つるさん
(30代、会社員)
合格科目:国税徴収法(2013年)、財務諸表論(2017年)、簿記論(2021年)、税法科目免除(2021年)
学習スタイル:国税徴収法・財務諸表論…資格の大原(通学)、簿記論…資格の大原・TAC(通信・通学)、税法科目免除…河合塾KALS
【年表とイベント】 2008.10 社労士試験 × 2009.10 社労士試験 〇 2010. 6 転職 2010.10 結婚 2012.12 国税徴収法 × 2013.11 引越し 2013.12 国税徴収法 〇 2016.12 簿記論 × 財務諸表論 × 2016. 1 家族が増える(長女) 2017. 9 部署異動 2017.12 簿記論 × 財務諸表論 〇 2018.12 簿記論 × 2019. 4 大学院入学 2019.12 家族が増える(次女) 2021. 3 大学院修了(税法免除論文提出) 2021.12 簿記論 〇(税理士試験合格) |
税理士を目指したきっかけ
税理士を目指した最初のきっかけは、会社の業務で退職給付制度の変更を行ったことから始まります。
退職給付制度の変更には国民年金や厚生年金、厚生年金基金の話や退職一時金、就業規則、退職給付会計、システムの変更など広範囲の知識が必要なことがわかり、それらの専門家である社会保険労務士や税理士、公認会計士やアクチュアリー、中小企業診断士やシステムエンジニアの方々とやりとりをするなかで、専門知識の必要性や憧れを感じるようになり、その流れでまずは社会保険労務士を目指しました。
また、日々の給与や賞与の計算、入退社手続き、算定や年末調整などは「税」と「社会保険」の双方が関係する処理です。
しかし当時は簿記知識ゼロ。自信をもって仕訳ができない状況だったため、会計や税務にも強くなりたいと思い、このときからダブルライセンスを取得することを考えていました。
その後、2009年に社会保険労務試験に合格し、日系大手IT企業に転職しました。
そこで携わった業務が100社10万人の給与計算などを行う人事基幹システムの再構築でした。大規模な人事給与システムの要件定義※やシステムの安定稼働を担保するというものです。
※要件定義:システム開発などのプロジェクトを始める前の段階で、必要な機能や要求をわかりやすくまとめていく作業のこと。
ここで痛感したことは、数千万円をかけてシステムを設計しても、仕様を設計する人のレベルが低いとシステムもそれ相応のものになってしまい、費用対効果が得られないということです。
さらには、間違った計算要件でシステムを構築した場合には、10万人の税や給与の計算を誤ってしまうリスクもあり、実際にトラブルとなったケースもありました。
そのため、きちんと税の専門知識をもってシステムの要件定義を行いたいと考え、2012年、税理士試験に挑戦することを決めました。
学習計画
当初は3年くらいで合格し、予備校の合格祝い金をもらう無謀な計画も考えていました(いま思えば甘かったと思います)。
ただ、仕事を続けながら学習する必要があったため、受講相談で先生の話を聞いて、合格できそうな科目から1科目ずつ受ける作戦に落ち着きました(よくぞ自制したと自分を褒めたいです)。
平日は通勤時間を活用してテキストの読み込みや理論暗記を行い、夜や休日のまとまった時間で講義視聴や計算問題を解くというように、大まかな時間ごとに何をするかを分けていました。
勉強する時間帯としては、早起きして始発電車に乗り、会社近くのカフェで勉強していた時期もありましたがフィットせず、朝型の勉強は断念しました。そのため、勉強スタイルは夜型で通学がメインでした。
ここ数年は、感染症対策が必要なこともあり、Web通信での勉強スタイルにせざるを得なかった面もあります。
振り返ると、計画という計画はなく、税理士になるための手段として最も可能性の高い選択をそれぞれの時点で行い、試行錯誤しながら継続してきた、というのが正直なところです。
合格の決め手になった学習法
国税徴収法
・大原の「理論問題答案用紙」を買って、理論を片っ端から書きまくる。
・さまざまな種類のボールペンを試して、最も負荷がかからない自分に合ったものを選ぶ。
・理論をパソコンにタイプしてアウトプットする。
・理論は声を録音して耳でも覚える。
財務諸表論
・苦手だった計算に注力。繰り返し過去問や答練を解き、仮計算表(大原方式)をどう作成したらよいかを自分なりに研究する。
簿記論
・スキマ時間に学習するのが難しいので、なるべくまとまった時間(4時間以上)をとれるようにスケジュールを組む。
・そのなかで、①講義視聴(2倍速)→②問題集を解く→③チェックして見直し→④テキストを見て間違えたところや曖昧だったところの見直し→⑤同じ問題や類似の問題が出たときにどう解くか対策→⑥次に解く問題の準備、といった一連の作業を行う。
・間違えたところや間違えるリスクが高いと感じたところは、⑦個別にノートに書き留めて夜の散歩時に眺める。
・簿記の感覚が鈍るといけないので、どんな状況でも絶対に1日1問は必ず問題を解く。
・複数の予備校を受講する。
・本番に慣れるため、模試は会場受験する。
・毎週日曜日のオンライン答練(2時間)は必ず受ける。
・大原の「講師と一緒に勉強しよう!」というYouTube動画と一緒に勉強する。
モチベーションの保ち方
これについては、本当は自己実現や志といった内容を書こうと思いましたが、リアルに1つめは「うまいが一番」ということです。
勉強した休憩時には、挽きたてのコーヒーを淹れて味と香りを楽しみました。自宅でもできるようにコーヒーミルをちゃっかり買いました。甘いものも好物なので毎回しっかりと準備していました。
また、答練が本格化するゴールデンウィークまでは、確認テストで区切りがついたら、心のままにお酒と美味しいご飯で気分転換をして、直前期も全国模試でやり切ったら、という具合に慰労イベントを適宜入れていました。
仕事の後のビールが美味しく感じるように、試験勉強をした分だけその後のご褒美の効用が高まると考え、モチベーションを維持していました。
重要なのは、息を抜くところは絶対に妥協せず、自身が納得するクオリティとすることだと思います。
2つめは「身体のケア」です。試験勉強は長期戦で心技体のバランスを保つのが必要なので、軽微な内容ですが、夜に30分程度の散歩と公園の鉄棒などでストレッチや軽い筋トレをしていました。
体が不健康だとパフォーマンス低下につながると思います。
おわりに
10年ちょっとを振り返ると、いろいろなことがありました。
私の場合、仕事もプライベートも目まぐるしいなかで試験を続けてこられたのは、周りのサポートがあったからこそ。家族や親族には感謝してもしきれないです。
ただ、心残りは家族との写真にパパが写っているものが少ないことです。毎年、年賀状用の写真を探すときに思い知ります。
これからは家族と過ごす時間のありがたみを感じつつ、税理士としてもしっかりと実績を積んでいきたいと思います。
すでに勉強を開始されている方々やこれから受験を検討される方々にとって、この記事が何かの役に立てば幸いです。