税理士・会計士・日商1級 絶対落とせない財表理論45ー第10回 有価証券⑤


村上翔一(敬愛大学准教授)

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問題

売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社及び関連会社に対する株式以外の有価証券を( ア )と呼ぶ。その具体例として、長期的な時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券や業務提携等の目的で保有する有価証券が含まれ、長期的には売却することが想定される。( ア )は、( イ )をもって貸借対照表価額とし、評価差額は( ウ )方式に基づき、( エ )あるいは( オ )の方法により処理する。前者は評価差額の合計額を純資産の部に計上し、後者は( イ )が取得原価を上回る評価差額は純資産の部に計上し、( イ )が取得原価を下回る評価差額は( カ )として処理する。なお、( ア )についても、取得差額が金利調整差額と認められる場合には( キ )が適用される。

解答・解説

ア その他有価証券
イ 時価
ウ 洗替
エ 全部純資産直入法
オ 部分純資産直入法
カ 当期の損失
キ 償却原価法

金融商品に関する会計基準(企業会計基準第10号)、pars.18、75-80
金融商品会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第14号)、pars.72-74
その他有価証券は、売買目的有価証券と子会社株式及び関連会社株式との中間的な性格を有するものとして一括して捉えられており、時価評価が要求される(金融商品に関する会計基準、pars.75-76)。ただし、時価評価するも直ちに売買・換金を行うことには制約を伴う要素もあるとして、評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切でないとし、「純資産の部」に計上する方法が採用されている(金融商品に関する会計基準、pars.77-78)。

◎復習しましょう!(バックナンバー)
第1回 棚卸資産①
第2回 棚卸資産②
第3回 棚卸資産③
第4回 棚卸資産④
第5回 棚卸資産⑤
第6回 有価証券①
第7回 有価証券②
第8回 有価証券③
第9回 有価証券④

【執筆者紹介】
村上 翔一
(むらかみ しょういち)
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程修了(博士(経営学))。明治大学専門職大学院会計専門職研究科教育補助講師、敬愛大学専任講師を経て現在敬愛大学経済学部准教授。
<主な論文>
「保有者における電子マネーの会計処理」『簿記研究』(日本簿記学会)第2巻第1号、2019年(日本簿記学会奨励賞)
「ICOに関する会計処理」『敬愛大学研究論集』第98号、2020年
「ブロックチェーン技術の進展と簿記」『AI時代に複式簿記は終焉するか』(岩崎勇編著)、税務経理協会、2021年
「コンセンサス・アルゴリズムの観点に基づく暗号資産の会計処理―マイニング、ステーキング、ハーベスティングの理解を通じて―」『敬愛大学研究論集』第100号、2021年 他

*本連載は、会計人コース2019年11月号「特集:勉強したくなる「習慣化」のススメ 7日間理論ドリル」を大幅に加筆修正したものです。


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