【学生も経験者も必見!】知っておきたい 税理士業界の就職・転職トレンド


株式会社TACプロフェッションバンク
取締役 HR事業本部長
大垣 真彦

【編集部から】
税理士試験終了後、税理士法人・会計事務所の採用活動が活発に行われます。
しかし超直前期の今、就職のことなんて考えられない!というのが、受験生の本音。でも、業界のトレンドも無視できませんよね。
そこで、就職・転職活動を始める前に最低限知っておきたい税理士業界の最新の就職・転職事情について、株式会社TACプロフェッションバンク取締役 HR事業本部長の大垣 真彦氏に教えていただきました。
試験勉強の合間にサクッと読めてためになる情報を、ぜひご覧ください。

受験者数の減少に歯止めがかかる

2005年に約56,000人いた税理士試験受験者は、15年間連続で減少し続け、2020年には過去最少の26,673人まで落ち込みました。

しかし、翌年の2021年には27,299人となり、しばらくぶりに前年を上回りました。25歳以下にフォーカスすると、2018年の3,657人(過去最少)からは微増を続け、2021年には4,280人まで回復しています。

いずれにせよ、税理士は資格取得までの期間が非常に長く、大学生の在学中合格(5科目コンプリート)も非常に困難であるため、他の国家資格に人気負けしてしまう傾向があるようです。

ただ、2023年度の税理士試験より「受験資格」が緩和されます。簿記論・財務諸表論の受験資格がなくなり、高校生や大学1年生でも受験が可能となるので、来年以降の受験者増が期待されます。

就職は売手市場が続く

近年、税理士の定型業務にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)の普及が進んできています。

そのため、「税理士の仕事は将来なくなってしまうのでは?」と危惧されることもありますが、心配は無用です。

税理士業界の市場規模(約1.6兆円/総務省統計局「サービス産業動向調査」2017年)は拡大傾向で、採用においても依然として売手市場が続いています。

そんななか、これからの税理士に求められるのは「国際税務」「M&A」「組織再編」「相続・事業承継」「事業再生」といった特定分野の専門能力や、経営者を総合的にサポートできる人間力です。

これから税理士業界を志す方は、「税理士業界=コンサルティング業界」と認識するとよいでしょう。

【新卒採用】会計知識ゼロでも大きく門戸が開かれている

税理士業界の就職事情は、ここ数年で大きく変化しています。

従来であれば、「2~3科目合格」以上が入社条件だったBIG4(EY、KPMG、デロイトトーマツ、PwC)・大手税理士法人も、現在では「合格科目ゼロ」や「1科目合格」で採用されることも珍しくありません。

また、近年の一番のトレンドとしては、多くの大手税理士法人がインターンシップを含めた新卒採用を積極的に実施していることが挙げられます。

たとえば、KPMG税理士法人は、大学生を対象にしたインターンシップを2018年から全部門で開催。毎年1,000人以上が応募し、多くの「税理士受験未経験者」が新卒で採用されているのです。彼らは内定取得後に税理士受験を開始し、入社後に合格科目を着実に積み重ねています。

KPMG税理士法人 インターンシップ採用ページ

BIG4のみならず、税理士法人山田&パートナーズ、ランドマーク税理士法人などの大手税理士法人も、一般企業と同様のスケジュールで新卒採用を実施しています。

税理士法人山田&パートナーズ 採用ページ

ランドマーク税理士法人 採用ページ

「税理士受験はこれから」という学生の皆さんでも、大手税理士法人でキャリアをスタートできるチャンスは十分にあります。

税理士業は接客業なので、採用側が最も重視するのは、応募者の「コミュニケーション能力」です。そのため、面接官と落ち着いて会話ができる人は、相対的に評価が高いです。

この点も一般的な就職活動と何ら変わりませんが、あわせて「なぜ税理士になりたいのか?」ということも明確にしておきましょう。

【中途採用】キャリアチェンジは「転職目的」を明確に!

税理士業界では、中途採用(経験者採用)も活況です。

たとえ会計業界で経験がなくとも、一般企業や金融機関で働きながら税理士試験に科目合格した方は高く評価されています。

また、社会人経験がまったくない場合でも、個人経営の会計事務所であれば、日商簿記2級レベルの知識で採用してもらえる事務所も少なくありません。

年齢については、学歴・職歴・人物像などによってケースバイケースですが、25歳~35歳の転職事例が多くなっています。

すでに会計業界で就労中の方については、「グローバル企業のクライアントを担当したい」「中小企業を総合的にサポートしたい」といった転職目的を明確にすることが重要です。

前者であればBIG4をはじめとした大手税理士法人を目指すべきでしょうし、後者であれば、アタックス税理士法人やTOMA税理士法人などの準大手法人が該当します。

また、地方事務所に勤務している方のなかには、「上場企業の申告業務を担当してみたい」という人も多いでしょう。

たとえば、あいわ税理士法人(東京都品川区)では「地元にいながら東京の税理士法人で働く選択肢」と題して、新しいワークスタイルを提案しています。今後、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進とともに、会計業界の働き方や採用手法が大きく変化していくことが予想されます。

あいわ税理士法人 採用ページ

この夏、求職者向けイベントを利用しよう!

今後は、税理士業界を志す方のために、税理士法人の採用担当者の話を聞くことができるイベントが多く開催されます。

受験勉強を始めたばかりで、今すぐには就職・転職を考えていないという方のご参加も歓迎しているイベントも多くあります。

税理士業界に興味のある方は、この夏、ぜひ情報収集の場としてイベントに参加してみてください。

TACプロフェッションバンクでも、「会計人のための就職説明会」と題して、税理士試験後に下記のイベントを予定しています。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

[東京] 8月5日(金)14:30~17:30 @京王プラザホテル

[大阪] 8月6日(土)14:00~17:00 @梅田クリスタルホール

[名古屋] 8月9日(火)18:00~20:30 @TAC名古屋校

イベントの詳細はこちらをチェック!

<執筆者紹介>
大垣 真彦
(おおがき・まさひこ)

株式会社TACプロフェッションバンク
取締役 HR事業本部長
1977年東京生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、大手製造業(営業)、サービス業(新規事業開発・採用企画)などを経て、2013年に会計業界のリクルートに特化したTACプロフェッションバンクへ入社。2017年同社取締役に就任。


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