実務家や研究者、また編集部がこの夏オススメする“課題図書”をご紹介する本企画ですが、受験生はどんな本を読んでいるのでしょうか?
税理士試験の簿記論・財務諸表論・消費税法と順調に「合格」を重ね、今年度は法人税法を受験されたボザイさんに、受験勉強に役立った本をご紹介いただきました。(編集部)
【ボザイさんのご紹介】
30歳まで格闘技に夢中で勉強とは無縁の生活を送る。その後、一念発起して2019年、独学で日商簿記1級に一発合格。2020年に独学で簿記論・財務諸表論に一発合格。さらに会計事務所に勤めながら 2021年に消費税法に一発合格。2022年は法人税法を受験。勉強の記録や学習法を発信しているTwitter(@bozai888)やnoteは同じ受験生から絶大な人気を誇る。
熊王征秀著『消費税法講義録』
僕の一番好きな本です。一言で魅力を話すなら、なんでも載っている! しかも、わかりやすい! 少し堅いタイトルや表紙から一瞬「大丈夫かな」と思ってしまうかもしれませんが、とにかくとっつきやすいです。
僕は消費税法に合格したとき専門学校の通信講座を使っていましたが、テキストより詳しく解説されている印象がありました。消費税の計算手順など基本的な内容はテキストを読めば理解できますが、もっとマニアックな実務に即した内容までわかるのが『消費税法講義録』です。
試験勉強でも実務でも、テキストやインターネットだけではすぐにわからないことがあったときに読んでいました。間違えた問題の解説が不十分だと感じたときに読んだり、理論暗記をしていて疑問がわいたときに読んだり。
たとえば、調整対象自己建設高額資産の適用関係がわかりやすく線表で示されていたり、分割法人の納税義務の判定についてわかりやすく説明されています。
先生に聞けばすぐに解決したのかもしれませんが、僕は通信で、すぐには解決できなかったので、『消費税法講義録』にはかなり助けられました。
実務的な視点からの解説も多く、通信講座や独学で消費税法を勉強している人、また会計事務所で働いている人向けの本だと思います。
ちなみに僕は、データ化してiPadに取り込み、同じくデータ化した専門学校の理論暗記教材のページに『消費税法講義録』の関連する部分のスクリーンショットを貼り付けていました。そのページを暗記するたびに『消費税法講義録』も確認して理解を深めていました。
桜井久勝著『財務会計講義』
オススメする人も多い定番書ですが、これも役に立った1冊です。
僕が読んだのは、簿記1級に合格して税理士試験の簿記論・財務諸表論に挑戦しようと思った8月。はじめて「理論」というものを勉強することになったので、「理論って何だろう?」という思いで読み始めました。
読み終えた感想としては、「理論を深く知らなくても理解できるように書いてある」です。ただ、簿記1級に合格していたこともあって会計処理自体は頭に入っていたので、それで読みやすいと感じたのかもしれません。会計の勉強をある程度してきた人が税理士試験に挑戦するときに読んでみるのがオススメだと思います。
僕の場合、『財務会計講義』を読んだことで、ただの数字でしかなかったものが現実味をもって理解できるようになりました。
たとえば、「のれん」はそれまでたくさん勉強してきましたが、それが一体どのようなものかは具体的にイメージできなかったんです。
そんなフワフワとした計算が『財務会計講義』によって意味のあるものに変わりました。特に僕は、簿記論・財務諸表論は独学だったので、これはかなり効果的だったと思います。
「会計の全体像をつかむぞ!」と肩肘張って読んだわけでも、財務諸表論の勉強がある程度進んでから読んだわけでもありません。入り口の入り口で、「これから勉強する理論って何だろう?」、そんな軽い気持ちで読んでほしいと思います。
+αでオススメの書籍
中央経済社編『新版 会計法規集』
『財務会計講義』を読み、財務諸表論の勉強がある程度進んでから使うのがオススメです。
具体的な使い方はこちらをご参照ください。
“ヨコのつながり”が見えてくる! 簿・財独学合格者が伝える、『会計法規集』の使い方
高山弥生著『税理士事務所に入って3年以内に読む本』
受験勉強とは少し違いますが、未経験で会計事務所に入った際に役立ちました。
他にも、独学で税理士試験へのチャレンジを始めたので、勉強法に関する本もたくさん読みました。
入江日和著『フリーター、税理士になる!―簿・財独学&税法一発合格法』
山本憲明著『税理士試験リベンジ合格法』
平木太生著『司法試験・予備試験 この勉強法がすごい!』
【編集部からはこちらもオススメ!】
会計人コース編集部編『新・独学ではじめる税理士試験合格法バイブル』
西﨑恵理著『税理士試験 「独学×家勉」で合格する方法Q&A』