇しませんでした。

よく、「何時間勉強した」、「何問解いた」というモノサシで勉強の成果をはかる方がいますが、これでは勉強時間や解いた問題数が目的になってしまっているように思います。
目的は「試験に合格すること」であり、「勉強時間」や「解いた問題数」は手段でしかないので、目的と手段をはき違えないようにすることは強く意識していました。
ですので、私は「何時間勉強する」「何問解く」というではなく、どこまで理解できたかを重視して計画・実行していきました。
結果として、毎日だいたい2~3時間の学習時間だったと思います。

ちなみに、過去問などの演習も結果的に4~5回しか行わず、また予想問題などにもまったく手をつけずに、テキストと問題集の内容の理解にひたすら力をそそいでいました。

勉強法について有効だったことは?―「睡眠」と「勉強姿勢」

―合格するうえで、有効だったと思われた勉強法のポイントはありますか?

岡﨑さん まず「睡眠」はとても重要だと思いました。頭が働かない中で何時間勉強しても、何問解いても理解は進みませんので、十分に睡眠はとるようにしていましたね。
なお、学習する時間帯については、毎日〇時~〇時までと決めていたわけではなく、自分が集中できる、頭の働くと思った時間帯に勉強していました。

また、ちょっと行儀がわるいのですが、私はWEB講義を寝っ転がって、2倍速で聴いていました。
姿勢の維持に集中力を使わなくて済んだのでので、2倍速でも集中でき、机に座って聴くよりも断然効果が上がりましたね。

これらは個人差があると思いますので、目的を意識してどのようにすれば最も効果が上がるかを探してみるとよいと思います。

(インタビューを終えて)

岡﨑さんのインタビューを通じて、受験生の皆さんにも活きると思われる点は、以下の通りです。

① 自分の特性を十分に把握して、自分なりに勉強方法・スタイルを確立して、着実に実行する
② 「理解を重視」した勉強をする
③ 「目的」と「手段」をはき違えないようにする
④ 睡眠を十分とって頭の働く時に勉強する

特に③の点は、受験生がよく陥りがちな落とし穴ですので、今一度ご自身の学習を振り返っていただくとよいと思います。

最後に使用したテキストと問題集を見せてもらったのですが、テキストにはほとんど書き込みをせず、問題集も解答欄を埋めただけで、これが合格者の使用した教材?と思うほど、とてもきれいな状態でした。
これも、②の理解を重視した勉強の結果とのことですが、非常に印象的でしたね。

学習をサポートされた石﨑都幾先生(同校・情報処理科教諭)からは、将来のあるべき姿を意識して、自分で勉強方法やプランをよく考えて実行していったこと、そしてコロナ禍でさまざまな制約があった分、マイペースで学習を進められた点が岡﨑さんにとってはプラスだったことが合格の要因ではないかとお話されていました。

現在は基本情報技術者試験に取り組むとともに、来春の卒業後は公認会計士を目指して専門学校に進学する予定の岡﨑さん。
ぜひ公認会計士試験にも合格されて、合格体験記を執筆いただければと思います。

(インタビュー:10月4日実施)


関連記事

【広告企画】会計大学院(アカウンティングスクール)12校の魅力を探る!

重版出来✨『わかる! 使える! うまくいく! 内部監査 現場の教科書』

【広告のご案内】掲載要領(PDF資料)

ページ上部へ戻る