うだ
【編集部から】
長丁場の税理士試験で合格をつかみとるためには、「税理士になりたい!」という気持ちを思い出し、勉強を続けることが何より大切です。
そこで受験生のモチベーションを上げるべく、33年という長い間、諦めずに税理士試験に挑戦し続け、今年1月に念願の独立開業を果たした税理士のうだ(@udamajiuda)先生に、税理士になってよかったと思うこと、また今後の展望を教えていただきました。
独立開業後を振り返って
以前、合格体験記に、「私は組織人に向いていないので、独立できる可能性のある税理士を目指した」と書きました。
それが今、こうして現実のものになっています。
使い慣れた税務・会計ソフトで、前職から引き継いだ一部のお客様に、基本的に以前のままのスタイルで対応しています。
時間に追われすぎない適度なボリューム。納得のいく水準まで、精度を上げることができます。
税理士になると、独立しても会計事務所等に勤務していても、税理士であることに変わりはありません。
そして、税理士になると、その活動はお客様への対応にとどまらず、多岐にわたります。
たとえば、税理士会の一員としての税務支援への参加。
私の場合は、所得税の確定申告時期に、特定の業種の申告書チェックや、他の士業との合同相談会で税務関連の相談に応じるといった活動に参加するようになりました。
また、最近では税理士事務所向け研修の講師を務めるなど、人前で話をする機会が増えてきました。
仕事の幅が広がる、今までできなかったチャレンジができるというワクワク感は、独立する・しないにかかわらず、税理士になってはじめて感じることができるものではないでしょうか。
独立開業後のとある1日
- 朝6時に起床。
- 6時25分、テレビ番組に合わせて10分間の体操。
- 朝刊をざっと読み、朝食。
- 会社勤めの妻を送り出し、購入から7年目の愛車うだ号で、顧問のお客様へ定期訪問。
- 会計処理と証憑のチェック、業績の解説。
- お客様向けのレポートは、現地で取りまとめて即、データで提供(決算仕訳と税務申告書の作成以外は、その場ですべて完結させます)。
- 昼食(去年までは毎日、妻の手作り弁当をおいしく食べ、自宅で開業した今年からは、メニューはそのままに、おかずの場所が弁当の容器から自宅の冷蔵庫へ。)
- 午後から金融機関の方が来所予定なので、コーヒーを挽きながら来所を待つ。
- 30分ほどで打ち合わせを終える。
- コロナ給付金の受給要件を満たすお客様がいないか、各社の月別売上をチェック。
- 該当するお客様にメールで、次回訪問時に申請のサポートを行う旨を連絡。
- その後、本稿の執筆を。
独立開業後は、さしあたり決算など期限つきの案件を抱えていなければ、残った時間は好きなことを何でもできます。営業時間を公表しているわけではないので、これは別に仕事でなくてもかまいません。普段は、税理士会・情報処理会社のオンデマンド研修受講が中心ですが、気分が上がらないときは、読書に充てることもあります。
今後の展望
税務判断に迷ったとき、職員時代は有資格者にその判断を委ねればよかったのですが、自身が税理士になると、そうはいきません。
専門家として、自らの責任において税務判断をしなければなりません。
しかも、税法は毎年変わります。税理士になったからには毎年、知識のアップデートが欠かせません。生涯勉強がひとつの使命です。
そういったことを考えていた矢先に、この秋からTKCと中央大学の共催による、1年間の専門的な研修に参加する機会に恵まれました。基本を再確認し、考える力を養う、絶好のチャンスです。
事務所の拡大をあまり積極的に考えていない私としては「知識」に裏づけされた「業務品質」を、諸先輩方に負けない強みとし、お客様との関係を確固たるものにしたいと思っています。
一方で、セミナーや研修の講師として、人前で話をすることは、前職でたくさん経験させていただきました。
何を伝えるかをはっきりさせ、準備さえ怠らなければ問題なくこなせますので、今後はそのような仕事にも、より積極的に取り組んでいきたいと考えています。
税理士試験受験生へのメッセージ
人生には限りがあります。
税理士になることに限らず、「いつまで満足に動けるか」から逆算して、いつごろまでに人生の各イベントが実現可能か、考えてみましょう。
私は何歳で税理士をリタイアするかを先に決め、そこから逆算して何歳で税理士になり、何歳で独立するかという目標を定めました。
試験が長期化したため、目標通りにはなりませんでしたが、遅ればせながら軌道に乗せようとしています。
そして今、皆様にお伝えしたいことは・・・税理士は信用第一。
責任の重い仕事ですが、税理士になると、様々な働き方、生き方が用意されています。
税理士、いいですよ!
【執筆者紹介】
うだ(@udamajiuda)
税理士
資格を武器に独立できる仕事がしたく、商業高校を卒業後すぐに税理士事務所に就職。
人生上のイベントや仕事を通じて数々の社会人経験を積みながら、毎年税理士受験を続け、33回目となる2020年度(第70回試験)、夢にまで見た官報合格。
2022年1月、独立。現在「ひとり税理士」として、日々楽しく奮闘中。